第14話
「うっぷ」
「大丈夫?」
顔を青くし、吐きそうになっている弘樹先輩の背中をひな先輩が優しくさそってあげている。
「う。おぇぇぇぇぇぇえええええええええ!」
そして、弘樹先輩はエチケット袋めがけて盛大に吐瀉物をぶちまける。
「……即落ち2コマ」
ぼそっと私の隣に座る蓮が呟く。
蓮の言う通り、即落ち2コマと表現するのが正しいかもしれない。
車が出発してからたった一分で顔を青くし、その一分後には今のような状態になり吐いている。
ひな先輩はこの事態になることを予測していたのか準備はよく、エチケット袋をさっと用意し、献身的にサポートしていた。
さっきの不敵な笑みは何だったのかしら。
「大丈夫かしら?車停めて酔い止め薬でも買ったほうがいいかしら?」
「いや!止めなくていいよ!どうせひろくんは何しようともグロッキーだから」
「そうなの?」
「はい!ひろくんの車酔いはもはや神がかっていて、ブランコですら酔うの!どんな酔い止め薬も効かなかったし、車酔いにいいとされることは全部試したんだけど、どれも上手くいかなったの!」
「あら」
「だからもう諦めるしかないの!」
「……くそ。ホイールベース仕事しろ。……うっ。おぇぇぇぇぇぇえええええええええ!」
「はい!次のエチケット袋」
ひな先輩は手際よく次のエチケット袋を用意して渡す。
「ありがと……おぇぇぇぇぇぇえええええええええ!」
「本当にひどいわね」
「はい!もはや呪いの域だよ!」
「……どうなの?」
一瞬納得してしまい、つい隣に座る蓮に思わず聞いてしまう。
「いや、ないよ」
呪いなどの超常現象を識別する事ができる蓮がはっきりと否定する。
「そうね」
流石にないわよね」
「でもそう疑ってしまうレベルなのは認めるが」
「……そうね」
顔を青くする弘樹先輩を見てしみじみとつぶやいた。
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