第13話


 次の日。

 私達オカルト部は弘樹先輩の家に集まっていた。

 蓮の服装は昨日渡しが買ってあげた服だった。

 しかし、残念なことにその服は女の子用のものではなかった。

 本当に残念だわ。

 車は弘樹先輩のところに置いてあるらしい。

 弘樹先輩の家はこじんまりとした一軒家だった。

「うわー、すっごい!」 

 ひな先輩が部長の車を見て感嘆の声を上げる。

 ひな先輩の言う通り部長の車はすごかった。

 というか、頭おかしい。

 なんでリムジンなの?

 普通のこじんまりとした一軒家にリムジンが止まっているということがシュールでならなかった。

「部長……金持ちなのね」

「いや、違うわよ」

 私の思わず口に出てしまった言葉を部長は否定する。

「この車を買ってくれたのは弘樹くんなの」

「「え!?」」

 私とひな先輩は驚いて、弘樹先輩の方を見る。

 ちなみに蓮はリムジンの凄さを知らないのか、特に驚いた様子は見られない。

 それどころか、こんな縦長な必要あるか?と言わんばかりに首をかしげている。

「お金なら小遣いを株とかで数倍にしてるからそこそこあるんだ」

 どうやら、このこじんまりとした家は弘樹先輩が自費で購入したもので、両親は別のところに住んでいるらしい。

 こっちの方に引っ越してきたひな先輩についてきたそうだ。

「すごいね!」

「そ、そうなんだ」

 確か弘樹先輩すごく優秀だったわね。

 定期テストでも常に全教科満点で学年一だとか。

 ……はぁー。

 すごいわね。私なんかと違って。

 欠点なんてなさそう。

「オカルト系のを調べるとしたら車は必須だろう。実際に行ってみないとわからないことも多い。だが、電車は満員電車とかがあるから嫌なのだ。人混みは嫌いだ」

「な、なるほど」

「そうか!あれ?でもひろくん車酔いしなかったけ?」

「あぁ。そうだ。だからリムジンなのだ。自動車は、一般的にタイヤの前輪と後輪の間隔が広がれば広がるほど乗り心地が良くなる傾向にあるのだ。その点リムジンならば間隔も広いのだから普通の車より乗り心地が良くなるはずなんだ」

「なるほどねぇ。そういう理由があったね。じゃあ、とりあえず中に入りましょうか」


「うわー!すごい!ふっかふっか!」

 リムジンの中の椅子に座ったひな先輩は歓喜の声をあげる。

「確かにすごいふかふかだ。昔とは大違いだ」

 蓮は驚きに目を見張り、話す。

 ……ねぇ。

 蓮が乗ったことある車って戦車くらいって言ってなかったけ?

 もしかして、戦車とリムジンの乗り心地を比べているの?

「じゃあ、出発するわよ!」

 部長がエンジンを付け、アクセルを踏んだ。

「くくく、これで車酔いしないで済む」

 弘樹先輩が不敵な笑みを浮かべて笑った。


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