第1話
現役高校一年生の私、間宮玲香のクラスに一人の転校生がやってきた。
「どうも、はじめまして。僕は佐藤蓮です」
先生に転校生と紹介された少年、佐藤蓮はクラスメートの前でペコリと一礼する。
その転校生の姿は一度見たらなかなか忘れられないものだろう。
まずぱっと目につくのはきれいな紫色に光る大きな瞳。
次に目に入るのは雪のように真っ白な白髪。
顔立ちも整っていて、私が見てきたどの人よりもかっこいい、というかかわいい。
色白で背は小さく、女装したら、いや。
女装しなくても女の子だと間違えるかもしれない。
それくらいの美少年だった。
ショタにしてロリ。
意味がわからない。
「え……嘘」
私はそんなとてもとても珍しい転校生の姿を見て、誰にも聞こえないような声量でぽつりと呟いた。
現実逃避はここまでにするべきかしら。
「そうだな、蓮。お前の席はそこだ」
先生はちょうど空いていた私の隣の席を示す。
「わかりました」
佐藤蓮は私の席に座り、呆然と佐藤蓮を見つめる私に向かって、
「よろしくね」
と、普通に声をかけてくる。
あぁ、やはり間違いない。
……この子は……この子は……!
もはや間違える要素がないに等しいだろう。
見た目もそうだが、あの出来事を忘れるはずもない。
しかもまだ一日も経っていないのだ。
いやたとえどれほどの年月が経とうともあの出来事を忘れられる人はそうそういないだろう。
なんで、なんで。昨日、確かに私の前で死んだはずの男の子がいるのかしら……?
私は呆然と彼の横顔を眺め続けた。
現実を受け入れられなかった。
結局、私が彼に挨拶を返すよりも前に先生が次の連絡事項を読み上げた。
キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン
「これで朝のホームルームを終わりにする」
「気をつけ、礼」
『ありがとうございました』
朝のホームルームが始まり、転校生の周りに生徒が集まりだす。
転校生という特殊な立ち位置で、佐藤蓮の見た目の美しさも考えればそれは当然だろう。
正直なことを言えば今すぐにでも佐藤蓮と二人きりで話したかったのだけれども、あまりコミュ力がない私は生徒たちの輪に割って入り、佐藤蓮に話しかけるなどできなかった。
私はいつもどおり手元にある本を開き、本に目を落とした。
「ねぇ」
………。
「ねぇってば」
「え?」
肩を叩かれて、ようやく自話しかけられているのが自分だということに気づき、顔を上げる。
そこには転校生、佐藤蓮が立っていた。
「二人きりで話せないかな?」
「え……あ、うん。大丈夫だけど」
「えー?何?二人は知り合いなの?」
突然私と二人きりで話したいと声をかけた佐藤蓮に疑問を持ったのか、一人の女子が声をかける。
「うん。そうなんだ。実は小学校が同じでね。久しぶりに話しがしたくて」
「そ、そうなのよ」
私も佐藤蓮の話に乗っかる。
「へぇー、そうなんだ」
クラスの女子はそれ以上聞いてこなかった。
その女の子は可愛い子が大好きのショタ好きだから、もっと根掘り葉掘り聞かれると思ったのだけれども。
「じゃあ、行こ?」
「うん」
私は疑問に思いつつも、佐藤蓮と一緒に教室を出た。
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