人の悪い感情を食べて無くすことのできる少女と、席替えでたまたまその前の席になった少女の、友情あるいはそれ以上の感情の物語。
高校生の少女ふたりの友情を描いた百合ホラーです。最初の出会いから丁寧に、関係性の成立から完成までを描いたお話。
不思議な力を持った人物が登場しますし、間違いなくホラー作品ではあるのですけれど、「何か怪異や呪いに身の安全を脅かされる」タイプのお話ではないため、ホラー作品があまり得意でない方も楽しめると思います。
個人的な体感では、お話のおよそ八割近くがほのぼの日常ものしてるような印象。にも関わらず、最後にはしっかり「えっ怖っ、ホラーだ……」となるところが魅力なのですけれど。
話運びの丁寧さというか、そのホラーの扱いがとても好き。
怖い側面が顔を出すまでの流れというか、そこまでに積み重ねられた優しい風景の説得力。なにより終盤のスパッと潔い終わり方というか、これまでと変わらないはずの光景から読み取れる違いのようなもの。
説得力と納得感の大きさが気持ち良い、しっとり怖い百合ホラーでした。