カレーを食べてただけなのに自称・神様に絡まれ、でもそれがただの自称でなかったばかりに、不思議な世界へと片足を突っ込んでしまう青年の物語。
ゆるい日常系の雰囲気が楽しい現代ファンタジーです。
かつてフィクション的な世界の異能力者に憧れた、でも今はごく普通の(そしてそんな自分にそれなりに満足している)社会人の青年が主人公のお話。
お店でお気に入りのカレーに舌鼓を打つ、そんななんてことのない場面から始まっているのもあり、この日常の描写がなんともたまらない作品です。
子供の頃なら「つまらない大人」と思っていたであろう、身の丈にあった普通の生活への満足感の、ほのかな感傷混じりの安心感。こういうのってなんか好き……いいよね……。
しかしそんな普通の生活の延長に、でも「神様やその仲間たちの世界」というド直球の非日常が、わりとそのまま同じノリで広がっているところが面白い。
ゆるいというかほのぼのしてるというか、読んでいるときの手触りが一貫して暖かいのが魅力です。
お話そのものは本当に入り口というか、まさしくプロローグ的な始まりの物語。この先のいろいろありそうな予感が楽しい作品でした。