第22話

 11月

 出勤したら、部長に呼ばれた。

「永瀬さん、ちょっとだけ時間もらえるかな。

会議室で、石川プロジェクトチーフがお待ちだ。」

「石川プロジェクトチーフ?って誰ですか?」

行けばわかるよと言われて、失礼しますと会議室に入った。

そこにいたのは、あの!石川さんだった。

「あはははは!露骨にイヤな顔されちゃったな。

ってことは、聞いてるんだよな?俺のこと。」

「なんのことですか?」

「沙希とのこと。」

「沙希なんて呼ばないで下さい!!」

「知ってんなら、話は早いな。

まぁ、座ってよ。そこに立たれてると、話しづらいから。」

仕方なく、椅子に座った。

「永瀬茜さん。話をするのは、初めてだよね。

一応、自己紹介させてもらうけど、上海プロジェクトチーフの石川和哉です。

単刀直入に言わせてもらうけど、沙希、中山さんのお墓参りをしたくて、場所を教えて欲しいんだ。」

「は?なんであなたが沙希ちゃんのお墓参りなんか。お墓参りしてせめてもの罪滅ぼしとかって思ってるんですか?そんなの、求めてませんから!!あなたとのことなんて、綺麗サッパリ忘れてましたから!沙希ちゃんは!!」

「そうだよね。それでいいよ。そう言って貰えて良かったよ。

だけどね、沙希は、綺麗サッパリだったかもだけど……

俺の方がね……全然、綺麗サッパリじゃなくてさ……

とにかく、お墓の場所教えてくれないかな?」

「お墓お墓ってなんなんですか?」

「知らないの?」

「は?知ってますよ!何回も行ってますから!」

「じゃ、教えてよ!!」


意味不明なやり取りに頭にきて、勢いで わかった!連れてってあげる!なんて、約束をしてしまった。


上海プロジェクトチーフの力は絶大な様で、その日の昼には、明日チーフに同行で視察に行くようにと部長に言われた。

何の視察ってことになってるんだろうか?

視察の為に、上海から帰国していると言うし、本当に視察があって、ついでのお墓参りなのかな。

体面的には、お墓参りは内緒だろう。

そもそも、沙希ちゃんと付き合ってたことが秘密だったんだから。

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