第21話
2週間後、諒くんの職場近くのオシャレなイタリアンのお店でお祝い会をした。
諒くんは、沙希ちゃんが亡くなる前みたいな感じだった。
明るく元気な男の子。1個下なだけだけど。
私も美鈴さんも、諒くんも、沙希ちゃんのことには触れなかった。
みんな心の中では思ってるけど、それぞれ気を遣っていたのだろう。
久々に笑って、バカ話をして、楽しく飲んだ。
美鈴さんは、ホテルに泊まるよなんて言ってたけど、家に来てもらうことにした。
「え〜悪いじゃん!実家でしょう?」
「いいよ、いいよ!美鈴さん、新幹線代もかかってるんだし。ホテル代もったいないよ〜!」
「う〜ん、じゃ〜お言葉に甘えさせてもらっちゃおうかな!」
「うん!!甘えて、甘えて!」
電話をして母に伝えておいたから、家に帰って私の部屋に入ると、私のベッドの横の下にお客さん用の布団が敷いてあった。
「わっ!ガチ目にお布団敷いてくれてんじゃん。申し訳ないなぁ。ざこ寝で十分だったんだけど。」
「ううん、遠慮しないで、脚伸ばして寝てね!美鈴さん脚長いんだから!」
「あはははは!脚長いんだからって!おっかしい!!
考えてみたら、茜ちゃんとお酒飲んだの初めてだったね。」
「あっ!そうだよね!あはは!
美鈴さんとは、一緒に長野行ったりして、一緒にご飯は食べてたけど、お酒は飲んでなかったね〜!!」
「ね〜……似てるね!!」
「うん?何が?」
「普段は感じなかったけど……
茜ちゃん、沙希に似てる!」
「えっ?」
「酔っぱらった時の感じが、沙希っぽい。」
「あっ……自分じゃわからないけど……
前に諒くんにも言われたことあるよ……
喋り方とかテンションとか似てるって。2人喋ってると、どっちがどっちか わかんないって言われた。」
「そっかぁ……。
私も、沙希がいるみたいって思っちゃった……
諒くんの前では言えなかったけど。
諒くんも、そう思ってたかもね……」
「そうかな……」
「礼儀正しくて、人に優しくて、都会の人なのに、田舎者を馬鹿にすることもなくて、行動力あるのに、引っ込み思案で、でも、一途で一生懸命な人って、沙希、茜ちゃんのことそう言ってたよ。」
「沙希ちゃん、そんな風に誉めてくれてたの?
私なんて、一人じゃなんにも出来なくて、いつも沙希ちゃんに頼りっぱなしで……」
「沙希は、ひとりっ子だったけど、しっかりした性格だから、同い年だけど、茜ちゃんのこと妹みたいに面倒みて、大好きだったんだと思うよ!」
その晩、美鈴さんと二人で、沙希ちゃんとの思い出話を、朝方までしゃべりまくった。
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