第13話
1週間後
諒くんに電話してみた。
家に居るというので、諒くんのマンションに行ってみることにした。
「茜ちゃん、この間は沙希の墓参りありがとう。」
「うん、沙希ちゃんのお墓ね、高台で景色がいいところだったよ。すっごく紅葉が綺麗だった。
沙希ちゃん今まで忙しく頑張りすぎてたから、今ノンビリできたんじゃないかって思ったよ。」
「のんびり……か……」
「あっ、美鈴さんが言い過ぎたって。ごめんって言ってたよ。」
「あぁ、いいよ。あの人言ってること正しいって思ってるんだ。
でも、あんまりガツンと言われると、こっちもカチンときちまって。
気にしてたら悪いな……って思ってた。
あの人、おふくろみたいでさ。あはは。」
「そっか、じゃ〜美鈴さん言ってたみたいに、リハビリしなきゃね!」
「あぁ、やるよ!
リハビリがんばって、沙希に会いに行かなきゃ!」
「そうだね……」
会いに行かなきゃ……か……
なんか、グサッときたな……
諒くん、もう沙希ちゃんはいないんだよ!
それに、沙希ちゃんは最期の最期、諒くんのことじゃなくて、忘れられない想い人への気持ちを、私に託したんだよ!
なんて、言いたくなってしまった。
私って性格悪いな……
だけど、諒くんがリハビリを頑張ってやろうって気になってくれて良かった!
「茜!一緒にやろう!!」
いつも、いつも、沙希ちゃんは私を誘ってくれた。
私はなかなか自分から新しいことにチャレンジすることがなかったし、尻込みしてしまうことが多かった。
そんな私に、沙希ちゃんはいつも手を差し伸べてくれて、
「茜!一緒にやろう!!」って、笑ってくれた。
その沙希ちゃんが今はもういない……
きっと、諒くんもそんな気持ちでいるんだろうな。
「ねー!諒くん!
諒くんのリハビリのお手伝いさせてくれない?」
「えっ?」
「しっかり、元通りになったら、沙希ちゃんのお墓参りに行こうよ!私、道案内するからさ。」
「ありがとう!茜ちゃん!俺、がんばるよ!」
それから、諒くんはリハビリに励んだ。
私は、諒くんのリハビリに毎日付き合いながら、なんとなく切なくなっていた。
諒くんは、沙希ちゃんのためにこんなに頑張ってる。
よくなったら、もう私の助けもいらなくなる。
そうしたら、もう私が諒くんに会う理由なんてなくなるんだな……
リハビリ、どのくらいの期間やれば、元に戻るのだろう。
諒くんの辛いリハビリが早く終わることを祈りつつも、このリハビリが永遠に続けばいいのにと思ってしまう私がいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます