第7話

 大学時代 18歳から22歳

沙希ちゃんは、長野から上京し、中野のアパートに住み、都内の大学に通っていた。


その4年間を調べよう。


沙希ちゃんのお母さんに連絡をして、大学時代に仲の良かった友達数人の名前を教えてもらった。


お母さんに教えてもらった友達の1人、西村美鈴さん。

この人の名前は、沙希ちゃんの口から何回も聞いたことがあった。

とりあえず、この人に当たってみよう。


 連絡をとり、1週間後の日曜日に上野駅で待ち合わせることになった。

西村さんが乗ると言っていた新幹線の到着時刻に合わせて、改札近くで待っていた。

歩いてくる大勢の人の中で、この人だってすぐにわかった。

背が高くて美人さん。

マスタードイエローのロングコートで、風を切るように颯爽と歩いてくる。

知り合いでもないのになんだけど、大きく手を振ってみた。

あっ!って顔をして、私のところへ来てくれた。

「西村です。」

「はじめまして。お電話させていただきました、長瀬茜と申します。今日は、わざわざ遠いところをありがとうございます。」

「ふふふ。あっ、ごめん。沙希から聞いてた通りの人だなぁと思って。」

「えっ?私のことですか?沙希ちゃんなんて言ってたんですか?」

「すごい、礼儀正しいって言ってた。歳タメだから、敬語じゃなくていいよ!茜ちゃんって呼んでいい?」

「あっ……、同じこと、沙希ちゃんに言われた。」

「そっかぁ。で、電話でも聞いたけど、詳しく教えて!ってゆうか、お茶しよ!!」そう言って笑った。


それから、1時間半。店を変えて、また1時間半くらい話をして別れた。


美鈴さんは、沙希ちゃんから聞いていた通りの人だった。

美人なんだけど、気取ってなくて、サバサバしてて、頼りがいのある男前な人だった。

今は、群馬に住んでいた。


その美鈴さんによると、大学生の時、沙希ちゃんが付き合っていた人は1人。

同じ大学の2個上の人で、佐山祐司

付き合っていた期間は、2年弱。

佐山が卒業して社会人になって、だんだんとすれ違いが多くなり別れたということだった。

最後の方は、もう自然消滅みたいな感じになってたのを、はっきりとさせてきたって、会ってちゃんと別れてきたって言っていたと。

「ねっ!沙希の性格からして、忘れられない人っていうのは、元彼とかじゃなくて、片思いの人なんじゃない?」 

「そう言う話 聞いた?」

「ううん、聞いたことはないけど、なんとなくそう思った。

ね〜、大学時代じゃなくて、高校か、中学じゃない?さすがに小学校ってことないと思うけど。

わかった!!初恋だな!!初恋の人だ!!

今、ピーンときたよ!!」


初恋の相手か……

片思いで終わった恋


美鈴さんが言う通りかもしれない。

本当は、大学時代の友達何人かに会って話を聞こうかと思っていたけど、美鈴さんの言う通り、高校時代を調べてみようか。


沙希ちゃんの高校は、地元の公立高校。

長野に行くなら、沙希ちゃんのお墓参りもしたいし、ご実家にご挨拶したりしよう。

中学時代のことも一緒に調べた方がいいし。

下準備が必要だな。



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