第5話

 1月3日

横浜元町へ行った。

町並みが、なんかオシャレな感じ。

軽井沢っぽいなと思った。

アクセサリーショップに入った。

「中山、どうゆうのが好き?」

「えっ?」

「普段、アクセサリーはつけてないよね。アレルギーとかあるの?」

「あ、いえ、ないですが、指輪は ちょっと苦手で、ネックレスは安モノは持ってます。」

「あはは。じゃ、ネックレスは嫌いじゃないんだな。どれがいい?プレゼントするよ。」

「えっ?いえ、とんでもないです。プレゼントなんて!結構です。」

「結構ですって言われると、余計にあげたくなんじゃん!俺が、勝手にあげたいだけだから。

俺が選んで気に入ってもらえなかったら悲しいからさ。好きなの選んでもらった方がいいから。」

「いえ、本当に、いただく理由がないので。」

「理由なんて、どうでもいいからさ。

じゃ、例えば、これとこれならどっちが好き?」

「えっ?あ、こっちかな。」

「じゃ、これとこれならどっち?」

「こっち。」

「じゃ、これとこれは?」

「こっち。」

「すみません!これ試させてもらえますか?」

石川さんが店員さんを呼んで、ショーケースからネックレスを出してもらった。

「髪、上げて。」

「あっ、はい。」

石川さんがネックレスをつけてくれて、私を見てにこっとした。

「鏡で見てみ。」

「わぁ、かわいい!!」

「すごく いいじゃん!似合ってるよ。

すみません。これ、お願いします。そのままつけて帰りますので、ケースだけ袋に入れてもらえますか?」

お会計の金額を見てびっくりした。

54780円

今更だけど、値段を見ずに選んでしまった。

「石川さん!」

石川さんは、軽く手をあげて、私の言葉を制した。

店を出ると、はい、と私に紙袋を渡しながら

「似合ってるよ。いいの選んだじゃん!」

「すみません!ってゆうか、あの、今 手持ちないですけど、お支払いしますので。」

「中山!先輩のおごりは、ありがとうございましたでいいって言っただろ!50万だったら払えないけど、5万なら全然大丈夫だよ。値段気にして無難に選ばれるより、ほんとに気に入った物を選んでもらって良かったよ。」と笑った。


 

 年始の休みも今日まで。

明日から仕事始めだという日。

昼ごろ石川さんから電話がきて、夕方に私のマンションに行ってもいいかと聞かれた。

あまり自信はなかったけど、手料理を作って待っていた。

石川さんは、ワインを持って来てくれた。

「中山、ひとり暮らしで自炊してんの?」

「はい。」

「普段から作ってるってわかる料理だな。」

「どうゆう意味ですか?」

「おいしいってことだよ!」と、誉めてくれた。

石川さんが持って来てくれたワイン とても美味しかった。

けど、普段あんまり飲み慣れてないからか、グラス1杯だけでも、だいぶクラクラした。

ご馳走さまと言って、石川さんが食べ終わった食器を片付けてくれた。

そして、ソファに腰をおろして

「沙希」と私を呼んだ。

「あ、はい。」

石川さんが、右手をさしだした。

吸い寄せられるように、その手をつかんで、ソファに腰をおろすと、私をみつめてキスをした。

そして、ネックレスのチェーンに沿うように、首すじから胸もとへ舌を滑らせた。

こうなることが、あたりまえのように、自然な流れで重なり合った。


 

 次の朝、トーストを軽く食べ、私のマンションから2人で一緒に出勤した。

周りの人から見たら、駅でちょうど会って一緒に歩いてきた、という風にしか見えないだろう。

私達は、今まで通りに振る舞った。

まさか、この1週間で、私達がこうゆう関係になっているなんて、誰にも想像できないだろう。


 数日間、会社で仕事中に話すことはほとんどなかった。

石川さんからメールがきた。

『今夜、沙希んちに行ってもいい?俺、我慢できない。沙希を抱きたい。』

『待ってます。』








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