第14話神様に呼ばれた意味

神様に呼ばれた意味




さっそく、検証が始まりました。


 結局彼女は何者だったのか。

「妾って、平安貴族のお姫様?」

「自分の事を妾って言うのは、武家の子女。時代は、鎌倉時代から江戸の終わりまでって感じ」

「あのお方は?」

「結婚相手。元やけどな。

ダイブしたからって、本人の記憶以上の事は分からへんけど、

昔やから自分で相手は決められへんやん。

親に言われたらその相手やし、何よりお家のためやろ。

いいなずけみたいな感じで、

時間をかけて接してたから、気持ちもかたまって、

相手が好きな気持ちも大きなって行ってんな」

「だったらなんで」

「家にとって、もっと条件がいい、別の縁談が舞い込んでん。

親がそれを喜んでたかどうかは、分からへんけど、

どっちにしても、相手が格上やったら、逆らえへん。

あのお方がもうすぐ地方へ行くのになぁ」

「えっ、なに、飛ばされたん」

「ちゃうやろ、妾も一緒に行くはずやったし、

何年か支社長やったら、本社にポスト用意されてるって、あるやん。

領地与えられたんやったら、出世やし。

で、結婚して二人で任地へ行くはずが、

急に破談になって、あのお方は一人で行ってん。

まっ、一人って言っても、御付きは居るけどな」

「それでどーなったん」

「追っかけようとした。

流れ者でも、女が一人旅する時代とちゃうやろ。

わりとすぐ、あっさり行き倒れた。

それが、雷雨の夜。

恐怖心でいっぱいやったわ」

「長い間、その中に閉じ込められてたんや」

「うん…。

で、説得みたいなことして、

力貸して、あのお方が見えるとこまで連れて行ってん」

「よっしゃ! あゆむ、ええことしたっ」

「ははっ、泣きはらした顔で、いっぱいに笑ろて、

ペコって頭下げて、小走りで行った。

あとはあのお方の後ろ付いて行ったわ」


私が家に帰り着いた頃には、白々と夜が明けていました。




 本当は、『妾』の話は、一度に聞けたわけじゃなくて、少しずつ聞き出した物を、まとめたのですが、そこはお許しを。


 当日来れなかった人達は、ぴよぴよや、まみ姉のライブなどを利用して、あゆむと会い、後始末をしてもらったそうです。


 そしてこれが、霊感少女あゆむが、退魔師あゆむになった瞬間だったのかもしれません。



 後に、あゆむはP.Nさかなちゃん と言う娘と知り合い、その娘があゆむの事を、

雑誌「ほんとにあった怖い話」に投稿して、

読者投稿「退魔師あゆむシリーズ」として人気シリーズになるのですが、それはこの天河怪談からずっと後の話です。




「天河と言うのは、神様に呼ばれてないと行けないんだ。でも、呼ばれている人は自然と行くことになるんだ」



〈ほんとにあった天河怪談 おわり〉

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《再編集》ほんとにあった天河怪談 如月しのぶ @shinobukisaragi

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