第11話一難去ってまた一難

一難去ってまた一難




 近くにおいしいラーメン屋さんがあると言う事で、私達は、晩御飯を食べに行く事にしました。


 外はもう、暗くなっています。


 家を出てすぐに、ぽつぽつと雨が降り出し、お店に入った後には、雷雨へと変わりました。

 

 夜の雷雨。


 あの、天河でのキャンプの、雨の降り出しとそっくりな、雷雨です。


 お店を出る頃には、止んでいましたが、

「なんか女の子が、気分悪いって、うずくまってるらしいで」

そんな報告が飛び込んできました。


 駆けつけてみると、確かに女の子がうずくまって震えています。

「相当しんどいらしい、車に乗せて、とりあえず帰ろ」

 うずくまっている女の子も、あゆむと、ユウの、女子高からの友人で、二人が指示を出しています。

 女の子を乗せた車は、一足先にしげちゃんの家へと帰っていきました。


 徒歩組の私が、少し遅れてしげちゃんの家に着いてみると、さっきうずくまっていた女の子が、バトミントンをして遊んでいます。

「あっ、しのぶちゃん帰って来た。中で呼んでるから行って」


 しげちゃん家の、もとは店舗だった様な広い土間に入ると、中に居た人達にこれまでの経緯を説明されました。


「あの子、天河の時もなぁ、めっちゃ怯えててん」

 そしてその続きの今日、除霊したと言われても、自分では確信が持てない。 

 実感できないまま、また、あの時と同じ天気、夜の雷雨が始まり、

フラッシュバックで、パニック状態になり、

天河とは関係ない霊に、憑依されていたと言うのです。


 あゆむは、外で元気にバトミントンをしている娘と入れ替わりに、ぐったりしています。

「でな、この子じゃ持たへんわって言って、あゆむが霊を引き受けたの」

「みんながな、さっきみたいに祓われへんのって聞いたんやん。

そしたら『あれはな、悪意を持って人に災いをもたらすヤツに使う技なんや、たまたま恐怖心でシンクロしてしまった霊には、使こたらあかん』って」

「で、きっかけ探すために、意識にダイブするからしのぶちゃん呼んで来てって」

「なんで私…」


 ここには、さっきの除霊で、車座の外へと移動させられていたメンバーの、何人かが居ました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る