第4話 復習の舞踏会
色々準備して、舞踏会の日になった。
掃除を言いつけられたけど、最初からやる気なんてなかったわ。
絶対に舞踏会に行ってやるって決めてたもの。
あいつらが行った後、私も自分が用意したドレスを着て馬車で城まで行った。
城に着いてからの話は、結構有名なんじゃない?ここからは本当にあの通りなのよ。
もう説明しなくてもいい?眠いんだけど。
あなた視点の話が聞きたい?しょうがないわね。
会場は国中の女で溢れてたわ。
勿論、その中で相手されるのなんか一部人間。貴族の令嬢だけだけどね。
どうやら国外からも花嫁候補が訪れていたようだけど、王子はそのどの女にも興味を示さなかった。
彼は最初からただ一人にしか興味がなかったのよ。
あの時、お忍びで城下に行ったあの時に出会った美少女。
そう、私にしか。
さっき言ったわよね?
王子を落とそうなんて微塵も思ってなかっ
た。
綺麗な格好をして、あいつらを驚かせたかっただけだって。
でも王子が自ら私を見つけてくれたのよ。
「貴女は...あの時の!!」
これはもう、利用しない手はないでしょう?
こうやって私は王子を落としたの。
王子が純粋で扱いやすくて良かったわ。
姿も心も美しい美少女を演じてるってことに気づかないんだもの。
本当は後妻たちを見返すために利用されているっていうのに。
大広間で見せつけるように踊った時の快感は忘れられないわね。
あんなに張り切って着飾ったのに王子には見向きもされず、見知らぬ女に独り占めにされているんだものね。
多分あいつらは踊っているのが私だってわからなかったんでしょうけど、歯を食いしばってこちらを見ている様子を眺めるだけで充分だったわ。
そのあと、王子と二人きりで話して...
ああ、そうだわ。十二時の鐘で帰ったんだった。
魔法がかけられてないのになんでって、あいつらより先に帰るためよ。疑われたらまずいでしょ?
ガラスの靴?ああ、あれね。
あれを落としていったのは計算よ。
探そうにも、何か手がかりがなきゃ探せない。
もし何一つ手がかりが残っていなかったら、王子は私のことを諦めかねないでしょ?
ガラスの靴は『私を見つけ出して』っていう遠回しなメッセージなの。
でもまさか、国中の女に手当たり次第靴を履かせるなんて原始的な方法で探すとは思わなかったけどね。
あの靴は特注品なんだから、靴の中に書いてあった印から製造した店を当たって注文した客を調べた方が早かったのに。
まぁ、運良く私は足が小さかったから誰も靴を履くことは出来なかったってわけ。
最後に国の端っこにある私たちの家に来て、私だけが靴を履くことができ、ハッピーエンド。
これで分かったでしょ?
私は運命で王子と結ばれたんじゃない。
王子との出会いは、必然なのよ。
それをみんな馬鹿みたいに、私の存在を過信しちゃって。
よぉく胸に刻んでおきなさい。
幸せにしてくれるのは運命でも神様でも魔法使いでもない。
幸せは自分で掴むものなのよ。
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