秋とお月見と

「もう秋だね。夏が終わるのは寂しいけど、秋には秋で楽しみなことってあるよね」


「あー、そうだな。秋はそう言うの多いよな」


「だよね、ちなみに今一番楽しみなのなんだと思う?」


「またこのクイズ形式のやつか」


「いいじゃん付き合ってよ」


「はいはい、あー、秋だから、ベタなのでお月見とか――」


「うぉしいっ! すげえ! またノーヒントでニアミス!」


「それやめてびっくりするから。相変わらずテンションの跳ね上がりがすごいんだってだから」


「だっておしいんだもん! え? やっぱりエスパーなの? 人の頭の中スラスラ読んでる感じですかあ?」


「いやだから違うんだけども、それになんて言うか言い方? ちょっと感じ悪くないでしょうか?」


「で、なんだと思う?」


「あー、まあ正直当てられる気がしないからヒントは?」


「ヒント1、夜に眺める感じ」


「夜に眺める……、お月見じゃないの?」


「ヒント2、夜空に輝く感じがいいよね」


「夜空に輝く……、いやだからお月見じゃないの?」


「ヒント3、大大ヒント! 月とコラボしたことわざ……、あります!」


「月とコラボしたことわざ? じゃあ、お月見じゃないか」


「わからないかな?」


「わからん」


「正解は、おカボチャコロッケ見でした」


「わかるか! 正解聞いてもわからんわ! え、なに? おか? おかぼちゃ?」


「おカボチャコロッケ見。知らない?」


「知らない。は? なにそれ?」


「いいよ、とりあえずヒント検証からする? 点数変わらないけど」


「だから点数はどうでもいいよ。それにヒントもどうせ主観的なことだろ? アジフライの時と同じで」


「まーそうかな」


「一応ヒント3だけ聞いとく。どんなことわざよ」


「月とスッポンの派生形で、月とカボチャコロッケ、って言う」


「言わない。え? どう言う意味よ」


「月とカボチャコロッケどっちも良いよねって言う意味」


「相変わらず含蓄ねえことわざだな。それでなにさ? なにすんのおカボチャコロッケ見は」


「こうね、夜にね、カボチャコロッケを沢山作って、ピラミッド状に積んでそれを眺めるの。風流でしょ」


「それは風流なのか? それにアジフライの時からそうだけど、君の家の揚げ物を眺める文化はなんなの?」


「え? うちの地元みんなやってるよ」


「おカボチャコロッケ見?」


「おカボチャコロッケ見」


「どんな地元だよ!」


「脂っこいから食べないんだけど」


「そんでやっぱり食べねーのかよ!」

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