梅雨と紫陽花と

「梅雨だね。雨多いけど、この季節になると楽しみなことがあってさ」


「楽しみなこと?」


「なんだと思う?」


「え、なんだろ、この時期だから、あ、あじさいとか」


「おしいっ! すごい! ノーヒントでニアミス!」


「お、おお、なんか急にテンション上がるね」


「だっておしいもん! え? エスパー? 頭の中読んでる感じ?」


「いや、エスパーて、違うけども、まあそう言われて悪い感じはしないね」


「で、なんだと思う?」


「えー、でもごめん正直わかんないな。ヒント無いの?」


「ヒント1、パッと花開く感じ」


「花開く……、あじさいじゃないの?」


「ヒント2、キラキラ輝く感じがいいよね」


「輝く……、え、やっぱりあじさいじゃないの? 雨上がりとかの」


「ヒント3、大ヒント! あじさいとコラボしたことわざもあります!」


「あじさいとコラボしたことわざ? じゃあ、あじさいじゃないね」


「わからないかな?」


「わかんない」


「正解は、はい、アジフライでした」


「わからんわ! え、ちょっと待って、アジフライ? え、検証させて、ヒント検証させて」


「えー、いいけど点数変わらないよ」


「うん、点数とかはどうでもいいんだけど、まずヒント1のパッと花開く感じって何?」


「油に入れた時に、こう、衣が瞬間的に花開いた感じになるじゃん」


「あー……、うん、まあ、確かに天ぷらとかでそんな表現することもあるか、

でもそれをアジフライで言うか……、ま、まあ、じゃあヒント2は?」


「揚がったばかりのアジフライの衣に油が付いててキラキラって」


「んー、あー、照明の当たり具合とかでね、んー、うん、とりあえずでも、それをアジフライの評価ポイントに持って来ることについてはユニークと言わざる負えないかな。このヒントで一般人の俺が答えに辿り着くのは厳しいかな。で、あとヒント3なんだけど、これは俺が知らないだけなのかな? 全然思いつかないんだけど」


「これは有名だよ。花より団子の派生形で、あじさいよりアジフライ、って言うじゃん」


「言わない、それはない」


「言うよー、あじさいよりアジフライの方がいいなって言う意味のことわざ」


「含蓄もねーな。まあ、わかったよ、とにかくアジフライが楽しみなのね」


「うん。いくら見てても飽きないんだよね、結局食べないのに」


「食べねーのかよ!」

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