夏の夜の匂い

門前払 勝無

歩く

「夏の夜の匂い」


 アスファルトに反射するヘッドライトが私を嫌味に照らす。


 余裕のある奴が余裕の無い奴を嘲笑ってる。


 そんな感じー。


 ハイヒールが浮腫む足を締め付けて不快になる。

「脱いじゃえ」

私はハイヒールを脱いでストッキングで歩いた。

 環七の歩道は小石が散らばっていて踏むと痛いけど気持ちいい。

 噎せ返るような空気を吸いながら東中野駅まで歩いてる。私は地下に潜って明日の朝には山の中に帰る。

 東京の夏の夜の匂いは私の身体には馴染まなかった。

 

 嘘ばかり

 嘘ばかり

 嘘ばかり


 電車に乗ったら少し寝よう。


おわり

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夏の夜の匂い 門前払 勝無 @kaburemono

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