ちぎり
馬瀬暗紅
第1話
醜い
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真っ白お肌にかみそりで 千切って醜いその肌に
ざくっと ざくざく
線を走らせば 線を刻みます
忽ち線はあかくなる 一本線が増えるたび
あかがあかがあかが あかがあかがあかが
肌を濡らしてく 肌を染めてゆく
とろとろ だらだら
滴るあかを見つけたら 流れるあかに
あかい線ごと嘗めましょう あかいかみそり踊り出す
ぺろりと ぬるりと
舌が這う度に こころ流れ出て
甘美な心で満たされる 虚ろな私になったなら
溢れる思いをそのままに 包帯巻いて繕って
一筋二筋線を引こう 普通のセカイに混ざりましょう
千切りの訳はただひとつ 契りの訳はただひとつ
親と交わした一つの契り 生きる理由を持たせて去ろう
私に遺したあの言葉 娘に遺すこの言葉
「生きて」 「生きて」
聞いた途端に囚われる 聞いてたちまち囚われる
死んでも楽になれやしない 死んでもここに来させやしない
だけどあかにマミれる けれどあかにマミれる
私は今、すっごい幸せで 娘は今、すごくうつろだけど
私は今、生きている 娘は今、生きている
ちぎり 馬瀬暗紅 @umazeankou
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