第2話 魂の死

◆アーデアル世界

神界


パキン、パリ、ピシッ


「これは一体何の音なの?!」

「わ、分かりません。この神空間で音などが聴こえるはずは?!」


あり得ない、女神様の力で満たされたこの空間で、女神様が知らない現象が起きるなど、あってはならない事だ。


は?!なんだ?あの薄汚れた魂が崩れていく?そんなばかな?自力で自分を壊せるなど、聖人か勇者並みの魂の胆力がなければあり得ない。

ほとんど罪人同然の魂などに、出きるはずが?!は?め、女神様が泣きながら魂にすがる?神が感情を出すはずが?


「嫌ああああああ?!!」


「め、女神様?!」


「ああああ、こんな、こんな、酷い、あんまりよ、ああ、い、いま貴女を治してあげる、だ、大丈夫よ、すぐ、よくなるから」


め、女神様?!女神様が崩れた魂の欠片を集めている?ま、まさか!


「女神様!なにをされているのです?!その魂は、もう死んでおりま」

、この子は死んでなどおらぬ!」


ゴウッ、ぐっ、強烈な女神様の力の奔流が私に?!バアンッ、「が、はっ!」

私は、神空間の壁概念まで吹き飛ばされた?!


「さあ、貴女、もう大丈夫よ。ほら、これで元どうりよ」


私が、女神様の手元を見ると斑模様の丸い物?!到底、元の魂ではない!


「ふふふ、貴女に私の全ての加護と全ての力をあげる。それと、貴女は地上をすきにできる権限もあげるわ。これで、いかなる神ですら貴女に手が出せない」


ば、ばかな、あんな魂の紛い物に女神の全ての加護と力、そして地上を好きにできる権限!、それは、まるでただの機械に神と同等の力を与えるという事と同義だ!


「め、女神様、マリア様、創造神様から神罰が下りますぞ。どうか、を解き放すのはお止めください」


~?」ピシッ


は?!め、女神様のお顔にヒビが?

ビシッ、バシッ、か、身体にも?!い、いけない、このままではめ、女神様は?!


その時、その空間に巨大な神力が満ちた。


「ぐあ、こ、これは創造神様の神力?!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴッ、地鳴りのような巨大な神力、創造神様の降臨だ。

少しすると、全身が輝いた1人の銀髪の男がいた。


「マリア、すまなかった」


創造神銀髪男が女神様に触ると、たちまち女神様のヒビ割れはなくなった。


女神様は、眠りに入ってしまわれたようで、抱き寄せる創造神の腕の中で、すやすやと眠る。


私は、一息ついて創造神様に事の次第をお伝いする為、創造神様に近づいた。

その瞬間、私は創造神様から遠ざけられた。

近寄ったつもりが、いつの間にか、離れたところに私が立っていたのだ。


「説明はいらぬ、全て理解した」

私の頭に、創造神様のお声が。


「この罪、たとえ、我が世界を代償にしたとしても、償いきれぬ」


「は?世界を代償?創造神様、一体なんの話しですか?」


キイイイイーンッ、空間がまるで極寒の中にいるように張り詰める。

創造神様は、どうしたのだ?は!そうだ、あの魂の紛い物を処理しなければ!

私が、そう思った瞬間だった。


私は、壁概念にまた、激しく打ち付けられていた。

いったい、何が?!

急に創造神様から、激しい憎悪の念が私に届く。

わからない、私の何が創造神様の逆鱗に触れたのか?


「この世界の者は、何時もそうだ。この家族から、奪う事しか考えない。もはや、この世界は罪人しかおらぬ」


はぁ?創造神様のお言葉とは思えぬ発言?!

なんという事か!

あの罪人の魂が来てから、女神様も創造神様まで変わられてしまった。


どうすればよいのか。

やはり、あの魂もどきを破壊しなければ、神界までおかしくなっていくのではないか?


ゾクッ


は?!創造神様が私を、クズを見るような眼差しで見てくる?!

一体、どうゆう?


「女神の第一天使よ。お前には、新たな使命を与えよう」


新たな使命?

女神様の第一天使の私に、新たな使命を創造神様自らが指示されるなど、かつてあっただろうか?


「お前の使命は、この魂を守り幸せにする事だ」


は?この厄災の固まりのような魂を?!


「創造神様、お言葉ですが、この魂は世界の厄災にしかなりません。人々から忌み嫌われる存在をいかに、幸せに出来るというのです?」


私は、お怒りを覚悟で創造神様に物申した。

女神様と二人、ここまで守ってきたこの世界は、私にとってかけがえのないものだ。


そこに、確実に害毒となるこの魂を解き放つことなど、私には到底考えられない事だ。


「害毒か。お前達は、この家族から全てを奪い、不幸のどん底に落としただけではあきたらず、誰からも愛されない呪いをかけられた、この哀れな魂を害毒と、そなたは思うのだな」


「そ、創造神様?!」

創造神様が、顔を押さえて笑いを堪えている?

家族?誰の事だ?この魂と誰かが家族だと???


「ならば、この世界そのものが、この家族にとっては害毒なのだ!」


ドオオオンッ、バアアンッ「が、は!?」


ぐああ!、創造神様が空いている片手を振ると、また、私は神界の壁概念迄とばされ、叩きつけられた。


「罪人どもよ、お前達を創造した私も罪人に成り果てた。だが、罪を知らずに消滅するのは、酷だの。お前達に猶予をやろう。そのを防御力を人並みに転生させる。だが、攻撃力は神と同等だ。そして、その子と世界の寿命を一つにする。その子は、世界と同じ寿命を共有するが、人が死ぬような力を加えれば、その子は死ぬ。その子が死ぬ時、世界も終わるのだ」


な、なんだと?!そ、そんな無茶な!


「なら、お前が守ればよい。お前に神の攻撃力を防御できる力を与え、あの子の側に転生させよう。世界を守りたければ、あの子を守る事だ。寿命も同じにしよう。行くがいい」


「あ、うわあああ?!」


再び、創造神様が片手を振り、私は意識を手

放した。



「あの子の呪いを解き、幸せに出来た時、世界の存続を認め、世界の寿命の共有を立ち切ろう。忘れるでないぞ」



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



おぎゃぁ、おぎゃぁ、おぎゃぁ、おぎゃぁ


「あれま、めんこい子だな。まるで天使やないか」

「あんた」

ここは、アース大陸中央の小国、ヘパイ王国の辺境マカ村。


その村のとある家で、二人の子供が生まれた。

二人は双子であり、その夫婦にとっては、初めての子供だった。


「あんれ、この子はまったく泣かないんだ?それに、なんか双子なのに可愛くないべ」

「女の子の方か?生んだ子をそっただいうもんじゃねぇ」


こうして、マカ村の農家を生業にする家庭に生まれた二人。


時は戦乱の世。


二人の運命は、戦火の渦中にあった。

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