第6話
次の日、蓮が山寺に帰ってしまうと再びかるは虚しさにとらわれた。
一人でいると色々な事を考える。
慈円先生が蓮に、いつかは蓮も本山に来るだろうとおっしゃったという言葉が今度は気になり出した。
蓮がこのすぐ近くの山寺に帰ってさえ物淋しくて仕方のないかるなのに、本山と言えば歩いて何日もかかる遠い所にある大きな寺だというではないか。
何百人という僧侶達が日々学び研鑽していると聞く。
そのような厳しい所に果たしてあの華奢な蓮が行って務まるものだろうか。
考えれば考える程、心配がつのって来る。
それに引きかえ、山寺の和尚様は下に降りて来ての帰りには、供の者がいてもその供の者を一足先に帰して、ここを一休みの場所としてかるの所に立ち寄って下さる。
お茶を一杯飲んで一休みしてから山道を登って行くのだった。
ある日、かるは心安い和尚様に聞いてみた。
「和尚様、蓮は和尚さんから見ていかがでしょうか。」
「ああ、蓮清は日々頑張っておるヨ。人の二倍もの勢いで書庫にある書を読んでいるという噂じゃ。大した努力家だ。」
「それでは蓮もいつかは本山の方へ行くのでしょうか。」
「そうじゃな。本人が望むならそういう事になろう。」
「でも和尚様、蓮のようなかよわい体つきの者が秀才が多勢集まる中でやって行けますでしょうか。」
「あそこは体力もそりゃあるに越した事はないが、学ぶ意欲と理解力それに書く力、話す力等によって周りから認められ伸びて行く者もあるのじゃ。
きっと蓮のあの意欲なら本山でも他の者達に負けはせぬじゃろう。それに本山には蓮清の最初の師の慈円がいるからのー。
慈円は本山でも今では上からの誰からも一目置かれる存在になっているという話じゃ。慈円がいる限り、もしも蓮清が本山に行く事になっても心配はない。それに辛かったら、いつでもここに戻って来る事は出来るからの。」
和尚はそう言ってかるを安心させた。
「和尚様、もう一つお尋ねします。本山に行きましたらそこに留まつて一生そこに居るという事もあるのでしょうか。」
「それはある。特に有望とみられる者は、慈円のように若い僧達を指導する立場になり、増々皆から尊敬されて来る。そういう有望な者は本山でも手離すはずがない。本人が余程本山の空気が肌に合わないというのでなければ、本山に留まって皆から認められるに越した事はない。
何せあそこはあらゆる貴重な経典や書類が揃っているから仏の道に深く分け入ろうとする者にとってはかけがえのない場所なのだヨ。」
そういう答えが帰って来た。
和尚様の話を聞いて安心したいと訪ねたかるだったが、増々不安は大きくなっただけだった。
きっと蓮は本山に行くのだろう。
そして本山の書庫の中にある書物や経典を読みあさるだろう。
夢中で読んでいる蓮の姿が目に浮かぶ。
そして、本山に行ったが最後もうかるの手の届かない者になってしまうのだ。
急に力を落として元気の亡くなったかるを見て和尚は、
「お婆婆殿、蓮清が本山に行くと言ってもまだまだ先の事ですぞ。今はまだ勉強も足らないし、年もまだ若い。あと五・六年は先の事になるでしょうナ。」
そう言って励ますと山寺へ帰って行った。
あと五・六年か。
蓮を身近に感じて、蓮のお婆をしていられるのもあと五・六年と期限を切られたような気がして、かるは余計淋しく心細く、蓮が遠くなる日の事を考えた。
あの子が遠くに行ってしまったら、自分は耐えられるだろうか。
蓮が一度ここを離れて遠くへ行ったなら、二度と会えないような気がする。
それに自分もいつの間にかこんなに年を取ってしまった。
一人残されて自分はどうなるのだろう?
およしの最後や頭領の最後のように自分の体も思うようにならず死んで行くだろう。
しかもかるの場合は本当に一人ぽっちだ。
息が絶えて死ぬ迄の日々の心細さが想像される。
年を取れば体は老いるものだ。それはもう仕方ない。
だけれども、この虚しさは苦しい。
せめて、心だけでも何かに支えられて生きて行く事は出来ないものだろうか。
蓮がいなくなるその前に、自分も悟りを開いて笑顔で蓮を送る道はないだろうか。
そう考えると、今すぐにも何かしないではいられないような気持ちになる。
このままだと死んだ時は悔いが残るだろうと思う。
ただ悲しくて淋しくて一人ぽっちで死んで行きたくない。
例え一人ぽっちでも心安らかに死んで行きたい。
自分の最後があまりに哀れなものに思えて、今すぐにも何かしないでは悔いが残るような気がして仕方がなくなった。
蓮があのように夢中になっている仏の道とはどんなものだろう。
この年老いた女の自分が今からその仏門の入り口に片足だけでも踏み出す事が出来ないものだろうか。
世の中には尼と言って女の僧侶がいる事は聞いた事がある。
それなれば、自分になれぬ筈はないとも思う。
そう思い始めると、いつものように今すぐにでもまた、一日も早くと気が急いてならないかるだった。
それに自分が仏門に入れたら、蓮と繋がっていられるような気がした。
そうだ、私は尼になろう。
尼になったらきっと死ぬ時も心穏やかに逝けるだろう。
かるはその時そう思い込んでしまった。
あまりの心細さ、淋しさから抜け出す道は他にないと思うに至った。
でも自分はもうこんなにお婆さんだ。
それなら仮に形だけでもいい。
この俗世を捨てて、剃髪をして尼になり、それから仏の道を学ぼう。
そういう事は出来ないだろうか、などと考えたりした。
それなら蓮といつまでも細い糸で繋がっていられる。
そう思い込むと今までどうして、それが思いつかなかったか悔やまれた。
先日、和尚様がいらした時にいろいろ聞いてお願い出来たのに。
今度おいでになった時は必ず聞こう。
それまでは自分の身辺を整理しておこう。
いつかは豆腐作りをおゆうとおようの姉妹にただで譲り渡すつもりでいた。
今まで、あの二人には充分良くして貰ったし、蓮も家を出てこれからは自分一人の口をすすいで行けば良い身だ。
この後、大きくお金を必要とする事もない。
自分が死んだ時は、あの桜の木の下に埋めて貰えばそれでいい。
今は他に何も欲しい物もない。
後は自分が最後に目を閉じる時まで、蓮と御仏の縁という細い糸で繋がっている事が、心の支えになる唯一の道のような気がする。
それだけが、今のあらゆるこれから先の虚しさ、心細さを救ってくれるだろう。
かるは自分の身の周りや家の中を少しずつ整理し、片付けながら、自分のこの考えが間違っていないか。見当違いでないか。何度も思い直したり、又、笑われないだろうかと思ったりした。
そう考えていると以心伝心というのか。
四・五日も経たぬうちにまた、和尚様が寄って下さった。
かるはお茶を出しながら、和尚様に是非相談したい事がありますと話した。
和尚に「どんな事ですかナ。」と聞かれて、
「和尚様、お笑い下さいますな。私はこの通り学も何もない年寄り婆ですが、この年で剃髪して仏の道に入れますでしょうか。」とかるはいきなり聞いた。
和尚は一瞬驚いた顔をしたが、笑顔になって、「誰でも入れますぞ。この道は、女だ、年寄りだと遠慮のない世界です。お婆婆殿、この世に愛想でもつかしたのですか?」
と和尚様は笑いながら聞くので、
「愛想つかしをしたのではありません。私の心一つの不安の為だけに出家をしたいのです。そういう理由ではいけませんでしょうか。」と言うと、
「そんな事はありません。多くの僧侶はそれを求めています。お釈迦様もそこから始まったのですヨ。」
「それでは和尚様、私のようなものがすぐにも仏門の道に入るにはどうしたら良いでしょうか。」
「お婆婆殿は、ここを庵と考えて、ここで毎日心を込めて祈る。そういう事ですかナ?」
「はい。そう出来るのであればそうしたいと思います。
「和尚様、私の家にはこの仏壇の他には立派な仏像も何もありません。あるのはこの小さな観音様一つだけです。」
そう言って三寸ばかりの小さな木彫りの観音様を見せた。
和尚はそれを見てニッコリ笑うと、
「これがお婆婆殿の守り本尊
ですね。
」とおっしゃった。
「お婆婆殿が本気なら、私が得度をお助けして形を整えてあげましょう。
それから、最初は暫らく仏の道は何か、私の寺から暫らく講義をする者を差し向けましょう。その者はいまだ若いが非常によく勉強していて優秀な僧侶です。
その者から毎日一つずつ講話を聞き、その後少しずつお経を習うといいでしょう。」
和尚は驚く程、簡単に受け合ってくれた。
それから、得度した後の尼の衣装が必要になるが、その一式も揃えて用意しておいてくれると約束してくれた。
「何卒宜しくお願いします。」とかるが言うと、
「お婆婆殿。剃髪をすると後悔してもすぐには髪は伸びませんぞ。それでも宜しいですかナ。」と念を押してニヤリと笑うと帰って行った。
それから何日かすると寺から遣いの者が和尚からの伝言を持って来た。
得度する日と、その時に必要な物は大体揃えてあるから、体を清めて白い着物を身につけて来るように。
また、揃えた尼用の衣装代はいくらいくらかかるというものだった。
かるはその日を迎える前に、ずっと店を手伝ってくれているおゆうとおようにその事を伝えた。
「実は次から次へと周りにいた人達を見送って、蓮も自分の手を離れ淋しくって仕方がない。私は今まで、幸せな人生を送って来たし、蓮をおいて他に思い残す者がいる訳じゃない。その蓮も仏門に入ってしまいました。それでいろいろ考えた末、私も尼になるつもりです。それで、これはずっと考えて来たことですが、今まで一生懸命この店を手伝って支えてくれたおゆうさん、おようさんのお二人にこの店の何もかも一切合切差し上げます。
お金は一文もいりません。これは今までの感謝の気持ちです。」
そう言うと、おゆうとおようは大変驚き、
「尼になられるのはそれは本当の事ですか。」と聞く。
「本当です。得度する日も決まっておりますし、でも遠くへ行く訳ではありません。
今住んでいる家を庵とみなして残りの日々をお経を唱えてのんびり暮らそうと思います。
そうする事が自分の心が平安になる道だと考えて決めました。
ですから、今日からここの作業場と店はお二人の者です。貴女達のいいようにして下さい。今まで助けていただき本当にありがとうございました。」と言った。
すると姉のおゆうが、
「おかる様!はいそうですか。それでは遠慮なく頂戴しますとそんな訳には参りません。おかる様、おかる様はどうか仏門に入られて心安らかな生活を送って下さい。
私達は今まで通りこのお店をお手伝いしておかる様のお力になれればそれで良いのですから。」と言った。
おようも隣で深く何度もそうだそうだと頷いている。
「それでは俗世の欲と縁が切れない事になります。仏の道に入った者は物欲を持ってはいけないのです。
それならこういう事ではいかがでしょう。私はほんの少しのごはんを供え物としてお二人から頂戴出来ますか?それで充分です。本当にそれ以外はこちらから遠慮します。
それと、この先私が老
いて死にあの墓に入りましたら、年に一・二度墓の周りの草を取っていただければ嬉しゅうございます。
どうぞそれ以外はくれぐれもこの私の為にもどうかどうか遠慮致します。」
かるはそう言って帰って来た。
かるの意志の固さに二人の姉妹はもう何も言わなかった。
これで店の事も済んだ。
かるはさっぱりとした気持ちだった。
文之亟の亡き後、自分と五助夫婦が食べて行く為に頭領が奔走してくれて始めた豆腐作りの店だった。
そして頭領も加わり、やがて蓮がうちへやって来た。
あれから五助もおよしも頭領も蓮も、もちろんかるもこの豆腐の店のお陰で無事食べて来られたのだ。これで充分だ。かるは心からそう思った。
そうして、かるは和尚の定めた日に体を清め、山寺に登って行った。
まだ出家の何が何やら解らないが身の引き締まる思いだった。
そしてかるは蓮を含む寺の僧侶達全員が読経する中で、厳かに剃髪をし得度の式を無事済まし尼になる事が出来たのだった。
和尚はかるにかるいの軽と蓮清と同じく“清”の字で“軽清”という名前を付けて下さった。
和尚は普段、ワッハッハと豪快に笑いながらも、かるの淋しさ、特に蓮を失った悲しさを充分解っていて蓮と少しでも繋がっていたい祖母の気持ちを思って名付けてくれたに違いない。
尼の衣装を身につけるといかにも自分が俗世から仏の道に足を踏み入れたような気がして、心まで、昨日までの自分ではないような落ち着いた気持ちになった。
これからは、あらゆる事をクヨクヨ考えないようにしよう。
先々の事は全て御仏に委ねよう。
縁側から見渡す景色も心なしかずっと遠くまで見渡せる。
この庭や畑はこんなに広々としていただろうか。
こうして眺めているとそこにある空気までがしめやかにひたひたと身に沁みて来る。
一瞬、時が止まったようなこの静けさの中、話に聞く極楽浄土におわすという迦陵頻伽が今にも天から舞い降りて来そうな気配さえする。
美しい女の顔を持ち声のきれいな想像上の鳥が、もしも今、目の前に舞い降りて来たらと想像したりした。
かるはまだ形だけの得度をしたというだけで、いつもの景色がまるで違って見え心持ちも変わった事に驚きながら満足していた。
あんなに虚しく淋しかった心。
そして、自分がいつか死ぬ時の先々の事まで考えて眠れなかった。不安な思いが、今は不思議に成りを潜めている。
かるは立ち上がって仏前に置いてある数珠を手に取って改めて見た。
大粒の香木で作られた数珠。
昨日、和尚様から頂いた物だ。
そっと匂いを嗅いでみる。
香木のいい香りの中に限りなく広がって行く仏の世界の匂いがする。
この香りに導かれながら、これから静寂で深淵な仏の道のその森に分け入って行くのだ。
かるは目を閉じて香木の香りの中に想像を膨らませていた。
すると、「ごめんください。」という訪う人の声がする。
美しい声だ。野太い声ではなくて美しい優しみのある声だ。
一瞬、少し前まで想像していた迦陵頻伽が頭をよぎった。
そういう自分を苦笑しながら出て行くと、そこには果たして、あの蓮が立っていた。
「まあ蓮だったの!ごめんください等と言うものだから。どなたかと思って。」
とかるが言うと蓮は、
「お婆婆様、私は今日からは孫の蓮ではなくて寺から遣わされた“蓮清”としてここに来たのです。ですからお婆婆様も今から“軽清”様としてそのつもりでいて下さい。
私もまだまだ勉強中の身ですので軽清様にどれ程のお話が出来るか解りませんが、私の知っている事をお話してみたいと思います。」と蓮は言って、それでもいたずらっぽくニッコリ笑った。
こうして見上げると、蓮はもうすっかり立派な僧侶に見える。
かるは和尚が自分が仏門の世界に馴染みやすいように蓮をお遣わしになった事を感謝した。
蓮は仏壇の前に座ると、まずお経を唱えた。
お経の声は努力してそうしているのか普段の声よりも低く幅のある若者らしい声だ。どこまでも伸びる若々しい声だった。
一通りお経が済むと、蓮は仏教がどのように生まれたのか、この仏教を開いたのはどなたか。
つまりお釈迦様がどのような苦難の末に悟りを開いたのかを、かるが解り易いように噛み砕いて、それでいてざっくりと教えてくれた。
かるが、「それは余程遠い国なのでしょうネ。」と聞くと、
「ええ、中国の玄奘三蔵というお方は知っているでしょう?三蔵法師と言えば解りますネ。あのお坊様が何年もかけて教えをうける為、果てしない砂漠を苦労して旅をしたそうです。
途中、いろんな苦難に会いそれでも諦めずに天竺まで行き、教えを書いた巻物をいただいて帰って来たのです。
そのお陰で私達もお釈迦様の教えを知る事が出来るのですヨ。」
「砂漠という所はどういう所なのでしょうネ。」
「砂ばかりの世界だそうです。草一本無く、行けども行けども何もなくて砂だけの世界。喉が渇いても飲む水もない。だからそこで死ぬ人も動物も沢山います。そういう所だそうです。私達が住むこの国では喉が渇いて水が飲みたいと思えばすぐ近くに小川や小さな池や湧き水を見つける事が出来ます。少なくとも何日も水にありつけないという事はありません。
この国で生まれ育った私達には想像もつかないような所が遠い異国にはあるんですヨ。」
蓮とかるが、そういう話をしていると庭の陰の所に人の気配がする。
見に行くとおゆうおようの姉妹がいて、
「すみません。お昼を届けに参りましたら蓮清様のお話する声が聞こえて、とても有難いお話なのでおようも呼んで二人でこっそり聞いておりました。申し訳ありません。」と言う。
蓮清は少し頬を染めている。
かるは慌てて、「いいですよネ。蓮清様。こんなに良いお話は滅多に聞けるものではありませんからネ。」と言うと、
「ええ、構いません。私のようなまだ修行中の者の話で良かったら。」と言った。
姉妹は、「決してお話のお邪魔になるような事は致しませんから、これからも聞かせて下さい。」と言った。
それから蓮は、自分の時間が許す限り、例え短い時間でも山寺から降りて来て、かるにいろいろな話を聞かせてくれた。
人に話して聞かせる為には、話す事の十倍も二十倍も勉強して知っておかなければならない。短い一つの話でも、その話の中に出て来る物や人の事を知っているのでなければ話は奥行きのない薄っぺらいものになってしまう。
元々、蓮が実際に見た事も無い大昔の話だ。
しかし、それでも蓮は寺での自分の仕事をこなした後、少しの時間を見つけては書庫に通い勉強していた。
また、今までは自分なりに漠然と理解していた事でも、かるに話して聞かせる為に細かい所まで先輩の僧や和尚の感想を求めた。
かるやおゆう、おようの姉妹のように、初めての人達にとっては自分達僧侶にとって当たり前に知っている事でも珍紛漢紛の事もある。
例えば初めて扉を開けて入ったその部屋に置かれているものや空気や香り、壁の色や天井の様子。はたまた置いてある物一つ一つを手に取って見るがごとくに聞いている者に言葉を使って説明してあげるのでなければ講話の意味がないと蓮は思った。
講話は偉いお坊様が頭脳の明晰な弟子の為にだけするものではない。
話を聞いた弟子達がその貴重なお話を充分に理解し、自分の中に味わい飲み込んだものを更によーく噛み砕いて世の中の人々に話して聞かせてこそその講話は生きて来るのだと思う。
蓮は慈円の講話を聞いた時、心からそう思った。また、その事を肌身に感じる事が出来たのはこの度の経験によるものでもあった。
この度の事は、若い蓮清にとって大変幸運な事だったろう。
和尚はかるの願いを快い
形で実現してあげながらも、この度の講話を蓮に任せたのには数奇な運命の勉強熱心な蓮清という若い僧侶が、この先、どこまで歩いて行けるのか。
どのような心持ち底に持って、この仏の道を歩んで行くのかを期待を持って、ほんの少しの試みをしたのかも知れなかった。
蓮はまだ未熟ながらも言葉の大切さを知った。言葉の持つ力を知り、知識も必要なら、その知識を人に伝えるには言葉の力を身につけなければならない事を痛切に感じた。
自分はあまりにも未熟だ。未熟だからこそ何事につけいい加減な勉強ではいけないのだとそう思った。
その事に目が覚め努力したからだろうか。それとも持って生まれた話し方か。
蓮清の話は実に解り易く面白く、そして聞く側に不思議な魅力を感じさせた。
やがてかるはもちろんの事、邪魔にならぬように庭先の陰で聞いている、おゆうやおようの楽しみになって行った。
そのうち、大した宣伝をした訳ではないのに、いつの間にか一人増え二人増え
して庭の陰になる所は狭くなってしまった。
何と多い時には二十人近くの人達が聞きに来るようになっていたのだから。
かるはそれを知ると、庭先にむしろを敷いて、そこに座って聞くようにとおゆうとおように話した。
やがて基本的な話が終わると蓮は、毎日ではなくて月に四回程の決められた日だけ来るようになった。
それでもかるにとってはその日が来るのが待ち遠しく、平素は畑作りも熱心にするようになり、以前のようにボーッと虚しくなるような事は無くなった。
蓮は私の先生だ。
大したものだ。私は鼻が高いよ。
あの子があんなに素晴らしいものを内に秘めていたなんて少しも気が付かなかった。
蓮の講話を聞きに来る人があんなに集まるなんて。そして、その誰もが聞き終わった後は満足して帰って行った。
かるも仏の道とはどういうものか、すっかり解りはしなくても見知らぬ異国の天竺の方から吹いて来るその風を香木の数珠の香りと共に、いつも身の周りに感じている気分だった。
目を上げて、話している蓮を見ると、増々成長し、内なる知性を漂わせたその声、話し方、面差しは見れば見る程、
いかにも今、花の蕾が開いたばかりのような初々しい美しさが匂い立つような風情で
かるは蓮の講話を聞きながら、きれいだと思った。
本当にきれいだと思った。
娘ならば美しい盛りだ。
特別に美しい着物を着る訳でもなく、髪も結い上げかんざしをさす
のでもなく、唇に紅をさす訳でもないのに。
蓮、お前はこんなにも美しい。
頭は青く剃り上げ、墨
染めの衣を身につけただけの、むしろ、自分の持つ娘らしさを見せたくない蓮なのに、その美しさは隠しようもない。
蓮は今、十六の筈だ。
かるは改めて胸がズキンと痛んだ。
こんなに美しく生まれながら男として僧侶として生きねばならない蓮。
この美しさもいつかは枯れて行くだろう。
この咲き始めたばかりの、世にも稀な美しさ。
もったいない程の美しさもやがては年老いて枯れてしまうのだ。
ああ、勿体無い、勿体無い。
かるは自分が生まれながらに持ち得なかっただけに、尚更、そう思うのだろうか。
蓮が体に秘密を持つ哀れさからだろうか。
かるは苦しい程にその美しさを惜しんだ。
庭先でむしろに座って話を聞いている人達にはせめて、今の蓮の姿、話し方を目の底に、耳の底に焼き付けて残しておいて貰いたいと思った。
切ない程そう思った。
やがて山寺では蓮の他に代わる代わる話し方の勉強を兼ねてか、他の僧侶も講話をしに来てくれた。
どの僧侶も皆、話す内容を勉強しているらしくどの話も面白く為になった。
それでもかるは祖母の欲目か蓮の話が一番聞きやすく、格別幸せな気分になるのだった。
作業場と店をすっかり、ただで譲り渡したおゆうとおよう姉妹はあれからも毎日それが務めでもあるようにかるに三度の食事を作って届けてくれた。
かるはそれを遠慮なく頂戴し、甘える事にしていた。
ある日、月末になると二人はかるの所に揃ってやってきた。
店の売り上げから材料費などを差し引いた儲けをきっちり三つに分け、おゆうがその一つ、おようがその一つ、そして残りの一つをかるの所に持って来たのだった。
かるがこれは受け取れないと押し返すと、これはご喜捨ですと言う。
「どうか私達に喜捨させて下さい。かる様いいえ軽清様。
いくら俗世を捨てたとはいえ、いついかなる時お金が必要となるか解りません。
私達は軽清様のお陰で今の仕事を持つ事が出来ました。本当に感謝しております。私達は貧しい百姓で、その年の天候では家族がいつ飢えて困るか毎年不安を抱えて生きていました。
それが、この仕事をお手伝いさせていただいてからはその不安が無くなりました。
その上、この商売そのものをかる様からそっくりそのままただで頂いたのです。
夢のような気持ちです。それを良い事に喜んでばかりいては必ず罰が当たります。
その上、毎回お坊様方の有難いお話が聞けて目が開く思いです。
このくらいのご喜捨で私もおようも安心して良い気持ちで毎日が送れるのです。どうかお納め下さい。お願いします。」
二人の心は堅いようだった。
そうまで言われると、かるはその金包みを有難く頂戴して何かの時の為に手を付けずに貯めておいた。
毎日の売り上げが入った小銭ばかりの包みだが、おゆうとおようはそれからも毎月、月末になるとご喜捨と称して律儀にかるの所に小銭の重く入った包みを置いて行った。
かるはその小銭ばかりの包みでもそこにお金があると思うと心丈夫であった。
その心丈夫がやがて思いがけなく大胆な夢を抱く事になった。
ある日、かるは山寺に新しい観音様が祀られるという事で尼として招かれた。
その観音様を拝みに久しぶりにお寺に参った。
それは本山からのと全国あちこちに散らばる裕福な檀家や分限者からの寄付によってこの度、寺に祀られる事になった。
今まで見た事も無い観音様だというお話はかるも聞いていた。
その日の寺の中は、多勢のお坊様方や、お客人達で賑わっていた。
かるは一番後ろの末席に座り蓮の姿を探した。
蓮の姿はすぐに見つかった。
婆婆の欲目かも知れないが、多くの僧侶達に混じっていても一人際立って美しい。
蓮は例えどこにいようとすぐに人の目につくのだ。
かるは満足して、他の僧侶達の読経に合わせて今や、すっかり覚えて身についたお経を声を出して唱えた。
やがて、新しい観音様のお披露目になり今まで被せていた白い布が払われた。
何とそこには今まで見た観音像ではなく、まるで生きておられるような今にも動き出しそうなお姿と、お顔の観音様が現れた。
その途端一斉に、おおーッという声が上がった。
かるも驚いてしまった。
見れば見る程、まるで生きている観音様が今、正に天井から舞い降りてそこにおいでになったようにまとっている衣も柔らかく美しいなら、お顔も福々しく血の通っているような面差し。
何よりも驚かされたのはその目の生き生きとした光だった。生きた人のように目に光があり、今にもこちらをチラリと見るような気配がするのだ。
金銀を散りばめたそのひれをたなびかせて今まさに、降り立ったばかりの天女のように口元は今にも開いて何か話し出しそうであり、目は涼し気に光を湛えている。
「生きた観音様だ!」誰かの声がした。
そこにいた者達は誰もが驚きざわめいた。
かるも呆気にとられて見つめていた。
「どなただ!この観音様をお作りになったのは、どなたじゃ?」
皆は一斉にそう思い囁いた。
すると、よこの列にいた中から白い作務衣を着た仏師が紹介された。
こちらは都でも大変有名な仏師の森慶様と林慶様です。
年の離れた二人はやはり父親と息子という事だった。
かるはその観音様を見た瞬間、頭の中はある考えでいっぱいになった。
”蓮の今の姿をとどめて作って貰おう”
絶対に、絶対に、蓮のあの姿を作って貰うのだ。
花がいつかは枯れるように。蓮のあの美しさはいつかは枯れてしまうだろう。
野花は一度枯れてもまた春になれば花をつける。
だが蓮はこのまま枯れてしまうのだ。
母親にもなれず、父親にもなれず枯れたまま、いつか老いて死んでしまうのだ。
可哀想な蓮。
かるが生まれてから欲しくとも得られなかったあの花のような美しさ。
ああ、勿体無い、勿体無い。
あの隠しても滲み出るような瑞々しい美しさをあの仏師様なら形に残して下さるかも知れない。
かるは突然、そう思ってしまった。
出家をして尼となって静かな心持ちになった筈のかるだったが、また燃えるような願いが目を覚ました。
そうだ!他に方法はない!
蓮はあと一・二年で私の傍を離れて遠くへ行ってしまうだろう。そして行ったが最後、この婆婆の足では会いに行く事も出来ずに離れ離れのまま私は死ぬ事になるだろう。
悲しくて淋しいが、我慢しなければならない。
その為に自分も尼になり、一度は同じ仏の道を歩む者同志と思い、細い糸で繋がったと満足したかるだったが、また俗世の欲が顔を出してしまった。
思いつくとその願いはみるみる大きく膨らんで抑えようもなくなっていた。
かるの心の中は目まぐるしくその為の想いが駆け巡っていた。
大層、お金がかかるだろうか?
あの小銭の包みがいくつかあるが、それではまるっきり足りないだろう。
やはりはなっから無理なことだろうか?
ああ、それにしても無理だと思うとなお、悔しい。
唇を噛んで、歯ぎしりをして子供のように地団駄を踏みたい程になった。
どうしたものだろう。あの蓮の今の美しさを残しておくにはどうしたら良いだろう?
その式の間中、かるは途方もない思いつきに囚われてその事一つだけを考えて悶々とした。
有難い観音様を目にして物欲が目を覚ましたのは何と言う皮肉だろう。
いつの間にか式が終わって人が腰を上げ帰り出していた。
この途方もない思いつきを果たす為にはボンヤリしてはいられない。
何かに急かされるようにかるは蓮を探した。
蓮は他の僧侶達と一緒に帰るお客を見送っていた。
それを認めると次にそれからかるは、あの二人の仏師がどこにいるか探した。
二人の仏師は観音様の脇で数人に偉いお坊様と話をしている最中だった。
かるは落ち着きを装って傍へ行くと、
「大変美しい観音様ですね。見れば見る程、生きているように見えます。」と話し掛けた。
その声に、仏師達はかるを見た。
小さくて自分の脇程の背丈もない縮んだような小さな尼だ。
それも目だけがランランとした年老いた尼が話し掛けたので、二人共邪険な対応も出来ず、
「そうですか。そう言って下さると光栄です。」と言った。
かるが話し掛けた所で、偉いお坊様方はどこかへ行ってしまわれた。
「私、とても感動してしまいました。これからお帰りですか?」とかるが聞くと、
これから帰って今日は昨夜泊まった宿に一泊して明日の朝、そこから旅立つのだと言う。
聞けばその宿は、あの老女様や豆腐作りを教えてくれた豆腐屋のある街にある宿屋だという。
かるは、「私の庵はここをまっすぐ下った所にある粗末な庵でございます。ほんのひと時だけ立ち寄っていただけませんか?お茶を差し上げたいのです。
町の宿屋には大人の足ではそうかかりません。是非是非、お寄りになって行って下さい。」
かるが強く勧めると、二人の仏師は顔を見合わせ頷いてかるの庵に寄って行く事を決めたようだ。
二人の仏師が和尚様に帰りの挨拶をしている間に、かるは急いで蓮の所に行き強引に蓮の手を引いて連れて来た。
そして仏師の二人に引き合わせた。
「仏師様、これは私の孫で蓮清と言います。この孫は今、一生懸命この寺で修行しております。そして、やがてこの孫はあと一年か二年で遠くの本山へ行く事になるでしょう。
仏師様、そうなればこの年老いた婆は二度とこの孫に会えずに死ぬ事になりましょう。
仏師様、妙な事を口走る妙な婆だとお思いでしょうが、仏師様お願いでございます。
今はこの蓮清をよーく見て目にとどめておいて下さい。
どうかどうかよーく見て目にとどめて下さい。」
蓮はいきなりのかるの行動に訳も解らず、ただただ婆婆様はどうなされたのだろうと不安な気持ちを持ったろう。
二人の仏師も妙な事を言う尼だ。それにしても、この祖母だと言う年老いた尼と、ここに立って頬を赤らめている美しい僧が、実の祖母と孫であるとはあまりに違い過ぎて二人の仏師はそれも奇妙で可笑しくて、代わる代わる若い僧侶と年寄り尼を見た。
見れば見る程、正反対だ。
この二人に言葉を当てはめるとしたら、美と醜、美醜と言う言葉が正しくそれだ。
心の中でそう思ったりしたろう。
何か妙な気分のまま、美しい若い層に見送られて仏師二人は小さな老いた尼の後ろについて寺の坂道を下って行った。
かるは自分の家に二人の仏師を連れて来るとお茶を出し、おゆうおようが差し入れてくれた味噌ダンゴをお茶うけにして一服して貰ってから、切り出した。
「こんな年寄りのちんちくりんの尼が突然話しかけて孫の顔をよく見ろ等と話し出し、さぞ頭がおかしくなったとお思いでしょうね。どうぞお許し下さい。老い先短い年寄りの戯言と笑い飛ばして下さって構いません。
でも、私の気持ちだけは耳に入れて下さい。それが叶うか叶わないかはそちら様の勝手です。私はこの願いが到底叶わない願いと知りながら、言うだけの事は言わせてもらいます。
それがはなっから無理と諦めて口に出さないで仏師様をお返ししたら、私は死ぬまで後悔する事が解っているからです。」と言った。
すると林慶という若い仏師が、
「何でしょう、その願いというのは。」と聞いた。
顔は際立った特徴がなく平凡な顔立ちだが、話し始めると目がキラキラとして急に魅力ある内面が現れる、そんな若者だった。
かるは、「実は私はあの観音様を見て突然、立場や身分や自分に財力のないのもわきまえないで、とんでもない願いを抱いてしまったんです。はっきり申し上げます。
仏師様、私はあの観音像を作り上げたお二人に、孫の蓮清の姿を残して欲しいのです。実物大のあの蓮清そっくりの形を残して欲しいのです。孫を可愛がるあまり気がおかしくなった婆と笑って下さって構いません。私の周りの者達は皆、死んでしまってあの孫だけが私に残されました。あの子が成長して仏門に入り山寺に行ってしまうと、あれとの別れが淋しくて悲しくて私は和尚様にお願いして尼にまでなりました。そうすればどこかで繋がっていられると思ったからです。それで気持ちはおさまる筈でした。
でも仏師様。あの蓮清を見ていかがでしたか?
あの子は今、あんなに美しい。そう思われませんでしたか?それなのにあの子は仏の道に身を捧げてそこでいつか年老いて行くのです。本人はそれで満足かも知れませんが、私は悲しくて悲しくて仕方ありません。これには他に深い訳があり人様にお話しする訳には参りません。」
ここまで話しても仏師は一言も言わなかった。
「あの観音様は出来上がるまで、随分日にちがかかったのでしょうね。それにかかる費用、金額は莫大なものでしょう。私も自分がどれだけ無謀な事を言っているのか解っています。」
ここまで話すと、かるは自分の財力の無さを思って急に力が無くなったが、立ち上がって仏壇の所まで行くと、幾つかの小銭のぎっちり入った金包みを持って来て二人の前に置いた。
「小銭ばかりですので大した金額にはなりません。ですからお偉い仏師様にお願いする事は叶わないでしょう。一番下のお弟子さんでも構いません。このお金で“蓮清”の座像を作っていただけませんか?今のあれの姿を残しておきたいのです。
あの子の美しさ
あの子の優しさ
あの子の悲しさ
実物大のあの子をこの婆婆の手元に残しておきたいのです。
この婆婆
がいつかここで息を引き取るまで、あの子の姿を傍に置いて生きて行きたいのです。」
かるは精一杯の想いを込めて話したが、二人の仏師は最後まで何も言わなかった。
何も言わないというのは無理だという事だろう。暫らく気まずい沈黙が続いた。
やがて二人は黙って立ち上がって帰ろうとした。
そして気の毒そうな顔をしながら家を出て行ったのだが、かるは何を思ったか夢中でその後を追いかけると、後ろを行く若い林慶に走り寄ってその袖をつかまえて耳元に囁いた。
「あの子は本当の観音様なのです。男でもあり女でもある本当の観音様なのです。」
そう言ったのだった。
息子の方の若い林慶は驚いてかるを見た。
「そうです。そういう訳だから尚更、あの子の姿を残しておきたいのです。この事は内密にして下さい。
誰にも決してお話下さるな。例え父上様にも…。貴方だからこそお話しました。」
かるは突然何かに背中を押されたように、走り寄って打ち明けてしまっていた。
その後、一瞬悔いたがもう遅い。口から出た言葉は戻っては来ない。
先を歩き始めた父親の森慶は、何を話しているのだろうと振り返っていた。
その後を早足で追いかけながら追いつくと、息子は何でもないという風に首を振って答えているようだった。
とにかく頼むだけは頼んだが、恐らく無理だろう。
だが自分に出来るだけの事はしたのだ。
例え願いが叶えられなくても、自分自身には言い訳がつく。
ただ一つ林慶という若い仏師に秘密を打ち明けた事を軽率だったかと思い返していた。
やはり言ってはならなかったろうか。
だがあの時の自分はどうかしていた。
誰かに背中をどんと押されたように走っていたのだ。言ってしまったものは仕様がない。
だが、あの林慶の目は信用出来る目だった。
誰かれ構わず人の秘密を面白おかしく人に話す類の人間には見えなかった。
とにかく話してしまったのだ。
悔いても仕方がない。
やるだけの事はやった。無理と解って話した。
だがやっぱり最初から無理な話だったのだ。
それにしても蓮の秘密を話すなんて、私は何て馬鹿な年寄りだろう。
こんなわずかな銭の包みまでだして何て私は愚かなんだろう。
その後かるは、幾度もあれこれ繰り返し自分を責め続けたが、やがて悔いる事をやめた。
やるだけの事はやった。それだけを思い続ける事にした。
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