神様にあいました
誰かの呼ぶ声が聞こえる。そして、体が揺さぶられているような気がする。人が心地好く寝ている時に起こされるのって嫌な気分。不快に思い目を開けるとそこは真っ白な何も無い空間で、唯、無駄に顔の整ったイケメンが立っていた。
「………」
「やァやァ、”また”逢えたね?」
「……神様?」
「そう!ボクは神様」
神と名乗る男の顔をじっと見ていると、不意に意識が朦朧として、「おやすみ……なさい」と小さく呟く。
「ちょちょ、寝ないでよ”リリィー”ちゃん」
「─ッ?!」
『リリィー』その名を聞いて仕舞えば、眠ることなど出来ず、ガバッと反射的に起き上がってしまう。何故なら、その名は
胸の内にずっとあったつっかえみたいなモノが、『リリィー』と呼ばれた事で落ちていく。悪いとは思ったが神様の顔をもう一度良くみると、遥か彼方に覆いやった記憶が蘇ってくるような気がした。
「悪いと思ってるのならさ、そんなジロジロ見ないでよリリィーちゃん。ボク、照れちゃうじゃん?」
「………」
神ぽくないこの神様についても何となく記憶が蘇ってくる。白城百合として過ごしていたこの地球とは別の神─つまり、リリィーとして生まれ落ち過ごしたあの世界の神様を私は思い出した。
「創造神…アト…ラティス様?」
恐る恐る神様の名を口にすると、名を呼ばれた神様嬉しそうにパァーと花が咲いたように笑った。その姿が、何処か子どものようで、そして、その笑みが最愛のあの人の笑顔と重なった。
「やァ〜とッボクの事を思い出してくれたようだね〜。嬉しいよリリィーちゃん」
「なんで、私は…死んだんじゃ……」
「死んだよ。白城百合はトラックに轢かれて死んだ。そして、君は生まれ変わるんだ。ボクが作った星─マティアスの住人として」
神様の口からハッキリ言われる死んだという事実。地球の神様じゃないけれど、アトラティス様もれっきとした神様。神がいうのだから、それは紛れもない事実。だからなのか、私は其れをすんなりと受け入れる事が出来た。
「生まれ変わるという言い方は少し語弊があるね。君は元の生まれた世界に戻って、百合の容姿で過ごすってこと。つまり転移だね」
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