練習問題③長短どちらも 問1
一段落(二〇〇~三〇〇文字)の語りを、十五字前後の文を並べて執筆すること。不完全な断片文は使用不可。
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先頭集団には五人が残っていた。遠くにゴールの中学校が現れる。ここで一人、安西が飛び出した。ついて行きたいのを堪えて見送った。体育科推薦とは勝負しない。学校前の池の縁までやってきた。野球部の山川がスパートをかける。その差が開き、焦りが募っていく。それでもまだ、ギアは上げない。池の端まで来て車道を越える。ここから校舎の周りを半周する。今だ、と一気にスパートをかけた。一〇メートルの差が縮み始める。歩道のレンガが靴底を押し返す。プール横の私道を駆け抜ける。その差が五メートルになっていた。フェンスの向こうに後輩が見えた。恥ずかしい姿は見せられない。ついにグラウンドへとたどり着く。その差は二メートルを切っていた。バックネットの裏を過ぎる。直線の先にゴールと安西が見えた。その手が「来い」と強く引かれた。歯を食いしばる山川の横顔が見えた。人垣から悲鳴と声援が聞こえた。もう背中を追ってはいなかった。そのままゴールを走り抜けた。
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