第7話 電話のやり取り
安藤さんが帰ったあと時計を見ると昼近くになっていた。
その日の夕方はサトミが俺の家に遊びに来る事になっていたが、あんな事があった後なので万が一を考えて家には来ない様に電話する事にした。
スマホでサトミに電話をかける。
呼び出し音はなるが電話には出ない。
仕方ないのでGメールで昨日からつい先ほどまでの出来事を結構詳細に書いて送った。
最近はLINEが主流な通信手段となっているがサトミは未だにガラケーを使っていて連絡手段は電話かGメールだ。
Gメールは仕事の上司にも毎日出勤前に送る。
コロナが流行した影響でその日の体温と体調に問題が無いか報告するのだ。
程なくしてサトミから電話がかかってきた。
「青木さん大丈夫!?さっきメール見て驚いたよ!」
「あ、うんマジ超怖かった」
「もし私が午前中に遊びに行ってたらその下田とかいう人と鉢合わせしてたよね。そう考えると怖い話だね」
「ああ、だから申し訳ないけどしばらく落ち着くまでは俺たち直接会わない方が良いと思う。目付けられたらお前もヤバいかもしれねーし」
「分かった。けど青木さん自身は大丈夫なの?」
「それがな、警察の生活安全課の人には色々相談したけど、あまり当てにはなりそうもねーんだよ」
俺は安藤さんに言われた事をサトミに話した。
「そうなんだ・・・。じゃあさ、青木さんのお父さんに相談してみたら?身内だし、警察以外で頼りになる存在でもあるんじゃないの?」
「オヤジ?アイツとはもうオフクロが死んで以来10年も会ってねーよ。大体アイツは俺の事なんてどうでもいいと思ってるだろうしな」
俺は吐き捨てる様に言った。
「そんなの話してみないと分からないじゃない」
「・・・話さなくても分かるさ。オヤジは昔からそうだった。アイツは自分のプライドが高いからな。勉強しろだの一流大学の法学部を出ろだの・・・そんな事しか俺に話さない奴だよ。35歳にもなって期間工なんてやってるこんな出来損ないの俺を見たら鼻で笑われるだけで味方になんかならないさ」
俺の心境を推し測ったのかサトミはそれ以上オヤジの事は話さなかった。
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