第8話 閃き
サトミが来ないとなると予定が空いてしまった。
Gメールには下田からのメールが何通も来ていた。
”どうして警察に本当の事を言わなかったんです?”
”私が被害者なのに、あなたよく被害者面できますね?”
”神様はすべてをお見通しなんですよ?”
”神様はきっと私を守り、あなたには罰を与えるでしょうね”
”罰は一回とは限りませんよ?一回だけはなぜかあなた罰を受けなかったみたいですけど。きっと神様の手違いでしょうね”
気味が悪いので読むのも嫌だったが、仕方ない。
何よりこのメールは後々自分の身を護る有利な証拠になるかも知れない。
どうぞ好きなだけ嫌がらせメール送れよ・・・。
俺はため息を付いた。
午後3時か。
台風は勢力が強かったがもう完全に通り過ぎたようだ。
メールをもう一回見る。
”罰は一回とは限りませんよ?一回だけはなぜかあなたは罰を受けなかったみたいですけど。きっと神様の手違いでしょうね”
これはどう言う意味だ?
罰という言い方が少し引っかかった。
一回だけとは限らない?
何言ってるんだアイツ?
また俺ん家来る気か?
隠しカメラは用意してるから好きなだけ来いよ。
ああでもアイツ、カメラの隠してある場所知ってるんだっけ?
まあでも持ち去ろうとすればwifiで接続してある撮影データでパソコンに記録されるから、逆に願ったり叶ったりなんだけどね。
先ほどの防犯カメラのメモを取り出した。
初めて下田と会ったのは9月7日月曜日か・・・。
二週間も立っていないがもう相当前からアイツの影に悩まされている気がする。
特にひどくなったのは今週の水曜からだ。
それから連続3日も下田が来ている事になる。
何だよ。これがアイツの言う罰なら一回どころか三回以上受けてるじゃねーか!
そこまで考えて俺は全く違う可能性を思いついた。
そうだ。あれは確か先週の遅番の通勤途中・・・。
あの時感じた違和感。
・・・ッッ!!
俺の頭に戦慄と悪寒が走った。
だが・・・それと同時にこれは下田の尻尾をつかむ最大のチャンスである事に気が付いた。
どうしてもう少し早く気が付かなかったのだろうか!
もう遅いかもしれない。
だがまだ間に合うかも知れない。
家の外に出た。
外は強い風が吹いていた。
雨はあがっていた。
俺は走りながら安藤さんにもらった名刺の電話番号に電話をかけた。
「青木さんですか?すみませんねえ。上司と協議したんですが、現状まだ難しい状態でして・・・」
「違うんです!俺はとんでもない事を見過ごしていました!」
俺は目的の場所に着いた。
”ソレ”を見上げる。
疑惑は確信へと変わる。
俺は自分の仮説を安藤さんにまくし立てた。
「・・・青木さん。それが事実なら担当は刑事課です。私が急ぎ説明してそちらに刑事を向かわせます。辺りと”
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます