第3話 サトミ
その日は休日だった。
俺のマンションの俺の部屋。
部屋にはサトミが来ていた。
まあ何と言うか、俺が勤務している工場の同僚で女友達だ。
男女の関係では無い。
仲良しではあるが。
そもそもサトミは結婚しているので付き合っていたらそれは不倫だろう。
自然遊ぶ時は俺の部屋と言う事になる。
家で出来る遊びはTVゲーム位しかないが、外で遊んでいては不倫を疑われるし。
「青木さん。クーラー付けずに窓開けてるの暑くない?」
「あ?もう9月だろ?クーラー何ていらねえよ」
サトミが遠回しに冷房を付ける様に催促したので、俺は遠回しにいじめてからかってやった。
「それに今コロナ流行ってるだろ?窓は開けといた方が良いって。俺留守の時も換気のために窓開けてるぜ?」
「前から思ってたんだけど・・・。それって防犯上まずくない?」
「ここ5階だろ?1階や2階ならともかくここまで登って来る命知らずはいねーよ」
「そうかも知れないけど」
サトミは俺のパソコンに目を向ける。
「青木さんパソコンもスマホもパスワードとか設定してないでしょ。危機管理意識低すぎない?」
「ああ。けどスマホは最近ロック設定したよ」
「そうなの?」
この間の下田と言う男。
アイツにスマホ奪われそうになったしな。
サトミにその話をした。
「え~?明らかにヤバい人じゃない」
「ああ、けどアイツには脅し入れたから二度と関わる事ねーよ」
「なら良いけど・・・」
サトミは心配そうに俺を見る。
心配してくれているのだろう。
「ところで青木さん。私旦那に青木さんの事話そうと思うんだけど。職場先で男友達が出来たって」
サトミの発言に俺は驚いた。
「まずくないか?不倫だと思われるだろ」
「そう?ただの友達じゃない。旦那に秘密にしてる方が不倫みたいで私嫌なの」
サトミの旦那は地方の企業で働いていて共働きだ。
サトミとその旦那の間には子供はいない。
子育てに金が要る訳ではない。
なのにどうして共働きかと言うと、サトミの旦那が自転車をこいでいる時に歩行中の老人とぶつかって、相手を意識不明の重態にしてしまい、植物人間の様な状態にさせてしまったそうだ。
さらにマズイ事に旦那は自転車保険に加入していなかった。
莫大な賠償金を払う事になってしまい、サトミは給料の良い自動車工場に出稼ぎで働くことになったという。
自動車工場は体力的にきつい仕事だが、女の身でありながら文句も言わず男性従業員以上に良く働く。
俺はそんなサトミの姿勢に魅力を感じていた。
まあ、あくまで友達としての魅力だけど・・・。
「で、旦那に話そうと思うんだけど」
「うーん。お前馬鹿正直な所あるけど、それは流石にやめとけ」
俺は注意した。
「青木さんがダメって言うなら話さないけど・・・」
サトミは渋々了解してくれた。
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