第2話 内容証明郵便

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9月11日 金曜日

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俺はチャイムの音で目が覚めた。

時計を見ると午前11時。


何だ?また訪問営業か何かだろうか?


俺はうんざりしながら玄関を開けようとした所でつい先日の出来事を思い出した。

あのトカゲの様な男。


まさかとは思うがまたアイツが来たんじゃねーだろうな?

俺はドアののぞき穴から外を見てみる。


そこには郵便配達員の作業着を着た男が立っていた。


念のためドアのチェーンを掛けてドアを開ける。


「こんにちは。内容証明郵便の配達で来ました」


内容証明郵便?

俺は聞きなれない単語に首をかしげた。


チェーンを外して配達員から封筒を受け取る。


「ここにハンコお願いします」


「あ、はい。ちなみに内容証明郵便って何ですか?」


「簡単に言うと、差出人が送った書面内容を郵便局側でも記録として残し、その郵送書類が郵送先に確実に届いた事を保証する郵送方法ですね」


そんな郵送方法があるのか・・・。

随分改まった郵送方法だな。


配達員が帰ると、俺は封筒を見てみた。

送り主の名前は下田直哉という名前だ。

知っている人間では無い。


封筒を開けてみる。


しばらく文面を読んでいるうちに誰からの郵送物である事を理解した。


”先日はあなた、大変な事をしてくれましたね”

”あなたのやった事は重罪ですよ”

”大罪人に悔い改めるチャンスをあげます。まずは謝罪文を2,000文字以上5,000文字以下で作成すること”

”謝罪文を作成したら下記のメールアドレスに送信して下さい。私が添削してあげます”

”私が納得できるまで何度も何度も添削してあげます。誠意のこもって無い謝罪文は書き直しです”


そのような事が延々と書かれていた。

驚くべき事にA4用紙8枚にも渡って同じような事が粘着質な文章で続いていた。


俺は嫌気がさして文章中に書かれていたメールアドレスにメールした。


”いい加減しつこいですよ。”


すぐにメールの返信が帰ってきた。


”何ですかそれ?私は謝罪文を要求しましたよね?人の文章ちゃんと読まなかったんですか?日本語読めないんですか?意味が分かりませんよ?”


・・・意味が分からないのはこっちの方だ。


もういい加減うんざりだ。

ふとこの間警官とのやり取りでyoutubeには動画上げない様にとか言われたな。

録画してないから動画など上げられないが、コイツを黙らせるのには有効かも知れない。


”むしろあなたが謝って下さいよ。でないとあなたが後悔する事になるよ?”


さりげなく自分は録画しているかの様に匂わせる。

文章の後半は意図的に脅迫めいた文章にしてみた。


”後悔って何ですか?あなた、またさらに大罪を重ねるつもりですか?”

返信が返ってくる。

やや何かを恐れている様な内容に思えた。

・・・どうやら相手、下田直哉とか言うおかしな営業マンには有効だった様だ。


”後悔するかどうかはアンタ次第だ”

俺はさらに強い文面を送った。


その後は返信が無かった。


俺は満足して二度寝に入った。

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