イクラとルユエ

 ある朝のことであった。中国・揚子江には日本の軍艦と、盛大な銅鑼の音があった。

 艦内では大混乱に陥っていた。乗組員たちは、

「原住民の攻撃か」

「いや。それなら奇襲するだろう。それに見ろ、何か抱えているぞ」

 降りてみた彼らは、逆に度肝を抜かれることになった。何しろ、血まみれの豚を手渡しだ。

 艦の近くには、揚子江の住民が十数人集まっていた。

 「塩が肉に化けましたな」呵々と笑う乗組員たち。それを受け止めつつも航海長は渋面を作っていた。

 

 

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ただの短編集 HUDi @HUDi

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