第109話 『ナウシカ』と金田、なかむら、小松原さんの話など

さて前回に引き続き

『風の谷のナウシカ』

の話ですだす。


1984年は夏に『マクロス劇場版  愛・おぼえていますか』が公開された、と前回書いた。

『ナウシカ』は春休み。

実は2月には『うる星やつらビューティフルドリーマー』も公開されてたり。

他にも。

『超人ロック』

『SF新世紀レンズマン』

『綿の国星』

『地球物語 ―テレパス2500―』

と言ったアニメ映画がお正月から夏休みにかけてバンバン公開されてる。

そりゃぁ、アニメーターが足りなくて奪い合いにもなるよ。


『綿の国星』は……観て欲しい。

原作ファンからは若干、否定的な意見もあったりするが。

あの雰囲気をアニメにしただけでも凄いし、映像も素晴らしい! と思う。

いろんな配信サイトで鑑賞できる模様。


『レンズマン』は古典SFシリーズのアニメ化。

お金も宣伝も力が入っていたのだが、予想したほどお客は入らなかったらしい。

同時期のライバル映画が凄すぎたのだよな。


『超人ロック』はこの頃カリスマ的人気を集めつつあった、マンガ作品のアニメ化。

こっちもそれなりに話題になっていたし、デキも決して悪くはない。

が、やっぱり『ナウシカ』と『マクロス』『ビューティフルドリーマー』には勝てないよね。


『地球物語 ―テレパス2500―』。

これは……宣伝していたのかな……

実は天野喜孝さんがキャラデザしていて。

それも『タイムボカン』っぽいデザインでなく。

この頃人気の出ていた挿絵画家としての天野さんのタッチ。

おいらは後から知って、レンタルを探し回ってなんとか鑑賞した。

1985年の『天使のたまご』より一足先に天野絵を動かしたと言えるのでは…………

原作に火浦功さん、大原まり子さんが参加していて。

自分は二人とも大ファンなのだ。

なので、気になる作品であったのだが…………

正直、名作とは言い難い。

特にオススメはしません。


話がそれてしまったけど、そんな訳で1984年はアニメ映画が多数あった。

だから、『風の谷のナウシカ』だって、良いアニメーターを集めるのは大変だった筈なのである。

だが、さっすが宮崎駿監督。

自分の映画つくるために『エヴァ』から本田雄を引っこ抜くパワー。

ナウシカに参加しているメンツはハンパでは無い。


なかむらたかし、ドドドドドーンン!!!

金田伊功、ジャジャジャジャジャーン!!!


後に『ラピュタ』で作画監督を務める、丹内司さん、『キテレツ大百科』のキャラデザとしても有名。

『ゴッドマーズ』『ダイターン3』スタジオZからみのカッチョいい動画で知られる、鍋島修さん、のちに監督に転向され『セイントテール』『ハム太郎』の監督をしてたりする。

後に『耳をすませば』作画監督を務める、高坂希太郎さん、最近では『若おかみは小学生!』の監督もしておられた。

『ルパン三世 』だけでなく『うる星やつら』でも原画をしていた、渡部高志さん、後に『スレイヤーズ』『灼眼のシャナ』の監督としても有名になる。

『海のトリトン』キャラデザであったベテラン、羽根章悦さん。

その後『精霊の守り人』シリーズの挿絵を描く二木真希子さん。

などなど。

他にもいるのだが、くろねこ教授の知識では紹介しきれなかったりもする。

そんな方々が……宮崎と高畑がアニメ映画つくるらしーぞ、と力を貸しにきてくれたのである。


特に当時の感覚で言うと……金田伊功さんの参加はは意外であったし、ニュースであったはず。

この頃メカ物『ダイターン3』や『ブライガー』などで特殊なパースからの派手な動きで、ウルトラ人気のあったアニメーターさん。

どちらかと言うと……宮崎監督と対極のイメージであったはずなのだが。

本人は高畑勲を尊敬しており。

『空飛ぶゆうれい船』ゴーレムの作画を宮崎駿が描いており。

あんな画が描きたくてアニメーターになった。

とまで発言し協力している。

本人の企画作品、『BIRTH』の発売は1984年9月。

正直、他の人の作品に関わってる余裕はなかった気もするのだが。

その後、『天空の城ラピュタ』から『もののけ姫』ころまで原画に参加している。


そして、なかむらたかし。

当時、金田伊功さんほどのスター性は無かったが、すげぇ人である。

1983年の『幻魔大戦』で東丈に超能力が目覚めるシーンを描く。

この映画ほど、アニメ関係者に衝撃を与えた作品はなかなか無いだろう。

ここまでの書き込みと動きで映画一本まるまるやることが出来るとは誰も想像していなかった。

なかむらたかしは『AKIRA』でも作画監督を務める。

大友克洋さんのみに注目が集まる映画であるが…………

なかむらたかしのアニメート能力が無ければ成立しなかった、と思う。

その後『パルムの樹』などで監督を経験する。

テレビアニメ『ファンタジックチルドレン』では監督、脚本、キャラデを兼任する。

テレビシリーズで監督、ストーリー、映像、この三つを一人でやってのけているのは。

宮崎駿監督『未来少年コナン』

安彦良和監督『巨神ゴーグ』

この二作くらい…………くろねこ教授の知る限り。

他もあったらゴメン。


そして作画監督は。

小松原一男、ズギュギュギュギューーン!!!!


ん、宮崎監督がやってるんじゃねーの?

という意見もあるかもしれない。

その役割分担は明確では無いが、実質的には、総作画監督:宮崎駿、作画監督補佐:小松原一男であったらしい。


東映動画で『宇宙海賊キャプテンハーロック』『銀河鉄道999』のキャラデザ、作画監督。クレジット的にはキャラクター設計だが、実質キャラデザ、総作画監督だと思われる。


『ナウシカ』の映画は絵的にバラエティー感あふれる。

直後の『ラピュタ』ではかなり絵柄が統一されており、その後のジブリ作品はますます統一されている。


これを「良し」と思う人も「悪し」と思う人も居るだろう。

宮崎監督も初めだしー、そこまで完成度高められなかったんだなー。

その意見もある程度正しいだろうが。


くろねこ教授はそこが良いのだ。

それが画面にダイナミズムを発生させていると思うタイプのアニメ鑑賞家なのだ。

だって絵なのだ。

いろんな人が描いているのだ。

ちょっとくらい絵が違ってあたりまえじゃん。

その方が自然でトーゼンじゃん。

まぁ、もちろん、キャラの見分けがつかないくらい、絵が違われても困りはするんですけどね。


多分だが……小松原さんもバラエティあっていいと思うタイプの人なのでは無いだろうか。

言い換えれば、各アニメーターの個性を出した方が良いと思う人。

何故かと言うと、『999』のアニメなどはアニメーターの個性がけっこう出ている作品になっている。

だから、小松原さんの方針もあっての『ナウシカ』なのでは無いだろうか。


小松原一男さんはその後のジブリ作品には参加していない。

だから、統一された絵柄の映画になっていったのかもしれない。


自分が『ナウシカ』を一番好き、と思うのは、それだから、と言う部分もあるだろう。


さて、まだいろいろ語り切れてない気もするのだが。

そろそろ『ナウシカ』の話はおしまいにしたい。


宮崎駿監督とジブリはみなさんがご存じのとおり、国民誰もが知る存在になっていく。


『となりのトトロ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』。

その辺ももちろん、いろいろ好きなのだが。

まぁ、そのうち。

それにくろねこ教授以上に良く知っている人もたくさんいると思うんだよな。


一応言っておくと、『ナウシカ』の時はまだジブリと言う社名はなくてトップクラフト。

だから、正確に言うとジブリ作品ではなかったりもするのだけど。

ジブリ作品としました。


またテレビで放送するだろうし。

その時、こんな話を知っていると、ちょっとおもしろいかも。

なんて話を書いたつもりです。


宮崎監督作品は……『ハウル』とか『もののけ』とかまだ語りたくない事も無いんだけど。

そのうち又機会があったらという事で。


ではでは。

くろねこ教授でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る