第108話 『風の谷のナウシカ』と庵野監督とか

実はくろねこ教授は。

アニメ映画『風の谷のナウシカ』が大好きなのだ。

このタイミングで語っておきたくなってしまった。


とゆー訳で。

今回は。


『風の谷のナウシカ』


もちろん、いまさら、みんな知ってますけど。

特に語っていただかなくて結構です。

とゆー意見もあるだろうけどさー。


『魔女の宅急便』以降のジブリはヒットを狙ってるわけじゃないと思う。

『千と千尋の神隠し』はまぁ、それなりに万人受けと完成度を高めようとしている。

だけど、『ハウル』『ポニョ』『紅の豚』などは万人受けは目指していない。

それぞれの狙いとか、この映画で何をしたいか、はあるが『受け』るかどうかは二の次と考えられている。


『風の谷のナウシカ』は違う。

なんとか『受け』ようと必死である。

アニメファンに置いていかれようとしていた巨匠が。

どうだ、おもしれーアニメが俺にはまだ作れるんだよ!

と叫んでいる気がする。


前回語った宮崎監督の境遇からくろねこ教授が勝手にそう感じてしまうだけかもしれないが。


序盤の異世界ファンタジー風引き込みからの。

カッコいいアクションシーン。

蟲たちの気持ち悪くも生物的な動き。

トルメキアが攻めて来てのバトル。

ユパ様もイカすし、ナウシカも凛々しい。

ババ様がメチャイカす。

「めしいの年寄りさ。殺すがいいよ」

格好いい。

くろねこ教授の大好物。

世界観を見せつつ、徐々にキャラクターたちに引き込んでいく構成も抜群。

王蟲との心のふれあいを回想シーンで入れつつ。

歌声も入れた印象的な音楽。

らんらんらららんらんらん。

森の地下での美しい場面なんかも入れつつ。

物語はクライマックスへと向かう。

クロトワの台詞があったり。

「うだつの上がらない平民出に、やっと巡ってきた幸運か?それとも破滅の罠か」

必然性は低い言葉だが、入れたかったのであろう。

くろねこ教授的には好物、かっくいい。

クシャナ殿下の

「焼き払え!どうした、それでも世界で最も邪悪な一族の末えいか!」

いいですねぇ。くろねこ教授の大好物。

そっからのナウシカの死。

王蟲の群れの暴走。全てを破壊する悪夢。

からの再生。

ここで。

らんらんらららんらんらん。

である。


バリバリにおもしろいのである。

いや、もちろん、単純にクシャナを悪者にしていなかったり。

地球汚染の再生であったり。

子供向けエンターテインメントだけじゃない物を込めようとしている。


しかしそれ以上にお客さんを引き付けよう、引き付けようとしているのが伝わるだろう。

泣かせのテクなんかも凄い。

音楽を使う。

お客さんの頭に、らんらんらららんらんらん、を刻み付けるのである。

ナウシカの再生シーンでも同じ音楽が流れる。

だから。

どんなお客さんでもここは泣くべきシーンと分かるのだ。


テレビ番組なんかで、泣かせたいシーンをCM前に何度もちらっとだけ流すのを見たことがあるだろう。

似たような技法である。


人間どんな話でも初見で簡単には泣けない。

凄い映画であっても、再度見る時にこそ泣いてしまう。

本人が感情をコントロールする。

泣く準備を整える。


それを一本の映画の中で客にやっている。


アレはなんて言ったかな。

シナリオなんかの技法で、観客の感情の起伏を予想しながら話を展開させる、みたいな技法があったと思う。

そういうのに近い物。


ある意味、この技は無敵技に近い。

特に音楽は観客の感情をコントロールする。

このテクを何度も使って、『受け』る映画を作る事も出来たと思う。

人間は泣いてしまうとそれだけで満足する。

やり場のない感情が発露されて、疲れと快感、満足感を得られる。

その時前にあった映画をより良い物と認識する。


とは言うても、同じ技を何回も受けると、人間耐性が出来て、泣けなくなってきたりもするのだが。


ただし音楽に関しては宮崎監督じゃなくて。

プロデューサーの高畑勲さんが音楽の久石譲さんと相談して指示していたらしい。

宮崎監督は画のことでいっぱいいっぱいだったそうな。

確かにこの計算されたやり口は宮崎監督じゃなくて、高畑勲さんなのかもしれない。


アニメの画に関しても語っておきたい。


作画スタッフに庵野秀明さんがいるのは有名だと思う。

『エヴァンゲリオン』の監督である、庵野さんが巨神兵を描いている。

『超時空要塞マクロス』にアニメーターとして参加した直後のハズ。

1984年と言えば夏には『マクロス劇場版  愛・おぼえていますか』も公開される。

春休みに『ナウシカ』で夏に『マクロス』。

実は2月には『うる星やつらビューティフルドリーマー』も公開されてたり。

他にも『超人ロック』『SF新世紀レンズマン』『綿の国星』『地球物語 ―テレパス2500―』


と言ってもまだ庵野監督も無名の新人。

後には、良く原画として使ってくれたな、とインタヴューを受けたりもしている。

『ナウシカ』の現場はやはり人が足りなくてバタバタしていたらしい。

巨神兵がドロドロしながら熱線を放つ。

見せ場ではあるが、明らかに描き手はシンドイ場面。

誰もやりたがらなかったところにちょうど飛び込んできたのである。


アニメーターとしての庵野さんをあまり知らない方も多いと思うが。

『王立宇宙軍 オネアミスの翼』で後半のロケット打ち上げシーンなど今見ても見応えのあり過ぎる映像を手書きで描いているのが庵野さんである。

『マクロス』だともう良く分からない。

新人で初めて現場に行ったと言うのに、板野一郎さんに捕まっていきなり原画修正をやらされたらしい。

テレビの27話は異常なデキで当時話題になったりもしたのだが、そこにも庵野さんが関わっていると言う。


他にも多数のアニメーターが参加しているのだが。

その辺は次回にしようかしら。


その後、『オネアミスの翼』の企画がなかなか通らなかった時、宮崎監督が応援してくれたり。

庵野監督の結婚式には主賓として宮崎監督が出席したり。

『エヴァ』がヒットし過ぎ、プレッシャーに崩れそうな庵野監督を支えたり。

宮崎監督の『風立ちぬ』に主役声優として庵野監督が参加したり。

と二人の交流は続いている。


ネットのウワサでは『ナウシカ2』もしくは『シン・ナウシカ』を庵野監督が作るなんて話も流れてたりして。

これは無責任なウワサだけでもなく。

クシャナを主役にした外伝を作りたい。

と『ナウシカ』の上映後、庵野監督が宮崎監督に言ったのは事実らしい。

この時、宮崎監督は却下した。

しかしその後何度も続編の話が出て。

自分は作る気は無い、しかし庵野がやりたいと言っていて、それならやらせても良い。

そう宮崎監督がテレビで発言しているらしい。

未確認なのでホントかは知らないが…………

でもなー、見たいかと言ったらどうかなー。

庵野監督の嗜好的に、『シン・ナウシカ』よりは『シン・ガンダム』やりたいだろー、と思っちゃうしー。


さて次回も『ナウシカ』の絵描きの話。

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