第85話 『銀河鉄道999』とその劇場版
さあ。
くろねこ教授です。
今回は『銀河鉄道999』のハナシをするぜいっ!
『999』は大好き。
マンガもテレビアニメも。
映画は……好きなんだけど、全て良いとは言いづらい。
主題歌はスバラしいよな。
ゴダイゴさんの『銀河鉄道999』。
いまだにカラオケで歌われてるアニソンBEST10みたいのに常連で入る歌。
テレビアニメ『銀河鉄道999』はかなり原作に忠実に作られている。
1話完結、30分番組の尺に合わせるため、多少の変更はモチロンあるけど。
大きく違っているのはメーテルのシャワーシーンなどセクシーな場面が抑えられた事だろうか。
ナニを気にしてるんだ? とゆー意見も有るでしょうが。
くろねこ教授が最初に『999』のマンガやアニメを見たのは小学生の時でさー。
マンガは読むのにほのかな罪悪感があったの。
前にも書いた様に『999』のマンガでメーテルは脱がされる頻度かなーり高いのだ。
その点、アニメは気兼ねなく楽しめたとゆー話である。
考えてみるとフシギだ。
同じ小学生の頃、すでにくろねこ教授は永井豪先生のマンガに夢中だったし。
永井先生のヒロインの方が遥かに露出度高かった気がするが、そっちは罪悪感なんて感じなかった。
フーム、分析してみるに。
永井先生のヒロインは豪胆で凛々しい。
ヌードをさらけ出しても、イヤらしい、えちえち、というよりカッコ良く美しい。
しかし松本先生のヒロインはおっそろしくウエストは細くやたら睫毛は長い。
繊細にして優美、乱暴したら折れてしまいそうなのである。
普段は黒いコートに身を包む謎の美女メーテルが脱がされる。
それも下着姿なのに黒い帽子だけはかぶってるみたいなフェチ姿にされてる。
それを見るのは……子供心に見てはイケナイものを見てるキモチにさせられたのだと思う。
そんなかわいらしい小学生だったくろねこ教授なのに。
大人になって松本零士先生のマンガを読み返して、カオスでエロ満載の『聖凡人伝』や『ガンフロンティア』にウルトラおもしれーと夢中になる。
その間にナニが在ったんだ、くろねこ教授? みたいな。
さて話を元に戻そう。
マンガ連載が始まったのは1977年。
テレビアニメは1978年。
全113回プラステレビSP回3回。
マンガ版第一部の最終回まで描く。
のだが。
ここが少し不思議ポイントでこのアニメ原作より先に終わっているのである。
アニメ放送は1981年3月。
原作マンガ最終回は1981年9月。
半年も前。
さらに『銀河鉄道999』の映画の公開は1979年。
2年も前。
なのだが。
ラストのオチは一緒だ。
宇宙を旅した列車は最終目的地に辿り着き、メーテルの正体が明かされる。
機械の体になる事を夢見ていた鉄郎は、人間のまま生きる事を選ぶ。
地球へ帰る鉄郎はメーテルとの別れを経験する。
細部は、尺の都合やら持って行き方の違いがあるのだが。
大筋は一緒である。
分かるだろうか。
松本零士は原作が終わるはるか前、映画なら2年も前にオチが開かされるのを良しとしたのである。
マンガ家としてはナカナカ出来ない決断だと思う。
おそらくは……『ヤマト』においてアニメ制作に関係した、監督とまでクレジットされた。
単純に原作マンガ家では無く、アニメ制作者の一員としての意識が強く在ったのだろう。
そんな松本先生ならではのメディア展開である。
アニメ映画はナカナカ珍しい作り。
知らない人が見るとテレビの総集編と思うかもしれないが。
全て新規に作られたアニメーション。
りんたろう監督の劇場初監督作品。
冒頭の鉄郎のシーン、アンタレスのシブさ、ハーロックの初登場シーンなど如何にもりんたろう氏の演出が見える。
そうだった。
この映画は何故か鉄郎のキャラクターデザインが一新されている。
原作、テレビの鉄郎は、トボけた目、大口、3頭身の3枚目キャラなのだが。
映画は鋭い目つき、6等身の美少年に早変わりしてるのである。
映画の雰囲気に合わせて、これはこれで良いとも思うのだが。
映画見て、気に入った人がさー、テレビアニメの鉄郎見たら。
誰じゃ、コイツ。
ってなるんじゃないかな、と心配してしまう。
映画は少し押し詰め過ぎ、と感じてしまう。
ただでさえ、長い月日鉄郎とメーテルが旅した話を2時間に凝縮してる。
とゆーのにそれだけでなく、松本先生の『ハーロック』『エメラルダス』『999』が一つの世界、と言い出してしまった計画を受けて。
ハーロックの親友トチローが生命体としての活動を終え、アルカディア号の頭脳に宿る。
エメラルダスが愛する男を探す旅路の決着。
そんな大事な場面として、鉄郎がトチローの最後を看取るシーンが強引に挿入されてるのである。
押し込みスギッ!
とも言いたくなる。
そんでトチローの『戦士の銃』を鉄郎は受け継ぐ。
宇宙戦士の銃と書いてコスモドラグーンと読ませたりする。
ココロ震える魅惑の設定である。
出て来た当初はこの銃を使えるようになって男は一人前と呼ばれる、みたいな事を言ってた気もするのだが。
いつの間にかトチローが自作した、この宇宙に4丁しかない拳銃、とゆー設定になった。
正直、映画『999』以外のトコロでやってくれんかな、感も少しあるの。
『ハーロック×999』みたいな別作品でやってくれる分には良いし。
長大なマンガやテレビの『999』ならゲスト出演するのも良いんだけど。
2時間映画の中にハーロックやエメラルダスのハナシ放り込むのはムリだよ。
ツメコミ過ぎ。
しかしこの映画は大ヒットした。
りんたろう氏にも注目が集まり、その後KADOKAWAで『幻魔大戦』などすげーアニメ映画を作るのだが、その話は長くなるのでまたそのウチ。
映画も2作目が作られる事になる。
『さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅』
アニメの出来はけっして悪く無いのだが。
ファンには不評の映画。
タイミングがイロイロ悪かったと思う。
まずアニメファンが『ヤマト』の『さらば』があって『永遠に』があって『完結編』があるのにウンザリしていたのだ。
なんだ『999』もかよ、とゆー空気間が漂った。
そして『スターウォーズ』のヒット。
分かるだろうか。
『ヱヴァンゲリヲン』がヒットした後、少しでも似たアニメは全部『エヴァ』のパクリと呼ばれた。
それと同じようにこの頃『スターウォーズ』と似たトコロがあると全部『スターウォーズ』のパクリと呼ばれたのである。
『さよなら銀河鉄道999 』の敵キャラは黒い鉄仮面を被る男。
黒騎士ファウストである。
その正体は、鉄郎の父親。
ダースベイダーのパクリじゃんと言われたのである。
多分、現在鑑賞する分にはアルアルとして何も気にならない、と思う。
だけど当時の空気はそうだったのだ。
くろねこ教授としては最初の20分は大好きだ。
今でも思い出すだけで泣く。
一作目のラストで死んだはずのプロメシュームによる人間の弾圧は続いていた。
地球の反乱軍(パルチザン)の中で鉄郎は独り叫ぶ。
「俺は確かにプロメシュームが死ぬのを見た」
「……そうか」
周りの老人達は静かに反応する。
ナニ寝ぼけてやがる、などと言い出す人間はいない。
静かに鉄郎を眺めているのだ。
「ここに星野鉄郎はいるか」
メッセージを持って来た少年は鉄郎の前で息絶える。
そのメッセージはメーテルの声だった。
「鉄郎、999に乗りなさい」
鉄郎は隠していた場所から掘り出す。
それこそが銀河鉄道の無期限パスであり戦士の銃であった。
もうシビレっぱなし。
ステキ過ぎる!
パルチザンの老人達は静かに立ち上がる。
「みんな、わしらのせがれが行くと言うんだ。
行かせてやろうじゃないか」
機械化人の攻撃で次々と倒れて行くパルチザンの人々。
遂に999に乗り込んだ鉄郎。
旅立つ汽車の下、レ-ルは次々と崩れていく。
ここに流れる勇壮な音楽がもうタマラン!
イカしすぎ!
汽車を見送るパルチザンの老人。
その額を赤いモノが流れる。
「鉄郎、いつかお前が地球に戻ってきた時。
大地を掘り返したなら、わしらの赤い血が流れているだろう。
その赤い血を見るまでは…………
死ぬなよ」
シブイ!
シブすぐるのである。
見てる少年のくろねこ教授、震えっぱなしなのである。
ハァハァ。
今思い出すだけで興奮するステキシーンである。
ただこれ、2時間の映画として、冒頭のツカミがやり過ぎなのだ。
後半、これに勝る物が用意されてない。
ので映画全体としての評価はくろねこ教授としてもそこまで高くは無い。
冒頭のシーンステキ度ランキングでもあったなら、間違いなくくろねこ教授の1位なのだが。
おそらくは…………
りんたろう監督は1作目で完結したとして2を作るのを拒んでいたと言う。
監督にとって、あの1の終わりをリセットして新たに物語を再スタートさせるためには、このくらいのインパクトのあるシーンが必要だったのだ。
確かにその通りだ。
コレを見たら『1』の二番煎じとは誰も思わない。
素晴らしいシーンである。
素晴らし過ぎて『さよなら銀河鉄道999 』のクライマックスもどうでも良くなってしまう。
劇場版はもう一本あって、1998年になってから公開された『エターナルファンタジー』なんてモノもあるのだが。
この頃松本先生によりマンガ『銀河鉄道999』が第二部が描かれている。
先生の『999』『ハーロック』『ヤマト』をクロスオーバーさせる計画の元立ち上げられた。
後に以前描かれたマンガを『アンドロメダ編』
この時始まったのを『エターナル編』
と名付けたりもしたらしい。
このマンガは前述の理由で途中で挫折している。
その影響かもしれないが、映画の方も話の途中で終わってるのだ。
宣伝もヒドかった。
如何にも完成してる作品かのように宣伝していて。
ところが映画館に行ってみると本編は1時間弱。
続きはまたね、と終わってしまう。
苦情が殺到したらしい。
素直に前編とタイトルに着けておいてくれれば良かっただけなのに、と思ってしまう。
そんなワケで評判も悪く、アニメ映画の続編も作られなかった。
非常に中途半端な作品として残っている。
なんかもうスゴイ文字数になってしまった。
次回、まだ松本零士先生。
メーテルと松本ヒロインのハナシをせずにはいられない。
くろねこ教授でした。
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