第30話 コミック『パームシリーズ』その1

どーも。

くろねこ教授です。


今回はコミック『パームシリーズ』について。

少しだけこのタワゴトでもふれましたがくろねこ教授はこのコミックが大好き。

好き過ぎて、語るのには勇気が要る。

他の人に語る気にならない。

他の人がどう思おうが、自分が好き、自分にとっては大事な作品、それでいいじゃん。

そんな思いもかなり有るのだが。

試しに少しだけ書いてみよう。


書名:パーム1~5『お豆の半分』『ナッシング・ハート』『あるはずのない海1~3』

作者:獸木野生(以前は伸たまき名義)

概要:マフィアのボス、アーサー・ネガットの跡取り天才児マイケルはアーサーに恨みを持つ人間に誘拐される。

数年後、私立探偵カーター・オーガスは友人に勧められジェームズ・ブライアンと言う男を助手に雇う。ジェームズの真実の名前はマイケル・V・ネガットであった。


とりあえず、今回はウィングスコミックの五巻まで。

現在入手しやすい、文庫版で言うと三巻まで。


このシリーズは大長編をエピソードごとにタイトル分けして発表されている。


『お豆の半分 HALF OF BEAN』

イントロダクション的に書かれる、既に主要登場人物は知り合った状態の物語。

ジェームズはハイジャック犯と戦ったり、FBIがらみでチンピラと撃ちあったり、派手なアクション。

開幕向きなのか。

面白いのは、このセリフかな。


FBIに噛みつくカーターさん。

たまらず、FBIのフロスト捜査官はジェームズに尋ねる。

「いつもこんなにしつこいのか?」


「医学ひとすじ二十年。

 一人の女と八年越しの恋をしているような人だ。

 逆らわんほうがいいぞ」


ジェームズ君が表情も変えずに言うのがオモシロイ。


最後にはタイトルに絡んだ名セリフ。


「アメリカという国はどこにある?

 誰もが椰子(ココナッツパーム)のように

 海を渡ってここへ流れ着いただけだというのに」


『ナッシング・ハート NOTHING HURT』

HEARTじゃない。

ナッシング・ハート。壊れる事は無い、傷つく事は無い、そんな意味。


子供時代のジェームズくんが書かれる。

天才児と呼ばれ、研究所に出入りする少年マイケル。

義父とは折り合いが悪く、使用人の一家と家族の様に暮らす。

アーサー・ネガットを訪ねて来たのはロサンゼルスの大物、ロナルド・エリー。

マイケルとの会話がステキ。


「天才児とはどんな風に話せばいいのかな……」

「ロスの大物ギャングとどんな風に話せばいいんだろう」


チンピラに攫われたマイケルは夢の中、黒い肌青い瞳の少年と出会う。


『胸のハート HEART BEATS』

アンドルー・グラスゴーことアンディはアフリカの研究所にいたが、母親が死ぬと父の元を離れライオンとジャングルの中で暮らしていた。

『パームシリーズ』の影の主役、妖精、アンディくん。

黒い肌に青い瞳が印象的な美少年。

父がアラブ人とイギリス人の混血、母親がギリシャ系アメリカ人と黒人の混血。

世界平和の象徴だね。


『あるはずのない海 THE SEA SHOULDN‘T EXIST』

その日ロサンゼルスの郊外で発砲事件が起こった。

車から逃げ出した少年が撃ったのだ。

高級車から走り出した少年は警官が追うと自ら自分の手に手錠を嵌めた。


厭世的な生活を送っていたカーターは友人に勧められるまま刑務所にジェームズくんと出会う。


アンジェラちゃんがいいよな。

「あんた、こういう席にノータイでくるなんて度胸いいんじゃない」

「ありがとう。

 度胸の良さには定評があるんだ」


カーターの親戚、バーンスタイン博士は娘をカーターのところに居候させる。

博士は嘘発見器、動揺すると針が振れる仕組みでジェームズを試す。

「何か嘘を言ってごらん」

「アンジェラ、俺と付き合わないか」


アフリカからカーターの元へ預けられるアンディくん。

彼は気が付く。

彼がそばにいるとジェームズに奇妙な事が起こる。

数マイル走ったというのに汗もかかない。

やった事の無いゲームで有段者を負かす。


「彼おかしいよ」

「……その事はあまり真剣に考えない方がいい」

「これを考えるなってのかい?!」

「なら勝手に考えたまえ。

 どうせ答は出ないからな!」


「……わたしたちに分かっているのはほんの少しの事だけなんだよ」

「わたしもジェームズも分からない事でいっぱいなんだ」

「……そして君と同じように不安なんだ」


殺し屋との戦いやらカーターの過去やら語られたりして。

カーターの過去は……

凄い話なのだが、ここでは触れない。

いずれ書くこともあるかな。

思い入れあり過ぎて簡単に書きたくないのです。


シリアスもいーけど笑いもね。


「アンディは学校に通う事になった。

 だが、その前にやるべきことが残っている。

 すなわち、性教育だ」

カーターは顔を引きつらせ、相談。

相変わらず表情も変えないジェームズくん。


「ああ、それはあんたの係りだな」

「ど、どーして?」

「常識は自分の領分だと豪語しただろう」


「ジェームズ、はっきり言おう。

 性に関する限り私は全くの俗物なんだ」

「知ってる」


「……

 なら、わたしが伝授できることがアンディに役に立たない事は想像できるだろう。

 つまり……彼の価値観は普通の人間とはあまりに異なっていて……

 だが、キミ出来る筈だ。

 君もこの問題に関しては……ある程度その……非凡と言うか。

 前衛的だから……」

「なかなかおもしろいな、カーター。

 もう少し喋ってみてくれ」


そしてクライマックス。

カーターは彼が厭世的になっていた最大の原因の一つ。

行方の分からなくなっていた彼女、ジャネットと再会。


「分かれた後で考えたわ、カーター。

 わたし、あなたのこと何も知らないって。

 わたしたちどのくらい一緒だったのかしら。

 何年? 何日? 何時間?

 まだ出会ったばかりだったのよ。

 しっくりいくようになるにはもっと時間がかかるものなんだわ」

ところがカーターさんてば衝撃のあまり点目状態。

「……ジャネット、君がなにかすばらしい事を言ってくれてるのは分かるんだが……

今ぜんぜん頭が働いてないんだ」


そんでもって。

抱き合う二人と別れて見上げるカーターの目に飛び込んでくる夜空の花火。

で幕引き。


もういろいろ凄い。

超自然現象も起きるシリーズなのだけど。

それはそれとして、そこだけにスポットが当たる話では無い。

それは地球上に起きている、今生命が溢れている奇跡と同じ現象の一つとして語られる。

また、ドラマも笑いも素晴らしい。


という事で今回はここまで。

明日も続きの予定。


ではでは。

くろねこ教授でした。

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