第47話 キャサリン
午後六時。早目の夕食をレストランで済ませた私は、二年生寮にナディーン様の部屋を訪ねた。
チャロとスニーは今朝から出ずっぱりで戻ってない。
アカデミーも昨晩のことがあったのに変化は見られなかった。きっと精霊塔を調べた警備隊は、死体の発見を伏せて秘密裏に捜査を進めてるんだろう。
コンコン――。
ドアノックを鳴らして待っていると、扉越しにアリスさんの声。
「どちら様ですか?」
「ガラテアです。ナディーン様はお戻りですか?」
扉が開いてエクルベージュのツインテールを揺らしたアリスさんが微笑んだ。歳は三つ上だって聞いたけれど、童顔だからか、髪型と相まって同い年くらいに思える。
「先程離宮から早馬の知らせが届いて、あちらで夕食を済ませてからのお戻りだそうです。今からだと七時を回るかと思います。ご伝言があれば伺いますが」
随分遅い。外出先が皇女殿下の元でなかったら学則に触れる時間帯だ。
「そうですか。それなら明日にします。今夜はきっとお疲れでしょうから、早めに休んで頂いた方がいいと思います。お戻りになったらガラテアが来たとだけ伝えて下さい」
「かしこまりました。それでは戸口で失礼させて頂きます。お休みなさいませ」
扉は静かに閉ざされた。
空振りだ。一目でも会いたかったけど仕方ない。私の用は個人的なことだから、それでお疲れのところを邪魔したのでは悪いし、明日改めて出直そう。
「あら、ガラテア様。お嬢様に何かご用でしたか?」
階段を下りてロビーに出たところで、ナディーン様のもう一人の侍女、テレスさんに出くわした。
テレスさんは二十代半ばの大人の女性。アリスさんとは対照的に、どこか鋭い印象のある人だ。細身を引き締める黒髪に黒い眼鏡がよく似合ってる。
「はい。そうだったんですけど、ご不在のようでしたから、明日また出直そうかと」
「それはご足労様でした。何か急用でしたか?」
「ああ、いえ。ただちょっと、フラウンフォーファーのことをお聞きしたくて」
例によって例の如く、言わなくてもいいことをポロッとこぼしたら、三角縁の眼鏡の奥でクロッカスの瞳が窄まった。
「私の家のことで何かございましたか?」
「え?」
「テンペルのフラウンフォーファーは私の実家になりますが」
「あっ!!」
そうだった! フラウンフォーファーってテレスさんの家名だった!
初めてナディーン様と大浴場に行った時、そこにはテレスさんとアリスさんがいて、私もチャロとスニーを連れてて、その時にみんなで自己紹介し合ったんだった!
「あ、あの! 私の母のことで何か――」
「? ガラテア様のお母様ですか?」
「いえ、あの、今からちょっとお時間を取って貰ってもいいですか?」
「お嬢様がお戻りになられるまででしたら、はい」
超ラッキー! ここで情報を得られれば、明後日またケネスと調べを進める時に役立つ。空振りだと思ったものが一転、大幅な前進だ。
「それでは参りましょう」
「はいっ」
私はテレスさんと一緒に階段を戻って、今度は部屋の中に通して貰った。
今夜ここでジャクリーン・フラウンフォーファーの周辺事情を知ることができれば、それを切欠に私の母親の手掛かりも掴めるかもしれない。
それを思うと、これまで持たなかった過去への興味が、今や身の内から湧き上がって来るのがはっきりと感じられた。
***
ジャクリーン・フラウンフォーファー。享年四十九歳。今から二年前、死因は取り立てて存在せず、自然死だったという。
私は最初、単刀直入に、資料にあったこととしてジャクリーンの密偵の可能性を尋ねた。それが事実なら彼女の周辺には様々な情報が揃っていたことになる。
ケネスの言う通り、別離してからも調査が続いていたとしたら、カルデネに手の者を残して行ったはず。そして残された密偵が私の母親を知っている可能性も――。
「ジャクリーンは私の伯母に当たります。ですが密偵であったかどうかは分かりません。仮にそうだったとしても、本人がそれを明かす理由は存在しませんから」
「ですよね……」
私のバカ。そんなの当たり前! ちょっと考えれば分かること!
のっけから密偵じゃないかなんて言ったから、テレスさんは困り顔だ。
「伯母は私が一歳の時にブランペインへ嫁ぎました。後添えということもあって周囲には大きく触れなかったそうです。私も九歳の時に出戻った伯母に会うまで、その存在を知らなかったくらいですから」
「そうですか。伯母様と話をする機会はありませんでしたか?」
「偏屈な人でしたから、ほとんどありませんでした。ただ――」
テレスさんは少し間を置いて、ティーカップに口を付けた。
アリスさんはいない。紅茶を出してくれた後、私たちをティールームに残して下がったきりだ。
「よくキャサリンという名を口にしていました」
「キャサリン? それは誰ですか?」
「分かりません。口調からしていい感情はないようでしたから、私も尋ねませんでした。それから時が経って、そんな名前も忘れた頃にユージーン・ブランペインの亡命が世間を騒がせました。数年するとブランペインの物語も今の形に書き足されて。私がキャサリンの名を思い出したのはその頃のことです」
「どうして忘れていたものを、そんな時期に思いだしたんですか?」
「それはガラテア様、綴りですわ」
「綴り?」
テレスさんはソファの脇に外してあったエプロンから紙とペンを取り出すと、流れる筆致でキャサリンの綴りを書き記した。
「十代になった頃から私は恋物語を読み漁っていました。ブランペインの物語も書き足された新作が出るようになって、以前の物と読み比べをしたものです。そんな折に私の趣味を知った伯母がヘールボップで訳されたブランペインの物語をプレゼントしてくれたんです。語学は重要だからという理由でしたけれど、夢中になって読んだことを覚えています」
「本当に恋物語がお好きなんですね」
「ええ、未だに。お蔭様で恋に焦がれる余り本当の恋を逃してしまって、今に至ると言う訳です」
テレスさんは笑い話と言うように笑みを湛えていたけど、私はリアクションに困って苦笑い。
「それで、キャサリンのことですけれど、思い出したのは訳書を読んでいた時のことです。訳書は地の文や台詞だけでなく、役名も向こうの言葉に直されます。例えばユージーンならエウゲニーといった具合です」
「エウゲニー? 随分変わっちゃうものなんですね」
「ええ。ですが置き換えをされていない名前が一つだけありました。それが第一部のヒロイン、エカテリーナ様です」
「どうして一人だけ?」
「私も当時調べました。エカテリーナ様のご生母は北方の血が混ざっている家系で、それが縁でヘールボップ系の名前が付けられたようでした。だから私は、逆にエカテリーナ様のお名前をネビュローサの言葉に置き換えてみたんです」
「えっ、つまりそれが――?」
「はい。キャサリンです」
んん? どういうこと?
ブランペインと縁を結んだジャクリーンはテレスさんの伯母様で、その伯母様がよく口にしていた名前がキャサリン。それをヘールボップの言葉に直すとエカテリーナになって――。
なるほど、テレスさんの記憶では一連の繋がりがあるけど、私の求める情報としてはどうだなんろう? 今のところ偶然の一致としか思えない。
「ちょっと外しますね。直ぐに戻ります」
「あ、はい」
束の間思案を巡らせても、私の脳細胞はグツグツと煮え立つばかり。一向に偶然以外の結論が出て来なかった。
「お待たせしました」
「お帰りなさい。その本は?」
「画集です」
テレスさんは本を私に向けてページを捲って行った。
「女性の肖像画ですね」
「ええ。どれも違った女性に見えますけれど、様々な画家が描いた一人の人物。エカテリーナ様です」
聞けば画集はブランペインの登場人物の絵を集めたもので、そのほとんどは、実際の人物と言うより物語の登場人物として、画家一人一人が思い思いに描いた作品だと言う。
「ブロンドに描かればネビュローサの女性らしく、プラチナの髪はヘールボップのそれに近いでしょう。けれどどれも空想のもの。私は過去に帝城で、本物のエカテリーナ様の肖像画を拝見したことがあります」
それはナディーン様がコーディリア様の遊び相手となって、お城に足繁く通われていた時のこと。テレスさんは隠れんぼで行方の知れなくなったナディーン様を探して、その折にエカテリーナ様の肖像画を見たんだそう。
「今でもはっきりと覚えています。エカテリーナ様が嫁がれる前の初々しいお姿。髪色はブロンドでもプラチナでもなくて、ヒヤシンスの花を咲かせたような、柔らかな青色をしていました」
青い髪――。
え? それは何かの符号? だって私の髪も青い。
ううん、違う違う! エカテリーナ様は私の祖母でもあるんだから、髪の色が似てたって不思議とは言えない。
テレスさんはナディーン様経由で私をダグラス・ブランペインの娘だと思っているから、髪の色に妙な繋がりを感じたってことかな。
「私に思い当たることはこれで全てです。何がどこでどう繋がるのか、それは私には分かりません。反って混乱させてしまったようでしたらお詫び致します」
「いえ、そんなことは……」
言うまでもなく絶賛混乱中。
キャサリンとエカテリーナ。
色合いは違っても青は青で、綴りが違っても同じ名前。
やはり鍵になるのはこのキャサリンという名前だ。
「テレスさん。伯母様がキャサリンと言ったのはエカテリーナ様のことを指してだと思いますか?」
「いいえ。それは帝国の臣民として不敬に当たります。偏屈な伯母であってもしないでしょう。恐らくカルデネにいた当時、伯母の周辺にいた人物のことかと思います」
私が思うにテレスさんの言う通りで合ってる。伯母様がキャサリンの名を口にする様子を、テレスさんは「いい感情はない」と感じたんだから、どうにもエカテリーナ様には結びつかない。
そうなると、今度は資料の中からキャサリンの名前を見つけ出すことで、次の手掛かりに繋げる他ないみたい。
「分かりました。お話、ありがとうございました」
時計を見ると針は夜七時に程近い。そろそろナディーン様も戻る頃だ。邪魔になっては悪いし、今夜はこれで引き揚げよう。
***
もーいーかい。ですわ!
まーだーだよ。ですわ!
ころころと笑い含みに声を交わして、さあ、
帝室と帝国御三家は共和政時代からの結び付きですから、私は幼少の頃から歳の近いコーディリア様の遊び相手として帝城に上がっていました。
お小さい頃のコーディリア様はとても活発でじっとしていません。隠れんぼは元より、侍従を馬に仕立ててお城の廊下を競争したり、畏れ多くも謁見の広間で女帝ごっこをなさったりと、それはもう、今思えば冷や汗ものの遊びまで。
懐かしい。この日は隠れんぼの範囲を余りに広くし過ぎて、コーディリア様と私が迷子になったと、城中が大騒ぎになった日ですわ。
あっちこっちの扉を開けて、ソファのクッションを放り出し、テーブルクロスを捲り返して、いつしか知らない廊下にぽつねんと。壁には帝室の方々の肖像画がずらりと掛け並べてありました。
「青い髪! きれいな人……」
コーディリア様を探すのも忘れて見惚れたのは、私にない素敵な髪を持つ女性の肖像画。今思えばガラテアの
美術館なら画家やモデルのネームプレートがあったのでしょうけれど、結局誰を描いた物かは分からないまま。
テレスの呼ぶ声を聞きつけた私は、自分が鬼の役だということも忘れて、隠れ場所を求めて立ち去りました。
「ん…………。夢……?」
気がつけばふかふかのベッドの上。隣りにはコーディリア様がいて、その向こうにはミランダ様も。二人とも静かな息を立てて眠っているようでした。
「そうでしたわ。私、あの奇妙な音楽に眠らされて……」
ガチャ――。
呟きを打ち消したのは扉の開く音。ベッドの天蓋から垂れ下がるレース越しに人影が見えました。反射的に息を殺して窺うと、その者はこちらに背を向けて、大きな姿見の前に佇んだまま。
私はそっとレースに手をかけて、僅かの隙間から鏡に映る姿を確かめようと――。
「――っ!」
「あら、お目覚め? 盗み見なんていけない子ね」
姿とは裏腹に若い声。薄闇の廊下で意識を失う前に耳にしたあの声ですわ。驚いたことに振り返った姿は鏡の中の老醜を見事に脱ぎ捨てて、成熟した女性の美を余すことなく湛えていました。
「青い髪……」
鏡では白かったはずのやつれ髪が、小川のせせらぎを映すかのようなヒヤシンスブルーを輝かせて、同時にあの日見た肖像画を鮮明に浮かび上がらせました。
あの肖像画はエカテリーナ様を描いた物だったのでは? その考えからガラテアの髪色と面影が絵姿に重なります。
「どうしたのかしら? 出ては来ないの?」
青い髪の女はカーペットの上を滑るように迫ると、両手でレースを裂くように開きましたわ。
「その目は知ってる。死を予感して怯えている者の目よ。でも貴女は死なない。望むなら別だけれど、私の予定に貴女はいないの。これで少しは気が楽になったかしら?」
そんな訳ありませんわ。
眠りを誘う音楽なんて、知りもしない魔法を使うこの女は人間ではありません。ならば魔女かと言えばそれも間違いです。精霊学の授業で教わったのは魔女の天敵となる悪の存在。
「貴女はまさか、
ハグは正体を偽り、人の世に溶け入って、魔女を闇討ちする魔物。その土地の魔女が消え去れば、次は魔女が守って来た人間たちに害を及ぼし始めます。
「賢い子。この五十年、魔女ですら見抜けなかった私の正体を言い当てるなんて。ああ、違うわね。見抜いた魔女は確かにいた。今はもういないけれど」
それは既に魔女を手にかけたという告白。
弱味を見せてはダメ。
私は震える喉を堪えて問いかけました。
「一体何が目的なんですの?」
「ふっ、答えの長くなりそうな質問だとは思わないの? 困った子ね。でも貴女は役に立つ子だから答えてあげましょう」
ハグは振り返って歩きながら、姿見越しに語り始めました。
「私はサロメ。魔女名は
外套を脱ぎ捨て優雅なターン。振り返った時には魔法で衣装を塗り替えて、十代と思しき若さに姿を変えていました。
「確かこんな衣装だったと思うけれど。違ったかしら?」
それは私が帝城で見た肖像画の衣装。まさかとの疑いを肯定されて、体の芯を
「嘘ですわ! あり得ませんわ! 貴女が、エカテリーナ様だなんて……そんな……。これはまやかしですわ!」
「そんなに悪し様に言わないで。哀しくなるわ。私にしてみればこれは奇跡よ。だってそうでしょう? キャメロンは私の愛そのものだった。彼に訪れた非業の死は私に後を追わせたけれど、こうして私は生まれ変わった。そうよ。彼を殺した我が一族に、復讐を遂げる絶好の機会を手に入れたのよ」
「貴女の目的は帝室を滅ぼすことだと?」
「分かり切ったことだわ。エスメラルダは事故に見せかけて殺してやった。本当ならキャメロンの処刑を命じたあの女には、もっと派手で
エスメラルダ様の死は事故による急逝とだけで詳しくは報じられなかった。それをエカテリーナ様が?
「何にも増して口惜しいのはダグラスだわ。戦傷でどうにかなったようだから後回しにしておいたら、いつの間にか姿を晦ませてしまったでしょう? しかも私が探し続けていたユージーンの子を育てていたんですって? 私の夫を、実の兄を死に追いやっておきながら自分一人大往生。許されないことよ。全てが済んだら墓を暴いて穢し尽してやるわ。それをしてすら飽き足らない!」
興奮し、髪を逆立て、ハグそのものの形相でエカテリーナ様は捲し立てました。
これほどの悪夢が現実に起きるだなんて……。
「貴女は私の孫と仲がいいようね。隠しても無駄よ。
「ガラテアに何かするつもりですの? 貴女の孫娘に何を?」
どんな目的であれ、ガラテアを巻き込むことはさせない。その想いだけで私は一歩を踏み出しました。
「ユージーンは我が子ながら役立たずの腰抜けだったわ。私が陰から幾ら焚き付けてもまるで弱腰。だからその子供に期待したの。私はキャサリンと名乗ってブランペインに入り込み、次々とユージーンに女を宛がって行った。でも生まれるのはどれも期待外れの子供ばかり」
「期待外れですって? それでも自分の孫には違いないでしょう」
「役立たずはユージーンだけで十分。必要だったのは波動受容体よ。私が鍛えるに足るね。でもまるで使い物にならなかったわ。そこで私はある時、ユージーンに魔女を宛がった。二人とも魔法で骨抜きにして……。あの夜の
いけしゃあしゃあとエカテリーナ様のお顔で。
私はようやく理解しました。ハグはハグでしかないのだと。
なまじ、魔女であるガラテアとそれ以前の彼女を知っていただけに、ハグもまたエカテリーナ様であり続けるのかと考えたのですわ。でもこれは、絶対に絶対に違います。違くなくてはなりません!
「二人の間に娘が生まれたわ。でもユージーンはその頃になるともうノイローゼを通り越していたわね。遂にウラノス王国への亡命を決意して、私はてっきり赤ん坊も連れ去ったと思い込んでしまった。信じられる? 国境を越えてまで追いかけたのに空振りだったのよ。慌ててカルデネに戻ってもどこにもいない。これには本当に参ってしまったわ。苦心の末に得た魔女の子を見失うだなんて……」
「それでも、結局は見つけたのですわね」
「そう、見つけたわ。降って湧いた幸運よ。まさかダグラスに育てられて、その上ステラに保護されるだなんて、おかしな話よね。でもステラがあの子をアカデミーに送り込んだことは反って好都合に働いた」
帳尻が合ったと言わんばかりの顔。このハグは恐らく
「孫娘に何をさせるか、だったわね? あの子にはコーディリアを殺して貰うことになるわ」
「何をバカなことを!」
私の大切なガラテアに大切なコーディリア様を殺させるですって!?
「しーっ。その絡繰りを北部同盟が仕掛けたと吹き込むのよ。それから老いたヒューバートにユージーンの居場所を囁いたらどうなるかしら? 帝国は再び王国との戦争に向かって突き進むことでしょう。そうなれば次はヒューバートを暗殺に見せかけて始末すればいい。ほぅら、もう泥沼よ? 皇太子はまだ未婚の若者。混乱が混乱を呼んで私は仕事がしやすくなるわ。帝室が消滅すれば背骨を抜かれた帝国は王国の餌食でしかないものね。そうやって全て消えてなくなってしまえばいいのよ」
何てこと。そんな悪魔の計画に自分の孫を利用しようと言うの?
騎士になるんだと胸を張って生きているあの子の夢を台無しに?
怒り――。もうそれしかありませんでしたわ。
「そんなことはさせませんわ!
敵うはずもありません。けれど悪を見てそれを見過ごしたなら、私は最早あの子の主人ではいられないのです。
「
扉に向かおうと魔法を唱えかけた時、足が石のように固まりました。
「これは、鉱石魔法!? でもどうして……」
「
「残念ね。でも貴女は生きてさえいれば役に立つ。だから石の棺でおとなしく眠っていて頂戴」
足下から寄せる石化の波に抗う術はありませんでした。
「ガラ、テ、ア――」
私の騎士。力及ばずでご免なさい。けれどどうか残酷な現実に負けないで。
私はいつだって、貴女の勝利を疑いはしませんわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます