第32話 舞台裏の魔女たち
第一講義棟の屋根に腰掛けて、今私が見下ろしてるのは西運動場。
「たまには街にでも行って来たら? だってさー。ガラテアのヤツよく言うよなー」
「こっちが暇を持て余してるとでも思ってるんでしょうね。入学式早々の騒ぎ以来、誰かさんに付きっきりで目が離せないってこと、まるで分かってないのよ」
暢気なものだわ。カーブラックの御曹司と二人でやたら重たそうなバーベルをずっと上げ下げしてる。
そこへ行くと私たちはバーベルよりよっぽど重たい問題を抱えていた。
一つはあの日ガラテアが見せた
古来、魔女講に於いて、人間を含めた十段階の
魔法技能の目安となる
私の場合は第八位階の
「チャロはガラテアの
チャロは今でこそ
今から百六十年ほど前、団長が魔女たちに大号令をかけて魔女団を糾合した魔女団――メテオリリーマ魔女団を結成した時に、参加に応じておきながら全ての命令を無視する偉業で位階を落としていた。理由は明白。戦うことに魔法を使わないというチャロの信念がそうさせたのよ。
「んー。まぁスニーとおんなじ考えかなー。ガラテアのかーちゃんは……多分、魔女だ」
「やっぱりそうなるわよね」
母親が魔女である場合、子供の波動受容体は著しく発達して、魔法適性も非常に高いものになるわ。なりたての魔女が
「ユージーン・ブランペインの妻は魔女だった――」
「お妾さんとかの可能性もあるんじゃないかー?」
確かに。貴族なら側女の一人や二人は当たり前ね。
「どっちにしろ調べる必要はあるわよ。ユージーンが王国派精霊聖堂と接触を持ったとされるのが星歴六〇〇年頃よ。亡命はその約二十年後。当時、魔女たちの間にもユージーンが北部同盟寄りだという情報は出回っていたわよね? そんな中であえてユージーンを愛した魔女がいたなんて、ちょっと想像できなくないかしら?」
「さーなー。その辺はあたしなんかよりスニーの方がよっぽど分かるんじゃないのー? 色恋ってのは理屈じゃないんだろー?」
「それはね」
私には魔女になる以前から愛する人がいた。だからこれから相手を見つける大半の魔女たちよりは、ただ一人の人を愛する心が理解できるわ。
「まーいーさ。そっちの調査は魔女の館に任せとけ。報告はしたんだから、かーちゃんだって直ぐにピンと来て動き出すだろー。あたしらはアカデミー担当だからなー。スパイの動きをチェックしとかないと」
スパイ――。それがもう一つの問題。
あの日。私に難題を押し付けて消えてしまったチャロは、後になって小指ほどの大きさの
チャロは
マトリョーシカと言えば北部同盟の中心を担うヘールボップ王国の民芸品よ。向こうへ旅をすればお土産物の定番になるアイテムね。
チャロがマトリョーシカを拾った時、直ぐ近くを這いつくばって探し物をする警備兵を目撃したと言っていたわ。それを理由にチャロはその警備兵を北部同盟のスパイだと断定した。
「だからってそいつが
「確かにね。どこで拾ったって言ったかしら?」
「小宮殿から道なりに行って、ほら、あの案内図のある円形広場。そこに魔法の落書きをしようとした時になー」
「何やってるのよ」
「バカ、カモミールだろー」
カモミール? お茶でも飲みたくなったのかしら? なんて訳ないわね。
「……ひょっとしてカモフラージュって言いたいの?」
「あ、それー。小宮殿に人が行かないようにってさ。広場に誰か入ったら
「そんな余計ないたずらしたって、いらない騒ぎが増えるだけじゃない」
「おまえなー。そーやって呆れた顔してるけど、騒ぎになるくらい人を楽しませるのが魔女の本分なんだぞ? スニーはそーゆートコがまだ分かってないんだよなー」
大きなお世話よ。この快楽主義者。
「でもマトリョーシカから北部同盟に結び付けるのは安直と言えば安直よね?」
ちょっと攻め込んでおかないとね。チャロは単純思考だから、その考えに簡単に乗っかると後々痛い目を見ることにもなりかねないわ。
「安直ー? 何が安直さー? そうでもないだろ? そりゃ当然帝国の人間がマトリョーシカを持ってたっておかしかないさ。定番の土産もんだからなー。でも持ち歩くかって言ったら、普通は部屋に飾っとくもんだろー?」
「それはそうね」
「でも持ち歩くのが普通ってこともあるんだよ。持ち歩くことに意味があるんだ」
「意味?」
チャロにしては珍しいわね。それなりの考えがあったみたい。
「そー。入れ子の最後の人形はお守りなのさー。遠く故郷を離れてりゃーお守りを持ち歩くなんて普通のこったろー? スパイがそれを失くせば足が付くんだから必死になって探しもするさ」
「なるほど、そこで繋がるのね。ただ、その警備兵が北部同盟のスパイだったとしても、あの日の騒ぎはどう説明すればいいのかしら?」
アカデミーにはスパイがいる。それは当初からメクセラに聞かされていた話よ。帝国の外から来るスパイもいれば、領地間の権勢を競う為に国内からでもスパイは来る。力そのものが力だった時代は終わって、情報や技術が力を持ち始めたんだから、最先端の研究が行われているアカデミーにスパイが集まるのも当然の流れ。
「そこだなー。でも状況だけならこじ付けはできるぞ?
「だからそれをする意味は?」
「んー、何だろーな? そもそも邪霊を捕まえるなんて魔女じゃなきゃ無理な訳だし――」
ここで言っておくと、北部同盟は長年に亘る帝国の不倶戴天の敵よ。私たち魔女も無関係ではなくて、全ての魔女が「居心地のいい帝国とそうじゃない北部同盟」くらいには感じている。だって帝政ネビュローサの前身、共和政ネビュローサは団長が主導して興した国なんだから。
歴史的に見ても「マリスタニの裏切り」と呼ばれる帝国二分劇が勃発した時点から、魔女は明確に帝国支援の立場を明かしている。詳細は別として、それまで国際情勢に関わろうとしなかった団長がメテオリリーマ魔女団を結成したのかこの時よ。私たち魔女は表舞台に立って六十年に亘る長い戦争を戦った。今となっては私も含め、当時のことを語りたがる魔女はいない。
「北部同盟側に与している魔女がいる――。チャロはそう言いたいの?」
「可能性の上ではそーだなー。だって、そーでもなきゃ今回のことは説明が付かないぞー? 現場近くで北部同盟のスパイを見つけたんだ。
「確かにね。でもそうなると問題はその意図よ。ガラテアが狙われたようにも見えるけれど、あの場にいた他の誰かが標的だった可能性だって捨て切れない。或いはまったくの無差別で、騒ぎにさえなればいいと考えての犯行とも考えられるでしょ? チャロはその辺りをどう見てる訳?」
「んーっ、分っかんねー! ま、分かんない内は様子見だろーなー。スニーはガラテアを見とけよ。あたしはスパイの方を張っとく。ガラテアには余計なこと言わなくていーからな」
「了解。今のところはそくらいでしょうね。網を敷いて、獲物がかかるのを待ちましょう」
運動場ではガラテアが飽きもせずにバーベールを上げ下げしている。やっぱりあの子が鍵なのかしら?
***
日めくりのカレンダーを千切ると新しい日付は十一日。ガラテアにはチャロとスニーを付けておいたから都度都度報告が上がって来るんだけど、これがまぁ碌でもない内容で、読むだけでドッと疲れるのよね。
コンコン――。
「どーぞー。丁度お茶でもしたいと思っていたところよ。グッドタイミングだわパニィ」
「お疲れ様ですお母様。あら? またお部屋が――」
ティーセットのトレーを運んで来たパニィが早速目を光らせたわ。私はそれを素早く遮って先手を打ちに出た。
「散らかってないわよ! ここはこのままでいいの!」
「後でまた片しておきますね」
「パニィ、貴女も大概聞かない子よね……」
ここは私の仕事部屋なんだし、私のリズム、私のセンスで構築された空間をあれこれいじる必要なんてどこにあるのかしら?
でもそれは言えないの。善意でしてくれることだし、仕事に差し障りが出るほどでもない。世話好きなパニィの趣味とでも思って放っておくことだわ。
さて、書斎机の前のテーブルにお茶とお茶菓子が並んだわ。移動してクレイジーキルトのソファに差し向い――。
「ちょっと。どうして並んで座るの? 狭っ苦しいでしょ。向かいに座ればいいじゃない」
「それはいけません。お茶の入れ替えをするにも、汚れたお口の周りを拭くにも、こうして隣りにいた方がいいんですから」
「口の周りって……。子供じゃないのよ私は」
パナイースは他に誰もいないとなると途端に母親気取りなことを言い出すのよね。
「それより、アカデミーの方はどうですか?」
「これ、貴女どこまで読んだかしら?」
私がシャボンの魔法にくるんで書斎机から取り寄せたのは一冊の日記帳よ。
「私が目を通したのはカーブラックの御曹司を殴った件と、その翌日に
「なら続きを読んでご覧なさい」
魔女の交換日記は最初に必要な数を用意して、それぞれにサインした魔女の間で内容を共有する代物。誰の書き込みも全ての日記帳に綴られる仕組みになっているのよ。チャロとスニーの手元にも同じ日記帳が一冊あって、二人の報告を私が読む。私の意見や感想を二人が読む。そんな風に日々の情報交換をしているの。
「ガラテアはお勉強がダメですねぇ。座学の講義で当てられると答えられないことがほとんどだって書いてあります」
「その辺は飛ばしていいのよ」
「ではパラパラと――。あら、魔法の才能が凄いみたいですね。
「パニィ、貴女これを読んでどう思う?」
魔女は不老の存在だから、基礎力の高低はあるにしても基本はゆっくりと成長して行くパターンになるわ。
「どうもこうも、母親が魔女だったんでしょう。それ以外には考えられません。不思議で素敵な偶然です。
その反応は異常事態と感じていない時の反応よ、パニィ。
「ないわよ。人格、実力、功績と、三つ揃っての話でしょ。功績無しで位階は上げられないわ。それどころか少し前のページを読んでご覧なさい。決闘ですってよ。内容を見れば人格すら危ういわね」
同郷の先輩相手にブランペインの家名で揉めて何故か決闘になる。その上二度までも相手を吹き飛ばす容赦のなさ。あの子のことだから悪意はないんでしょうけど、同時に手加減も何も一切ない。神経を疑うレベルで呆れる話だわ。
「何て言うか、凄いですね。文字だと想像するしかないですけど、蹴っ飛ばしただけで人が一人飛んで行くなんて、まるで私の魔法みたいです」
言われてみれば確かにそうよね。私も文字でしかあの子の凄さを知らないけれど、過剰に書かれている分を差っ引いたとしても絵空事のように思えちゃうわ。確かに魔法でなくても尋常じゃない力を発揮する人間はたまにいる。ガラテアもその例に当て嵌まるってことかしら。ま、追々その辺りも調べてみましょ。
「パニィはいいわよね、その程度の感想で片付けられて。こっちは後見人ですからね。何かあった日には呼び出される立場なのよ?」
普通に考えればもう十分に呼び出しレベルの騒ぎだけれど、
アカデミーからの報告は伯爵の手元で止まって、帝都にまでは流れて来てない状況よ。とはいえこの調子でやられたらそれもいつまで持つかって話なのよね。
「それでね、パニィ。パニィにはガラテアの母親が誰なのかを調べて欲しいのよ。十四年前の話ならまだ人間として生きている可能性の方が高い訳だし、そうなれば真実ガラテアの保護者ってことになるんだから、事情さえ許せば戻って来て貰うことも考えなきゃならないでしょ?」
別に問題児化しつつあるガラテアを押し付けたいとか、親の顔が見てみたいとかじゃなしに、母親が生きているなら私はその存在を確かめておきたいのよ。
だってガラテアは自分の父親はダグラスだと決め込んで、ユージーンに繋がる感情線を断ち切ってしまっている。それ自体は私も致し方無いことだと考えてはいるけれど、ならせめて母親とは向き合えるようであって欲しいと思うの。
「十四年前ですか。あの当時カルデネ辺りで活動していた魔女となると――」
「フリーキーはないわよね?」
私のバカ。つい会いたい子の名前を口に出してしまったわ。パニィも少し驚いた顔をした。
「お母様、フリーキーがここを離れたのは百年近くも前ですよ。あの頃の様子からして、彼女は西大陸へ渡ったんだと思いますけど」
「そ、そうよね。今のは忘れて頂戴。何となく言ってみただけだから」
私とパニィ、チャロ、そしてフリーキーの四人はメテオリリーマ魔女団結成以前から小さな魔女団を組んで活動していた四人組。特にフリーキーはパニィと一緒にメテオリリーマ魔女団の副団長を務めてくれていた子よ。なのに私の前から突然姿を消した――。
「それもこれも全部私のせい。本当に……あの戦争だけは失敗だったわ」
「お母様……」
マリスタニの裏切り――。
そう称される帝国二分劇が起きたのは今からそうね、凡そ百六十年ほど前のこと。
当時は四代皇帝メレディスの時代。彼は後継問題で随分と悩んでいたわ。マリスタニ公爵の娘との間に生まれた子は凡庸で、反対に異母姉のルシンダは男顔負けの政治感覚を持っていた。けれど当時は未だ女帝の先例がなくて、相談を受けた私はメレディスにこう答えたわ。
「親として子を愛する心と同じ。皇帝として帝国の子らを愛しなさい。正しい選択はそこにあるはずよ」
結果としてメレディスはルシンダを後継に指名した。ルシンダは初の女帝として帝冠を被ることになったのよ。
一方で孫を廃嫡されたマリスタニ公爵はメレディスの選択を激しく非難したわ。公爵は同調勢力を糾合して、ついには王国側へと寝返ってしまった。
私としてはメレディスがどちらを選ぼうと構わなかったのよ。国を想って下した選択ならそれでいいと。でも結果はどう? 帝国は東と西に割れてしまった。責任を感じた私はルシンダに協力を申し出たわ。メテオリリーマ魔女団を率いてね。
ルシンダは三大騎士団に直轄領を与え、北、南、西にそれぞれ配置した。東部戦線を受け持つ東には私たちメテオリリーマ魔女団が入ったわ。
私たち魔女は六十年間表舞台で戦った。お蔭様で帝国での魔女人気はストップ高。勿論、北部同盟側ではお察しの通りよ。
今は魔女団領もなくなって、南を併呑したことでハリン騎士団が魔女団領に移されている。旧ハリン騎士団領には帝都から
戦後、戦争の悲惨さを目の当たりにした魔女たちに訪れたのは結婚ブーム。奪った命を贖おうとする意識からか、自らの子を育てようと寿引退の猛ラッシュが起きた。魔女にとって最も重要な決断に、私は歪んだ動機を与えてしまったと嘆いたわ。
フリーキーが私の前から姿を消したのも、きっとあの
「みんな幸せでしたよ。どの手紙にもそう書いてあったじゃないですか。みんなお母様が悩んでいることを知っていました。だから団長は悪くない、誰かが悪い訳じゃないって――」
「本当にそうならいいけれど」
「本当ですよ! 信じないと私がみんなの代わりにコツンてしちゃいます」
みんな本当にいい子たちだったわ。
ガラテアを生んだ魔女も已まれぬ事情から我が子を手放したんだとすれば、きっと会いたがっているに違いない。生きてさえいれば私が責任を持って引き合わせましょう。せめてそれくらいのことは――。
「
「え?」
突然耳に飛び込んで来た懐かしい魔女名。パニィを見ると手元で見慣れない帳面を捲っていた。
「いえ、今記録を見ていたんですけど、十四年前にカルデネ周辺にいて、その後音信のない魔女に
どれも確かに十年以上は会っていない子たち――。
「貴女、いつの間にそんな細かい記録を付けてたの?」
「えっへん! 私はメテオリリーマ魔女団の副団長ですから」
「凄い! 偉い! さすがパニィは頼れるわ。好きよっ!」
抱き着いたら鼻血吹いたけど大丈夫?
まぁいいわ。先ずはその四人の足取りを追うところから始めましょう。
ディオーネ、スリル、オフィーリアにサロメ。差し当たってこの四人の中にガラテアの母親がいると見てよさそうだわ。違ったとしても同時代という背景を考えれば取っかかりにはなるでしょう。
「パニィ、今だとカルデネやワズンには誰がいたかしら?」
「そうですね――。
「クエッパね。でもあの子って隠密向きとは言えないくないかしら?」
「彼女は屋台を引いて回りますから、情報集めなら得意だと思いますよ?」
「問題はその先よ。まさか屋台を引いてどこぞに潜入するって訳にも行かないでしょ?」
「なら何人か付けましょう。そうですね、私のお薦めは
「デラぁ? 飛んでったきり帰って来ないような子だけど大丈夫かしら? もう少し慎重なタイプの子は――」
「お母様。魔女に慎重な子はいません」
知ってた。ほんっとにいないのよ。こればっかりは元の性格がどうであっても、
「お母様のお薦めは?」
「そーねぇ……」
探す相手が軒並み
「あっ、クララはどう? あの子は咄嗟の機転が利く子でしょ?」
「はい。ですけど
「あーっ、そうだったわね。赤ちゃん抱っこしてあげたんだったわ。そーなると、んー……。魔女の館にいる子で行けそうな子って誰かいないの?」
うちを根城にして遊んでる子たちは掃いて捨てるほどいるんだし、一人や二人、何とかなるでしょう。
「
「あー無理無理。ルルーじゃあっちこっち男に目移りして仕事にならないわ。
「
「はぁ?」
どっちも優秀な子たちじゃない。何で今更塔なんかに籠ってるのよ。
「何をやってるのあの子たちは……。いいわ、ならポーシャを行かせましょう。あの子の縄魔法なら色んな場面で役に立つもの。よし、これで決まりね! 捜索メンバーはクエッパ、デラ、ポーシャの三人よ。私はアカデミーの二人と連携するから、パニィには捜索チームとの連絡を任せるわ」
「はい、お母様」
「後で魔女の交換日記を四冊用意するわ。個別行動に備えて各自に持たせておきなさい。捜索の方は慌てず急がず慎重にね」
「お母様。魔女に慎重な子はいません」
「…………。とにかく上手くやって頂戴。以上よ。私は今から塔へ行って来るわ」
これで段取りは整ったわね。とは言っても捜索の方はしばらく時間がかかるでしょう。魔女が本気で行方を
寧ろ早回しに何かが起こりそうなのはアカデミーの方よ。報告に上がっていたスパイは何を探ろうとしているのかしら? 幾つか想像できるものはあるわね。
例えばガラテアの血筋。それに、カノープス伯爵に圧力をかけて伏せさせている後見人――要するに私の存在もスパイの調査対象にはなるでしょう。
ただし、常に例外はあるものよ。抜きん出た才能を持つ魔法使いには
「誰であれ、目的が何であれ、私が守ると決めた子に手を出す気なら覚悟をしておくことだわ。あの子は今や魔女になって、既に私たちの仲間。悪意を持って近付こうとしても無駄よ。影すら踏ませやしないんだから」
魔女の社会は相身互いに助け合う社会。年々数を減らしていることを思えばその想いは一層強まって来ているわ。
ガラテアは十年振りに生まれた魔女。それだけで私たち魔女の希望なのよ。そこへ来て母親までもが魔女だとしたらそれこそ生粋の魔女。だとすればこの先、魔女社会の求心力にまで育って行く可能性は十分にある。
貴重な種を守りましょう。そこに如何な障害があれ、元祖たる黎明の魔女の名に懸けて――。
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