438話 ば、爆発ですかぁ?
「はぁ、はぁ……」
俺は目を覚ました。
辺りは暗い。
まだ夜中のようだ。
「コウタさまぁ。お気付きになられましたかぁ。心配しましたぁ」
俺が起きたことに最初に気づいたのは、リン(?)だ。
彼女は俺に抱きついてきた。
「すまんな。眠っていたようだ」
俺は彼女を優しく抱きしめる。
「ずいぶんとうなされておいででしたよぉ」
「そうか」
どうやら夢見が悪く、寝汗をかいているらしい。
全身がびっしょりと濡れていた。
(ええと……。ああ、女神様の夢を見たんだったな……)
ずいぶんとリアリティのある夢だった。
あれは本当に夢なのだろうか?
それとも、例えば次元の狭間とか神の世界とかへ一時的に招待されていた感じなのだろうか?
(俺のことをコマ扱いしてやがったな……。いや、それはどうでもいいか)
別に、人の下に付くのは慣れっこだ。
元社畜だしな。
少ない見返りでこき使われるのには思うところもあるが、女神様からはチートという十分な見返りをもらっている。
俺がシルヴィやユヅキたちといった魅力的な女性と関係を持てているのは、彼女の女神様のおかげと言っても過言ではない。
彼女の思惑通りに動くことに忌避感はない。
(それよりも、優先して対処するべきは――)
「うぐっ!?」
突如、激しい違和感に襲われた。
「大丈夫ですかぁ?」
「あ、ああ……」
「ご無理なさらないでくださいねぇ」
リンは優しく背中をさすってくれた。
「悪い……。少しだけこのままで……」
「はいぃ」
俺はしばらく、リンの優しさに包まれていた。
彼女は穏やかな手付きで背中をさすり続けてくれている。
「ありがとう。ずいぶんと楽になってきた」
「いえいえ。これぐらいはお安い御用ですよぉ」
「重ねて申し訳ないのだが、ここも頼んでいいかな? ちょっとツラくてな……」
「ええっ!? こ、ここは……」
リンが驚く。
無理もない。
まさか風邪で寝込んでいるときに股間を膨らませて苦しんでいるとは思わないだろう。
「こ、こういうのはお姉ちゃんに……。いえ、隣で寝ているシルヴィさんでも……」
「シルヴィも風邪だ。起こすわけにはいかない」
「で、でもぉ……。朝まで待てば、他に素敵な女性がいくらでも……」
「すまん、限界なんだ。『英雄』というジョブの副作用でな……。このままでは金玉が爆発してしまう。情けないが、頼む……」
「ば、爆発ですかぁ? うう、わかりましたぁ」
リンはおずおずと俺に従ってくれたのだった。
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