420話 体拭き

 風邪をひいてしまった俺は、メイドの女性ネリスに体を拭かせている。


「おいおい、さすがにそこは自分でやるぞ?」


「いえ、どうかあたくしにお任せください」


「……そうか」


 ネリスの気迫に押されて、俺は素直に従うことにした。

 彼女が持ったタオルによって、俺の下半身が拭かれていく。


(しかし、ネリスはなかなかいい女だな)


 ネリスは俺好みの体型をしていた。

 身長は165センチほどで、スタイルがいい。

 バストもDカップくらいあるだろうか。

 顔立ちも整っていて、美人とかわいいの中間地点といった感じだ。

 20代後半と年齢的には高めではあるが、肌にはハリがあり、まだまだ若いと言える。


 そんな彼女に対して、ムラムラした感情を抱くなと言う方が無茶であろう。

 下半身をタオルによって拭かれ、ついつい股間が反応してしまう。


(おっと、いかんいかん。自重しなければ)


 俺は女好きだ。

 俺に好意を見せた者であれば、遠慮なくいただく。

 また、敵対していた者を屈服させるために襲うこともあるし、酔いの勢いで宿屋や飯屋の店員をいただくこともあった。

 だがさすがに、雇ったばかりのメイドに手を出すのはマズいだろう。

 今後も長い付き合いになるだろうし。


「こちらもお拭きしますね」


「おお……」


 俺は思わず声を出してしまう。


「うふふ」


 ネリスは妖艶に微笑みながら、手を休めない。

 俺の興奮はどんどん高まっていく。


「ネリスよ。お前、夫はいるのか?」


 これは確認しておいた方がいいことだ。

 心底惚れた女であれば、夫がいようと関係ない。

 奪うだけだ。

 だが、少しいいなと思ったぐらいの今であれば、まだ引き返せる。


「いいえ、おりませんわ」


 返ってきたのは、少し意外な答えだった。

 ネリスのような美女が未婚とはな。

 20代後半の彼女は、この世界では明らかに婚期を逃してしまっている。


「ほう……」


 俺は彼女に、ついつい獣のような視線を向けてしまうのだった。

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