373話 昇格の条件

「お前さんたち『悠久の風』はAランクパーティとなる。超一流の扱いだな」


「おう。ありがたいことだ」


 Aランクパーティの目安はいくつかある。

 個人ランクAの者が4人集まったパーティ。

 個人ランクAの者が3人とBランクが2人集まったパーティなどが一般的だ。

 俺たち『悠久の風』の場合、個人ランクAの者が1人、Bの者が6人、Cの者が3人である。

 これほどの大人数パーティの前例は少ないと思うが、一応の昇格条件は満たしていると考えていいだろう。


「ただし、条件付きだ。その昇格の条件なんだが……」


 ギルドマスターが難しい顔をする。


「何か問題があるのか?」


 俺は尋ねる。


「ああ。問題というか、お前さんの個人ランクをAに上げる条件にも絡んでくるんだが……。Aランクへの昇格条件が、陛下の『闇ギルド一掃指令』を半年以内に達成するというものなんだ。期限を過ぎても達成できなければ、お前さんの個人ランクもパーティランクも、引き下げが検討されてしまう」


「へぇー」


 闇ギルドを一掃できるかどうかで、Aランクの適性があるかないかを判断されるということか。


「へぇー、って……。他人事じゃないぞ。闇ギルドの一掃はかなり骨が折れる仕事だ。『毒蛇団』の頭目である『毒霧』のアルヴィンはかなり厄介な相手だぞ。普段は表に出て来ないし、毒物の扱いに長けている。その上、戦闘能力自体もAに近いと言われている」


「ふむ。だが、俺たちならやれるだろ」


 俺はニヤリと笑う。


「まぁ、それはそうだろうが……」


「心配するな。必ず達成してみせるよ。俺たちの力を信じてくれ」


「……わかった。そこまで言うのであれば信じよう。期待している」


 ギルドマスターも納得してくれたようだ。


「しかし、期限が半年後か」


「そうだ。短い期限だが、何とか頑張って……」


「逆だ。ずいぶんと悠長な期限を設定されたものだと思ってな」


「は?」


 ギルドマスターが理解できないというような表情で固まる。


「俺たちは明日から準備を整えていく。半年と言わず、1、2か月以内に片付けてみせよう」


「なっ! 何だと!」


 ギルドマスターが目を丸くする。


「まぁ、任せておけ」


「いや、だが……。いくら何でも早すぎるだろ。いったいどうやって……」


「俺たちならば可能だ。明日から装備や道具を整えて、戦力を強化する。それに、さらなる戦力増強の手段にも目星は付けている」


 俺はそう言って、仲間たちの顔を見る。

 みんな素晴らしい美少女だ。

 それに、ジョブレベルも高く頼りになる。

 迷宮の隠し部屋で得た金銀財宝を使えば、装備や道具を揃えることも難しくない。


 そして、彼女たち以外の人手の当てもある。

 町の治安を乱す闇ギルドなど、俺が一掃してやるぜ。

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