132話 一夜の過ち

 俺はふと目が覚めた。


「……ん? ここはどこだ?」


 見慣れない場所だ。

 荒れた山地が広がっている。

 昨日は確か、シルヴィ、ユヅキ、ミナ、リンの4人と深夜までハッスルしていたのだったか。


「あれ? なんで裸なんだ?」


 俺は全裸だった。

 近くにはシルヴィたちが寝ているが、服はちゃんと着ている。

 昨日の終わりはどうなったのだったか。


 ずきっ。

 不意に俺のあそこが痛んだ。

 俺は息子に目をやる。

 ……土まみれだった。

 なぜ?


「ふあぁ……。ご主人様、おはようございます」


 シルヴィが目を覚まし、そうあいさつをしてくる。


「ああ、おはようシルヴィ。ところで、これはどういうことだろう?」


 俺は股間についた汚れを指差し、シルヴィに尋ねた。


「えっと、それは……」


 シルヴィは言葉を濁す。


「……わたしはナニモミテイナイデスヨ?」


 彼女はカタコトでそう答えた。


「シルヴィ、何か知っているんだな? 教えてくれないか?」


 俺はそう詰め寄る。

 俺の息子が土まみれになっている理由がわからないと、俺は気になって夜しか眠れなくなってしまう。


「その、ですね。ええと……」


 シルヴィの目が泳ぐ。

 と、そこで横からガサガサという音が聞こえた。

 どうやらユヅキが起きたようである。


「おはよう。ユヅキ」


「おはよう……。コウタ」


 ユヅキがローテンションでそう言う。

 彼女は朝に弱いタイプだっただろうか。

 あまりそういう印象はない。

 いや、これは二日酔いか?


「つらそうだな」


「う~。飲みすぎちゃった……。頭が痛い。それにあそこも痛いような……? って、ああ!」


 ユヅキは突然叫び声を上げた。


「どうした? 大丈夫か?」


「ど、どうしてこんなことに!? 僕の初めてが……」


 ユヅキが涙目になりながら叫ぶ。


「覚えていないのか? 昨日の事」


「覚えてはいるよ。ううっ。酔いに任せて、コウタと一線を超えちゃうなんて……」


「すまなかったな。俺も理性を保てなかったんだ」


「うう……」


 彼女が沈痛な表情をして下を向く。


「ユヅキの処女を奪った責任は取る。そう悲しい顔をしないでくれ」


 俺は真面目な表情を作って言う。

 俺との一夜の過ちをそうも悲観されると、居た堪れなくなってくる。


「ほ、本当? 僕みたいなのでもいいの?」


「もちろんだとも。ただ、シルヴィたちも同じく妻にしたい思いはあるがな」


「そういえば、ハーレムを目指すとか言っていたね。やっぱり本気なんだ……。お金がいくらあっても足りないよ?」


「そこは頑張るしかないな。まあ、俺の例の力があればハーレムを維持することは十分に可能だと思う。申し訳ないが、ユヅキ自身の活躍にも期待しているぞ」


 俺はそう言う。


「僕はもともと頑張るつもりだよ。でも、もし僕を捨てたら、一生恨むからね」


「絶対にそんなことはしないさ」


「そう。コウタを信じるよ。大切にしてね」


 ユヅキがそう言って微笑む。

 彼女の笑顔はとても可愛かった。

 この笑顔を守っていかなければならない。

 俺は心からそう思った。

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