98話 翌朝

 チュンチュン。

 朝になった。


 俺は爽やかに目覚める。

 隣では、シルヴィがまだ眠っている。


「うう……。ご主人様、わたしは幸せです……」


 シルヴィが寝言でそうこぼす。

 今日は大きな予定は入っていない。

 このままシルヴィが起きるまで待っていよう。

 彼女のかわいい寝顔を見つつ、二度寝する。

 至福のひとときだ。

 そして、しばらくして。


「むにゅ……。ふぁああ……」


 シルヴィが寝ぼけ声とともに、目を覚ました。

 かわいい。


「おはよう、シルヴィ」


「おはようございます。ご主人様……」


「どうした?」


「あう……。少し恥ずかしくて……」


 やはり、まだまだこういうことに慣れていないせいか。

 羞恥心が抜けないようだな。


「さあ身支度をして、ユヅキとともに朝食を食べよう」


 俺はそう言う。

 普段から、俺とシルヴィは同室で、ユヅキは隣の別室を借りている。

 朝食はできるだけタイミングを合わせて、ともに食べるようにしている。


 俺たちは着替えなどを済ませていく。

 俺たちがそれぞれ朝の身支度を終えたときーー。


 コンコン。

 ドアがノックされた。


「ユヅキか?」


「うん。おはよう。入ってもいい?」


「もちろんだとも」


 俺はそう返答する。

 今までにも、打ち合わせなどをこちらの部屋でしたことがある。

 入室を拒む理由はない。

 そう思ったがーー。


「あっ。ご主人様、マズいのでは……」


「ん? 何がだ?」


 シルヴィから懸念の声が上がったが、俺はよく理解できなかった。

 ギイィ。

 ユヅキがドアを開け、中に入ってくる。


「……んっ!? これは……」


 ユヅキが顔をしかめる。

 シルヴィはアチャーという表情をして、手を顔に当てている。

 何か問題でもあっただろうか?

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