第7話

 僕のポジションは2番だ。通称シューティングガード。某人気バスケ漫画を見たことがある人なら知ってると思うがみっちゃんのポジションだ。

 基本的にあっくんがポイントガード。僕がシューティングガード。福山がスモールフォワード。あと横井と谷口という大柄な二人がパワーフォワードとセンターと言ってゴール付近で仕事をする。

 作戦はとりあえずいつもと同じ感じで。だそうだ。

 OBチームも作戦の確認を終え、両チームとも5人綺麗に列に並び、大きな一礼とともにセンターサークルを囲んだ。

 コートの真ん中にはジャンプボールを上げてくれる主審の女子バスケ部のキャプテンがいる。

「ビブス現役チーム、ビブス無しOBチームでお願いします。10分2本で行きます。ではジャンプボールの選手前へ。」

 先にジャンプボールを制したのはOBチームだ。平均身長がこっちより10センチ近くある。名古屋大谷もそれくらいのミスマッチがあるのでこのゲーム試合で打開策を生み出さなければ勝算がない。

 僕のマッチアップはゆーや先輩だ。2、3回パスを回し、左サイドの45度の位置で先輩にボールが回った。

「ディフェンス遠いぞ」

「キュッ、シュッ!」

「スパッッ!!!」

「相手は隙があったら打ってくるぞ、ディフェンスもっと厳しく来い。」

 ボールが先輩に渡った途端、ほんの一瞬油断した。その隙にドリブルもつかず、目の前に僕がいる状態でそのままシュートモーションに入られスリーポイントを決められた。

「チッ、くそ。」

 周りに聞こえるくらい大きな舌打ちをたて、心配そうな顔で励ましてくれるチームメイトのおかげで我に戻った。

「1本!大事にいこう!」

 キャプテンの秋山がチームのバランスを直し、攻撃の指示を出す。

 相手のOBチームの身長が高く、ゴール下でなかなか攻め切ることができない。

 当然の話だが、ことバスケットボールのようにゴールがあるスポーツではゴールに近い方がシュート成功率が上がる。その誰しもがシュートをしたいゴール下をオフェンスの選手はパスやドリブルを巧みに使い、もっともディフェンスの選手が密集しているゴール下を無理矢理こじ開けて得点を狙うのだ。

 その攻め方が最も安全で、確率の高い攻め方。のはずだが。

「ドガッッッ!!!!」

「おいおい、そんなタッパでゴール下で打たせると思ってんのか?坊主。」

 最も安全と言ったのを訂正しよう。いかにゴール下をこじ開けたとしても、身長のアベレージが10センチ近く違う相手だと、獲物に飛びつく虎のように、放ったシュートをことごとく叩き落とされる。

 そして、文字通り僕たちは虎の捕食者だったのだ。

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