第4話

 教室へ戻るとクラスメイトが先程の学年集会のこともあってか何やら賑わっているようだ。

「えー!未来ちゃん名古屋大学にいくのー!?すごい!!未来ちゃんなら絶対に合格できるよ!」

「ありがとう。けどギリ偏差値足りないんだよね。」

「まぁ未来ちゃん部活もやってるしね。インターハイいつだっけ?」

「今月末から予選。勝ち上がっていけば夏まである。私200なんだけど愛知早い人多くてさー。予選で負けちゃうかも。」

「でも予選で負けたら早く受験勉強できるじゃん!ポジティブにいこうよ!」

「応援してるのかしてないのかどっちだよ。けどまぁ美玖の言うことも確かにだよね。スポーツ推薦で行くわけでもないのに何を頑張ってきてたんだろうね。私たち。」

「私は部活やってないけどさ、けどさ、いつも放課後に部活やってる人達羨ましいもん。それこそ未来の事も。同じ目標に向かって同じ時間共有して、それこそ青春って感じするよ。大学受験に必要なくてもさ、大人になったらそれがかけがえのない時間になったりするんだよ。

「まぁ、、確かにな〜。」

「椎名どう思う?」

と隣の席の僕に答えを求めてきた。

 話は聞いてはいた。これは盗み聞きではなく単に聞こえてきただけだ。盗みは自らが物を取りに行くものだが、この場合は物からこっちにやってきたのでこれは盗みではないのだ。

「んー?どうだろうね。俺は逆に放課後に友達と遊びに行く子達とか見るの羨ましいけどね。」

「えーうそ?あんたあんなにバスケ好きなのに?」

「好きなものでも毎日長い時間過ごしてたら、好きじゃなくなる時だってあるんだよ。きっと恋愛もそう。」

「何それ、かっこうつけちゃって。まぁわかるけどねーその気持ち。私はそんな変に小難しく考えずに単純に練習が嫌!帰りたい!ってなる感じだけど。」

「じゃあ二人とも放課後遊びに行く達の子をみて青春してるなって思うんだね!なんだ〜、結局皆んなないものねだりなんだね。」

「それが答えだな。」

そうして僕たちの青春に対する答えをだしたのであった。

 だが確かに鈴木未来の言うスポーツ推薦でもないのになんでこんなにも部活頑張っているのだろうと考えたことはある。

 バスケットボールは小学生の頃からやっている。だが、バスケット選手になろうと思ったことは一度もなかった。どこかでなれないとでも思っていたのだろうか。いや、本当になりたかったらもっと本気で練習して、強豪校に行って活躍していれば今よりかはプロに近づいていたはず。そう言う選択もあったはずなのに、僕は選ばなかった。

 人はこれを後悔というのだろうか。じゃあ未来の自分が後悔しないように自分が今とれる選択はなんだ?

 そうやって頭の中をぐるぐる走り回っても答えはやはり出ず。自分の将来について、今もなお答えを導き出せずにいた。

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