第3話 救国姫の悪女伝説。(黒子視線「とあるヤンデレた姉様の悪役令嬢転生記」③)

【エクササイズ③ 救国姫の緋色眼】


■ メインの敵対者は誰? 人物でなければ何と敵対する?

 「緋色眼ヒロイン」の転機は、《かりそめの世界》王国ベルンハルトを囲う円環リングの《外》からもたらされますの。

 

 卒業式を控えた、貴族院最上級生のリスタリカは、アールトネン伯爵家の素領ジーノムへと戻る準備を進めておりました。その時、王国を囲う円環リングの魔壁の一角を砕いた《魔》が、王国ベルンハルトの民を侵します。


 最優秀生エクセレントの「緋色眼」リスタリカは、郷土領エーリクフェンの対王アレル候補生ヘンリク、王国ベルンハルトの第三王子ヴィルヘルムたちと共に立ち上がり数々の《魔》と対峙します。


 《魔》を見据え続けた「緋色眼」は、再び火照りだします。


 そう、このかりそめの世を生み出した絶対存在が、「緋色眼ヒロイン」に再び火照りを伴う破魔の加護を与えたのです。


 ただ神と呼ぶよりは、狂神と呼ばれるべき狂しき絶対存在。

 それこそが、「緋色眼ヒロイン」の真の敵対者ですわね。



■ 「普通の世界」にいる主人公ヒロインが葛藤や対立を体験し始めるのは、どんな災難が起きるからか?


 「あの子」と一緒にいられればそれだけで良い。そんなどこにでもいそうな普通の少女ヤンデレだった主人公ねえさまは、2つの災難を体験します。


 ひとつは、少女ヒロインが、毒殺されたこと。彼女と「あの子」とのちぎりを引き裂こうとした悪意の者によって。もうひとつは、緋色眼ヒロインとなってから、狂神から破魔の加護を与られたこと、ですわね。


■ その災難に対する主人公ヒロインのリアクションは、どんな葛藤と対立を生むか?


 破魔の加護を得た緋色眼ヒロインは、王国ベルンハルトを侵す《魔》の本質ネイチュアを見通すことができるようになりました。

 緋色眼ヒロインは、宿主の令嬢リスタリカと彼女を慕う仲間たちを導き、《魔》を打倒します。

 そして、第三王子ヴィルヘルムの許嫁となった、アールトネン伯爵家の令嬢リスタリカは、救国姫リスタリカと呼ばれるようになります。


 しかし、10年を経ずして、王国ベルンハルトの人々は、《魔》を祓いし救国姫は《魔》に犯されてしまっているのではないかと噂しあいます。

 ヴィルヘルムとリスタリカの長子は2人に良く似た愛らしい銀髪碧眼の男子であったのに対し、次子は、黒髪緋色眼の女子であったのです。

 その髪の色は、リスタリカの郷土領エーリクフェンの対王アレルとなったヘンリクと同じもの。リスタリカとヘンリクとの逢瀬の目撃談と共に、救国姫リスタリカの悪女伝説としてまことしやかに人々は囁きあいます。


✧……✧……✧……✧


 主人公ねえさまの宿主リスタリカ姫、悪役令嬢はとうにご卒業あそばされたはずですのに、昼ドラ悪女デビューなさるのですの……?!

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