第2話 好奇心

「うーわ、でっけぇー!」


カイトの声が響いてる。


俺たちは、浜に引き上げたフネの中を探検してた。

引き上げたと言っても、半分以上は、海の中に浸かったままだった。


だから、俺たちは泳ぎに行ったフリをして、潜ってフネの下から中に入っていた。

このフネは、錆びていなかった。


後で村長に聞いた話だが、このフネは海上ではなく、潜って海底を移動するタイプのフネだったらしい。


あまりに大きくて、しばらく浜に放置されていた。そして、その間は、みんなの遊び場になっていた。




カイトとフジ兄ちゃんは、何枚もの写真を見つけて、はしゃいでいた。


その中の数枚に、女の人の裸が写っていたからだ。


「おい、ジュン!お前も見てみろよ!」

「俺はいいよ!」

「んだよ、かっこつけやがって!」

「本当に、興味ねぇーから!」

「いいよ、フジ兄!俺らだけのお宝にしようぜっ!」

「だなっ!」

「勝手にしろ」



嘘じゃなかった。呆れていた。

全く関心を持てなかった。


むしろ、怖かった。

それを見てしまうと、それで、はしゃいでしまうと何かが変わってしまう気がして。


そして、なぜだか、エリの笑顔を思い出していた。


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今でも僕らはこの星で 久住 海 @SHINGARI

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