第5話 はぁ、社会は私のように努力を絶やさない賢い人間に僻み八つ当たりしてくるのです

「これ、確実に不正よね」

 不正以外ありえません。

どうせ舎弟弟分を周りにおいておいたのでしょう。

このクソデブ服にも油が染み込んでいて臭くて汚いのですが、着ている物身につけている者はAクラスの高級品です。

そんじょそこらの商人伯爵が手にいれられるものではありません。

しかし、なんでそんなお金持ちデブかただの親の金で贅沢してるすねかじりぼんぼんデブだかが、

こんな当たり屋ヒットマン抗争の火起こしみたいな事をしてくるのでしょうか。

 「はぁー!?何を難癖つけてるんだデブ!!

デブは性根にまで醜い脂肪がついてるんだデブな!!」

 はぁ?クソデブの癖に人の事をデブデブデブと、そんな事が許されるとでも思っているのでしょうか。

 「はぁ?デブは貴方でしょうデブデブデブクソデブ。

どうせ始めから舎弟弟分を周囲に置いておいて仕込んであるのでしょう」

 どんな馬鹿でも分かりきった不正です。

物心付く前からずっと努力を続けてきた賢い私には分からないわけがありません。

 「ふざけるなデブな!!

僕様は不正などしていないデブ!!」

 はぁ、やれやれ。そりゃあそう言いますよね。

そんな言い逃れに付き合う程私は暇ではないので、一番手っ取り早い方法で不正を暴いてみせます。

私は賢いのでこんな策が思い浮かぶのです。私凄いですね。

聖女から策士にクラスチェンジできますね。

ベースになる聖女のレベルも高いので、クラスチェンジ後のステにも補正がかかりますね。

物理防御力魔法防御力が高く神聖魔法も扱える策士なんて、強すぎますよね。

りざりざりざ。策士ながら、策士を狙われてもそう簡単にはやられない策士なのです。

これは強いですよ。

聖女がクラスチェンジするに相応しいのは策士なのです。

しかし、これは馬鹿や凡人共には分かりません。

“せっかく聖女なのに策士にクラスチェンジするなんてもったいない”

“聖女は他職種にクラスチェンジなどせず大聖女に昇格すればいい!!”

と、馬鹿や凡人共はそう言うのです。

まったく、なんでこんなにも馬鹿と凡人共で溢れかえっているのでしょうか。

私のように賢いうえに子供の頃から努力を続けてきた人間からすれば、

この社会はゴミどもがうじゃうじゃごみごみとしているのです。

はぁ、社会は私のように努力を絶やさない賢い人間に僻み八つ当たりしてくるのです。


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