第17話 救いの手を差し伸べるべき

 性犯罪の被害者ーそれは男性も含め、決して遠い世界ではない。

 今の自分とは別世界などではない。こうしている今も、世界のどこかで起っているのである。

 それは、女性、男性、若者、高齢者、子供の差別なく、突然襲ってくる防ぎようのない攻撃のようなもの。

 あと一歩、いや半歩間違えれば、誰しもそうなる危険性があることを、忘れてはならない。

 そういった被害にあった女性のために、シークが創設されたのだ。


 シークとは、シークレット(秘密)+Sheep(羊)の略語だが、性被害にあった体験をもった女性同志が、血縁関係なしの家族のように安心できる場を提供し、心身の傷を癒していきたい。

 実際、性被害者は家族にもいえない悩みを抱えているが、家族以上の関係ーいわばまぼろしの家族ー喜ぶ者と共に喜び、悲しむ者と共に悲しみなさい(聖書)の教えを形成していけたらというのが、理想である。


 こうしている間も、世界のどこかで悲鳴をあげている被害者が存在していることを忘れてはいけない。

 戦争や地震など起ると、女子供が真っ先に犠牲になる。勿論、性犯罪の被害者は発生するだろう。

 ブラジル出身の女性歌手曰く

「夜八時を過ぎて、女性の一人歩きができるのは、日本だけだろう。

 ブラジルでは、日が暮れると五人以上のグループになってしか、夜道を歩けない」


 こうしている間も、世界のどこかで紛争や戦争が起こっている。

 いや、日本でもコロナ渦で騙されて売春行為をしている女性、もしくは存在しているが、日本では十八歳未満の未成年者と性行為をもつと、買春という違法になるので、未成年者は保護されている。


 安全だと思っている地盤、いや基盤は、実は岩石でできた強固な地盤などではなく、いつもろくも崩れ落ちるかわからない、細いヒビが入っただけで根底からもろくも崩れ去ってしまう、きわめて弱い地盤なのだということを、常に自覚しなければならない。


 そして、性犯罪の被害者は、あなたのすぐ隣りにいることも。

 そういった人は、ときとして理解不能な大声を上げたり、面倒をみてやってるのにも関わらず、失礼な八つ当たりをしたり、理不尽な嫌がらせをしたりするだろうが、かといって、相手を悪者扱いし、簡単に疎外するのは不適切なことではないだろうかというのがたか子の持論である。

 なぜなら、人間、誰でもそうなる可能性、いや危険性を秘めているのだから。

 もちろん、そういった言動を肯定するわけにはいかないが

「罪を憎んで人を憎まず」

 主の祈りのなかで「我らに罪を犯す者を我らが許すごとく、我らの罪をも許したまえ」ーこの場合の罪というのは、人間が誰しももつエゴイズムのことである。

 そういった人は、風邪をひきやすかったり、2キロ以上のものを持ち上げることができず、日常生活も困難だという。


 SNSでは、匿名であたかも自分が正義の味方の如く、人を悪者扱いして懲らしめるのが流行りつつあるが、結局、自分が相手と同じ立場や環境に立ったとき、自分もまた懲らしめられるときが訪れるのではないかと危惧してしまう。


 今までの安全が、明日に繋がるという保証はどこにもない。

 突然の明日は、まるで突風のように、突然のミサイル攻撃の如く、いつあなたを襲うのかもしれない。

 

 


 

 

 

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☆幻の家族ー性犯罪被害者の明日 すどう零 @kisamatuma

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