第2話
「マリーナ、ちょうどよかった。アンネローラに婚約破棄を認めさせているところなんだ」
「まあ! 私とソフィー様は愛し合ってるのよ。さっさと別れて私たちに慰謝料を渡しなさいよ」
「あら、慰謝料ですか? ですが口だけではなんとでもいえますわ。困りましたわね、何か証拠となるものがございませんと」
「証拠ならある!」
ああ、やはり万年最下位競争をしている方々は扱いやすいですわ。
あ、今回下から二番目の方は怪我で試験を受けられず、一教科だけレポートで点数をいただいた方です。
そんな方の一教科の点数が、基本学五教科と専門学三教科を受けられた合計点のお二人の点数が近いとは……ねえ。
入学試験はいわばクラス分けの参考資料。
おバカでも大バカでも、寄付という名のお金を積めばはいれます。
進級時にまたご寄付が必要ですが、それで進級できるんですからねえ。
「マリーナのお腹の中には私たちの子がいるんだ!」
「そうよ! 私たちは結ばれたのよ!」
「ああ、だから慰謝料に出産祝いと養育費を払え!」
あっさり認めましたね。
騒ぎを聞きつけた学生や教師たちが教室の外からこの様子を見守っています。
違うクラスの生徒が入り込んでるんですけどねえ。
まあ、今更という部分もあったのでしょう。
おかげで証人がたくさんできました。
ご家族などに面白おかしく拡散してくださるでしょう。
相手がマリーナですからね、どちらが悪いなんて言わなくてもわかるでしょう。
今回は私と我が家だけが被害者なので、慰謝料でひと騒動は…………あるかもしれませんね。
ソフィーの兄フィンキーが結婚間近、妹(ソフィーの二歳下)のミュールは第二王子の婚約者ですから。
「はいはい、言質いただきました。皆さまも証言していただけますわね」
「「「はい!」」」
「では婚約破棄、承りましたわ。父にそうお伝えします。お二方もご実家へご報告してくださいな」
周囲に『
二人は呆然としていたけど、こんなことは先に報告した方が勝ち。
さらに集まった人たちは明日から長期休暇のため、今日しか話が直接聞ける機会がない。
ということで、二人を取り囲んで持ち上げて、おだてて、口を軽くして情報を聞き出そうとしています。
お二人は簡単ですよ、煽てれば豚より簡単に木に登りますから。
その隙に私は王城に勤める父に婚約破棄を伝えに行きます。
父に頼めばすぐに承認されるでしょう。
父の執務室から一分の距離に戸籍課があるので、報告したら一分でハンコをポンッ。
晴れて自由の身です♪
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