仲直り
翌日、私は時計台の下にいた。
今日は、どうしても会いたい人がいたから、
半年ぶりに連絡を取って会うことにした。
やがて、時間きっちりに彼女は来た。
「久しぶりだね、花菜。」
「久しぶり、千遥。」
気まずいのだろう。
彼女はずっと下を向いていた。
沈黙の時間が流れる。
ただ、私は臆せずに言った。
「文化祭の日はごめん。私、花菜が高原君の事好きだったとか全然知らなくて。それで、つい、テンパっちゃって。走っちゃった。」
恐らく予想外の展開だったのだろう。
花菜は私の事を凝視していた。
やがて、おもむろに口を開いた。
「私こそごめん。千遥の気持ち知ってたのに。裏切るようなことしちゃって。」
私はゆっくり、丁寧に言った。
「確かにあの時は正直ショックだったけど、
私いつも自分の事しか花菜に話してなくて、だからあんな事になったんじゃないかなって。だから、その、これからは、もっと花菜の話も聞きたいなって。」
「それって…」
「私と、友達になってください!」
私は精一杯の声で言った。
まるで高原君が最初に話しかけて来てくれた時のように。
すると、花菜が笑顔で言った。
「うん、こちらこそ。よろしくね。」
それから、私と花菜は一日中遊んだ。
久しぶりに同年代と話した私は喉が枯れるまで花菜と話し合った。
嬉しかった事、悲しかった事、お互いの思っている事を打ち上げあった。
私は、人と話すのがこんなにも楽しい事なんだって初めて知った。
人との繋がりの暖かさを知った。
明日は学校でクラスメイトに話しかけてみよう。私は小さな決意を高原君に誓った。
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