依存
1ヶ月、あの日から1ヶ月の間私は誰とも口を聞いていない。
無論、あの日とは、高原君が死んだ日だ。
彼が死んだと聞いた時、私の視界は真っ暗になった。もっと彼と遊びたかった。もっと彼と話がしたかった。そんな思いが私の頭を埋め尽くした。
しかし、その中である考えが
私の頭をよぎった。
彼がいなければ、私は学校で独りだ。
つまり、いつの間にか私は誰とも関わりのない、完全に孤立した存在になっていたのだ。
彼がいたから、私はある程度人と話す事が
出来た。彼がいたから、私は辛うじて生きていられたのだ。
しかし、もう彼はいない。
唯一話してくれていた花菜とも文化祭以降
一言も口を聞いていない。
私は、生まれて初めて孤独が怖くなった。
失ってからその人の大切さを知る。
その意味をようやく理解した。
彼に完全に依存していた私は、やがて生きることに意義を見出せなくなっていった。
彼がいなければ、私は何のために生きれば良いのだろうか。
自殺未遂は、1回や2回ではない。
でもその度に死ねなかった。
死のうとした時、彼が無理やり私を現世に押し返してくる気がした。
私は彼を恨んだ。
どうして私を置いていった癖に、会いに来るのを拒むのだろう、と。
そんなある日、珍しくお母さんがリビングから私を呼んだ。
「千遥、お客さんよ。」
私は、どういう訳かリビングに行った。
普段なら知らん振りをして部屋に籠っているはずなのに。
お母さんも、娘の予期せぬ行動に驚いたらしく、目を見開いていた。
やがて、我に返ったのかお母さんはテーブルの方に私を連れていく。
テーブルには、1人の婦人が座っていた。
「初めまして。千遥さんですね。
生前は息子がお世話になりました。」
高原君のお母さんが、そこにはいた。
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