雪解け
「おはよう。藤原さん。」
「え、あ、お、おはよう。」
急に高原君に話しかけられて私はいきなりテンパった。
昨日の事があって、私は今日は
少しドキドキしながら学校に向かっていた。
花菜からも、やけに今日テンション高いね。
と言われたし、多分よっぽどテンションが高いんだと思う。
とは言うものの、そんないきなり高原君と話せるわけもなく、この日はおはよう以外なにも話す事が出来なかった。
そしてそのまま2週間が経った。
もう6月だ。
新しいクラスになって2ヶ月程経ったが、
私は未だにクラスに馴染めていなかった。
何とかしてみんなと打ち解けたいものの、まず高原君ともそれほど打ち解けられてないのにみんなと打ち解けるなんて無理だろう。
そんな事を思いながら席に着くと、おはようといつものように高原君が声をかけてくれる。私もおはようと返す。
かれこれ2週間経って、もう挨拶は慣れたな。
とか思っていると、
「あのさ、今週の土曜暇?」
「え、こ、今週?」
「そう、水族館行かない?」
「す、水族館!?」
思わず大きな声を出してしまった。
周りからの視線が痛い。
やばい。高原君と水族館に行くとか、楽しみでしかない。
しかし、1つ私の中に不安があった。
それは、クラスの女子の事だ。
私と違って高原君は2ヶ月ですっかりクラスに馴染んでいた。イケメンだし女子からの好感度も高く、まぁつまるところモテていた。
しかし、高原君はどういう訳か私以外の女子と話をしないのだ。
私としては、ただでさえ他の人と話さないのに、あのモテモテの高原君とだけ話すなんて、それだけで周りから陰口を言われるレベルのことだった。
しかも、その高原君と水族館に行ったことがバレたら、、、
考えただけでぞっとする。
そんな私を横目に、彼は笑って言った。
「大丈夫、みんなにバレたりとかはしないよ。」
え、なんで私の考えてる事バレてるの?と思ったが喉に絡んで声が出なかった。
「じゃあ、土曜日は12時に時計台の前ね。」
「う、うん。」
私の小さな返事を聞いて、彼は男子グループの中に入っていった。
あんなキラキラした人と一緒に出かけるなんて、今までの私じゃ考えられないな。
チャイムが鳴った。
が、高原君と出かけるという事が楽しみすぎて全く授業に集中出来なかった。
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