太陽みたいな人
今日は見事なまでの五月晴れだった。
空を見れば真っ青で、どこまでも吸い込まれていくような気分だった。
しかし、私の心はどんよりとしていた。
今日、放課後になるまで彼とは1度も目を合わせられていないのである。当然の事ながら、話などもってのほかだ。
こんな状態で話など出来るのだろうか。
なんて思いながら私は1人で待ち合わせ場所にいた。
少しすると、彼がやってきた。
彼の笑顔の中には少し戸惑いの色があった。
私はそんな彼の顔を見たものの、その戸惑いの理由を考える余裕はなかった。
私は大きく息を吸い込んだ。言わなきゃ。
ちゃんと誤解を解かなきゃ。
「あ、あ、あの。」
「き、今日き、来てもらったのは、、」
私はとても緊張していた。
たかが一言、誤解を解くだけなのに何をこんなに緊張しているのだろうか。
言いたい言葉が喉に絡まる。
そんな時、彼が言った。
「返事、したくても出来ないんでしょ?」
「…え、」
なんで知ってるの、と心の中で思った。
「見たら分かるよ。一生懸命話そうとしてくれてるのはこっちも気づいてるし。笑」
「あ、あぁ…」
私は肩の力がどっと抜けた感じがした。
「君が話すのが苦手だって知ってたら、僕もあんなにガツガツ話しかけなかったのに。ほんと、ごめんね。」
「ち、違うの。私が悪いの。」
私は涙が溢れそうになりながら、必死に否定した。
「わ、私が、こんなに男子と上手く話せないから。こんなに、高原君に、迷惑、かけちゃったの。」
彼は笑顔で言った。
「大丈夫。迷惑なんてかけてないよ。」
「僕と一緒に、少しずつ話せるようになっていこうよ。」
私は涙が止まらなかった。
初めて私のことを心から理解しようとして
くれる男子に出会った、そう感じた。
それを見て彼はまた笑って言った。
「だから、今日から友達になろ。」
私は、喉に絡みながらも、精一杯言った。
「うん。よろしく。」
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