大反省会

「ねぇ、ちょっと話聞いてくれない?」

「え、そんな改まってどしたの?笑」

花菜が少し驚きながら言う。

「さっきまでと全然テンション違うじゃん笑」


高原君に返事が出来なくて、私は落ち込んでいた。1日中ずっとぼーっとしていて、何を言われても上の空な感じだった。まぁ話しかけてくれる人は花菜以外いないのだが。




そこで、当然のように花菜に相談しようと私は考えた。


「あのさ、今日席替えしてまた例の男の子と隣の席になったんだけど、、、」

「え、何それ運命じゃん。」

「いや、そう言う話がしたいんじゃなくて。」

「あ、ごめん。」


多分、私の目が明らかに本気マジだったからだろう。それ以降花菜は余計な口を挟まずに聞いてくれた。



「それで、この前話しかけてくれたのに私が返事できなかったのが、自分のせいなんじゃないかと思って謝ってくれたの。」

「私は違うって訂正したかったんだけど、

上手く話せなくて、また黙っちゃったの。」


私はシリアスなテンションで言った。


「なーんだ、そんなことか。」


花菜はやけにコミカルに言った。

「そんなの、千遥がその人に話しかけてちゃんと説明すればいいじゃない。」


「いや、そうなんだけど。

それが上手く出来ないのよ。」

「なんで?話しかけるだけじゃん。」

「いや、なんか話そうと思ったら喉にへばりつく感じがして、上手く話せないの。」

「うーーーん、まぁ確かに今までの千遥からして男子に話しかけるなんて無理だよね。」

「え、なんかバカにしてる?」

「いや、してないしてない。笑」


少し無言の時間が流れた。

「あ、わかった。私が付き添ってあげるから千遥がその男の子呼んできてよ。」

「……は?」

「いや、だから、教室だと他の人もいるし緊張すると思うから、2人だけで話す機会を作ろうっていうこと。」


「なるほど。」

思わず私は唸った。

それなら私も話せるかもしれない。

彼の誤解を解くことが出来るかもしれない。



いや、待てよ。



「っていうか、呼び出すことが出来るならわざわざ呼び出す必要ないじゃん。」

「あ、確かに笑」


2人はしばし熟考した。

「じゃあ花菜が呼び出してよ。そっちの方が手っ取り早いじゃん。」

「うーん、そうね。私が呼ぶわ。」

「え、出来るの?」

「頼んどいて何よその言い方。笑

私のコミュ力の高さ知ってるでしょ?笑」


確かに花菜のコミュ力の高さは舌を巻く。


かくして、私は翌日の放課後、高原君と会うことになった。

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