急接近

「え?例の男の子に話しかけられた??」

「そう、あまりに急すぎてビックリしちゃった。」

「ふーーーーん。」

放課後、いつもの帰り道で花菜は疑いの目を私に向けて来ている。

「え、なになに、なんで花菜そんなに見つめてくるの?」




「もしかして、モテ期、来た?」





「んなわけないでしょ。」


ホント、花菜は恋愛脳が過ぎる。

どうせ相手の人も気がどうかしてただけでしょ。また明日から人と話さない学校生活が始まる。








翌日、やっぱりクラスで他の人と話すことはなかった。



しかし、放課後

「あのー、親睦を深めるって意味で席替えしませんか?」



え、まじかよ。


何を言い出してるんだよこの学級委員は。

私は心の中で叫んだ。

ただでさえ人と喋るのが苦手な私にとって、席替えなんて地獄でしかない。


私は新学期最低のテンションでくじを引いた。くじを開け、黒板に書いてある場所と自分の番号を照らし合わせて座る。

ふと、隣を見る。



「あ、昨日ぶりだね。よろしく。」

「え、あ、あ、あ、うん。」

隣の席にいたのは高原遼太君だった。


いや、正確には緊張して顔を見れていないが、あの声は確かに彼だった。


2日連続で彼から話しかけられた。

こんなの滅多にないのに。


さすがに、隣の席になったのに目を合わせないのは申し訳ないと思い、私は恐る恐る

彼を見る。



初めてちゃんと見た彼の顔はとても整っていた。



この人、きっとモテるんだろうな。

私は純粋にそう思った。

と、同時にこれはあまり関わったら他の陽キャ女子に目をつけられかねない。そう感じた。




それなのに、私はこの日からなぜか彼の行動を目で追ってしまうようになってしまっていた。

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